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SARATOGA@FUJI ROCK FESTIVAL ’12 ~苗場食堂~ LIVE REPORT & INTERVIEW

[2012/09/03]

SARATOGA@FUJI ROCK FESTIVAL ’12 ~苗場食堂~ LIVE REPORT & INTERVIEW

PROFILE OF |SARATOGA| |FUJI ROCK FESTIVAL|

SARATOGA@FUJI ROCK FESTIVAL ’12 ~苗場食堂~

SARATOGA
2012年7月27日(金) @ FUJI ROCK FESTIVAL ’12 苗場食堂

丘超え山を越え川を渡れば腹が減る。ライブを見れば腹が減る。人間誰しも腹が減る。時にはライブを差し置いて美味しい物を求めて人々は列を作り並び食欲を満たすのです。そんな食欲を満たしてくれるフードコートエリアの中心に建ちますのがこちら苗場食堂。一般的なフェスにあるカレーやラーメンなどといった定番メニューとはかけ離れた、少しヘルシーで重過ぎないフードが特徴的。ライブとライブの合間の腹八分な腹ごしらえにはぴったりな量のお陰で次のライブ会場へも身軽に向かう事が出来るのです。がっつり系は動けなくなっちゃうしね。

しかしこちらの苗場食堂。ご飯だけ提供してるわけじゃないんですよ。実はこちら苗場食堂の裏側にはステージがありまして、こちらでもアーティストのLIVEを提供。苗場食堂は食べれて飲めて踊れる食堂なんです。なんて贅沢な食堂。

初日のSTONE ROSESがちょうど終り人々がお腹を空かせ喉がカラカラでゾンビの様にフードコートへ集まりだしたその頃、ここ苗場食堂のとっておきメニューでメインディッシュでもあります”SARATOGA”のLIVEが始まりました。彼らは彗星の如くここ苗場に現れたディジュリドゥ、ドラム、シンセサイザーによる3人組のインストバンド。古き良き音と現代の音の融合が心地よいサウンドの上に、グイグイと引っ張る高速テンポな楽曲。ご飯を片手に見ていた人も気がついたらステージ前に集合。みるみる間に人が増えていき、リズムにのって踊っていた人々も段々とテンションがあがり、最後はパンクライブさながらモッシュの様に土を踏みながら人を掻き分けながら踊り出す始末。これを”踊り超え”と言う表現が一番合ってるかなと思うのですが、ある一定のテンションを超えると人々はトランス状態に陥り、体と五感を音に託し預ける様になるのですが、まさにその状態に近いのかな。彼らが発する音はそれ位空気を震わせ何度も何度も繰り返し繰り返し音を人々に届け、頂点に持っていくのです。まるで音を知ってるかの様に。音の動きが分かるかの様に。林の間まで人がびっしり埋まりそこにいた人々に強烈なインパクトを残していったのです。

メインじゃないこういうサブのステージでメインを超えるライブを見ると本当にニヤケてしまいます。ここ苗場にはたくさんの宝物が散らばって落ちているのです。その宝物を発見出来た事が物凄く嬉しいのです。この”SARATOGA”が今回のベストアクトの一つである事は言うまでもありません。

そしてそのディジュリドゥ奏者の哲也氏にインタビューを伺いました。お楽しみ下さい。

SARATOGA INTERVIEW

SARATOGA

—–まずはバンドの結成から教えて下さい。

元々違うバンドでディジュリドゥを吹いてて、そのバンドはドラムが二人いて、俺がディジュリドゥで、後はギターみたいな感じで。そのドラムの子達は自分で店をやりたいからバンド活動が出来ないってなったんですけど、俺はどうしても音楽やりかたくて。それで自分の周りでメンバーを探した時に現ドラマーの高野 信明 をまずは見つけてから今の元がスタートって感じですね。それで、その当時ギター弾いてたのが今のシンセの藤川 遊で。彼は物凄く感覚が尖った男だったんですけど、ギターが物凄く下手で(笑)

—–残念な感じで(笑)

そうなんです(笑)音のセンスは間違いなかったので、それでこの子が活きるのにはどうすればいいんだって考えて、音色的な部分なんじゃないかとか色々考えた結果シンセをやってみない?って所からスタートした感じですね。

—–え?全く今まで鍵盤弾いた事なくて始めたんですか?

全く初めてで(笑)結成から3年目なんですけど、技術的にジャズが弾けるとかそういうわけではない分とにかくアイデアやセンスが凄く面白くて。この3人だったらいけるんじゃないかって思って本格的にこのバンドを始めましたね。最初は遊びだったんですけど。これは絶対フロアーを踊らせれるでしょ?みたいな。メンバーみんなテクノが好きなんですけど、テクノも好きだけどバンドも好きみたいな感じで、バンドっぽい事をやるよりももう少しDJ的なアプローチが出来たら面白いよねっていう話をしてて。曲構成とかも何小節とかそういうのはもう排除して、テンションで曲を変えていこうか、みたいな。音が積み重なってギュイってなった瞬間転換みとか。

—–そうしたら予定調和とかは基本なしみたいな?

なしみたいな。そういうのが出来たら面白いよねって。踊ってるみんなを見てて、もっと上げて欲しい雰囲気だったらもっと上げれるバンド。停滞したい雰囲気だったら、それが出来るバンドがいたら、俺だったら好きかなって思って。そういうバンドを目指してますね。

—–結構土臭さがありつつ、でもテクノな部分のミックス具合が他には無い空気感を漂わせてますよね。

昔からある太鼓とかディジュリドゥとか土臭い音と、今の近代的な音っていうのがミックス出来たら面白いし、どちらも無視する事出来ないし。民族楽器に寄り過ぎるのもスピリチュアルな部分で好きだったりもするんですけど、音っていう単純快楽で言ったら、俺は近代音楽っていうのも結構好きだったりするので。そのどっちもにしっかり魂が乗っかってきたら凄い面白いんじゃないかって思って。

—–あのですね。もう説明通りです(笑)僕がSARATOGAのライブを観て純粋に思った事をそのまま説明してくれました。昔の現代の気持ちの良い音の部分がしっかりと合わさった良いテンションのバンド。ですね。

ダンスミュージックってなんだろうって思った時に、俺らがガキの時に遊んでたクラブとかが凄く面白くて、人がなんか常にムラムラして刺激を求めて色々な繋がりが出来てって、そういうシーンにいたいなっていうのが常にあるので。俺らが間口を広げて、この後ろにはもっと濃い前衛がいるんだぞ、みたいな広げ方をしたいですね。それが出来たら面白いんじゃないかって。

SARATOGA

—–ちなみにSARATOGAって名前の由来は?

うちのシンセが魚が好きで。魚の名前がいいって言いだして(笑)彼が村上龍が好きだったからバンド名はシーラカンスとかが良いよね?とか言ってて、じゃー魚の名前にしようかってなった時に、俺の楽器がオーストラリアの楽器なんですけど。スズキとかじゃ格好付かないから(笑)古代魚で何か良い名前ないかなって探してたらアロワナがアボリジニ語でサラトガだったと。

—–あ、魚なんだ(笑)でもあまりロゴとかでも魚は前面に出していないですよね?(笑)

全く出してないですね(笑)長いよりは一発で覚えて貰いたかったし、響きも良かったので独断で決めちゃいました。

—–でもちゃんとバンドに合ってる感はありますよね。馴染んでる感が(笑)それでライブはどれ位のペースでやってますか?

うちは割と少ない方ですね。野外が多いので遠征となると週末全部使ってみたいな感じになって平日働いてまた週末行ってその間にスタジオ入ってみたいな感じですね。回数を多くやるっていうよりは、一回一回を濃密にしていった方が面白いんじゃないかなとは思いますね。

—–その流れで、活動する中でどういう経緯で今回フジロックが決まったんですか?

フジロックはですね、直接メールしたんですね主催者に。

—–え?そうなの?

そうなんです(笑)どうしても出たいんです!なんとかならないでしょうか!って(笑)今年の頭から何回か送って、それが主催者に届いたんですね。

—–え?そんな事あるの?

本当に凄いなって思ったんですけど、主催者の愛を感じましたね。俺らなんてリリースがあるわけでも無く、事務所に所属してるわけでもなく、知名度もない様なバンドなんですけど、こんなバンドを受け入れてくれて。

—–懐の大きさを感じますね。

他のバンドもなんですけど、聞いた事の無いバンドやアーティストもたくさん出てるし、でも確実に観に行ったら新しい発見が出来るし。とにかく凄いイベントですよね。今回のメールでのアピールとかってあまり他のバンドもしていないのかな?って思ったりもしましたね。やっぱりやってみるって言うのが大事かなって思いましたね。メールして想いを伝えてアピールするって誰でも出来る事だし、やっておかないと損だよなって思いますね。

—–昔は、結構自らデモテープ持ち込んでアピールしたりなんて事は結構当たり前だったりしたし、ライブ後のフライヤー撒きでたくさん友達が出来たし、今ってそういうアナログな活動はしてる人達減っちゃってますよね。

それで苗場食堂の人とお話させて貰ったんですけど、何が違うかってリピーターが凄く多い。それはアーティスト側もお客さん側も。場をみんなで作ってるっていう意識が強いし、そこで再会する仲間がいたりとか。それで凄く緩いから、ライブを見なくてもテントでウダウダしてたり、河原で遊んでたりっていうのも成立しちゃうっていうあれはやっぱり素晴らしいですね。

SARATOGA

—–元々テツ君はお客さんとして来たりはしてたんですか?

僕は元々今回もチケット買ってたんです。今年はSTONE ROSESがどうしても観たくて早い段階で購入してて。それと並行して出たいっていうメールをずっと送ってた感じですね。

—–チケット買って演奏するアーティストも珍しいかもね(笑)

でも出演が決まったメールが来た時は凄くビックリしましたけどね(笑)まじっすか!って。

—–そういう事ってあるんだね~。最新のメールとかSNSとか使ってもアナログ精神は忘れちゃいけないのかもしれないですね。

やっぱり熱意は届くんじゃないかなって思ってて。自分も逆の立場だったら、何回も来る奴って一時面倒だなって思うけどそれでも来る奴が結構好きかも。お前熱いな!ってなると思うし。

—–でもそこにはやっぱりある程度の実力と光る物がないとダメだと思うし、中身が無かったら相手にされないと思うし。SARATOGAは何かそういう惹き付ける魅力があったからこその出演だったと思うんですけど、どうでした?実際演奏してみて?

なんか 不思議な感じですね。当日も控室に行くまでずっと不思議なんですよ。本当にやるの?って。で、いざ立ったら物凄く緊張するかと思ったら、前夜祭から参加してたんですけどその流れのまま、祭りに参加したままのテンションというか。やっぱり不思議な感じってうんですかね。

—–自分自身もテントに泊まってたんですか?

そうですね。前夜祭から最終日の朝まで遊びまくって帰ってきました(笑)

—–しかしあのライブは凄まじかったですね。何かを超越してたっていうか、お客さんが踊り超えしちゃてるっていうか、もうHARDCOREな匂いもしつつとにかくカオスで凄かった。

それ凄く目指してる所で、最終的に音を聞いて白目を剥いちゃう位になれたら勝ちじゃないですけど、音の持ってる力ってここの領域だろみたいな所っていうか、全部が吹っ飛ぶみたいなのが理想で。ダンスミュージックだろうがインストだろうがその瞬間の爆発力がPUNKみたいな。

—–そうそう、ダンス超えしてMOSHが起きちゃって、あーこれはもうジャンル云々では無くて完全にオーディエンスが受け入れてるなって思ったら凄く嬉しくなってきましたね。きっとPUNK好きのキッズの前でやっても踊らせる事が出来るんじゃないかなって思いましたね。

そこまではいきたいですね。音楽ってジャンルも言葉も超えると思うし、その領域を俺らが出せなかったら口だけになっちゃう。それを届けないとインストで戦うじゃないですけど、意味がないんじゃないかなって思って。

—–あの外国人の緑のモヒカンの彼も、すっごい踊ってたし。始まった瞬間ゾンビの様にみんな集まってきてましたよね。

タイミング的にもROSES終わりでみんなこっちに向かってくるところだったし、恵まれてましたね。

—–反響も結構ありましたか?

やっぱりありましたね。色んな人がメッセージをくれたり。知らない人達にもしっかりと純粋に音で届けられたっていうのは、幸せな環境ですね。やっぱりこれだよねって(笑)こういう事を求めて望んでみんなやってて。俺らは運が良くて、出させて貰ってしっかりと音を届けてこれたと思うので。これが記念になっちゃったらやっぱり駄目だと思うし、こっからしっかり続けてってもっとスゲーのを届けたいし。間口がしっかり広がって、周りとかにも後ろとかにも右にも左にも良いバンドがたくさんあって。この人達がバンバン広がっていったら面白いシーンって生まれるんだなって思うんで。嘘くさいのは嫌なんですね。喰らう様な、うおっーってなるようなものがいっぱい残って欲しいなって思いますね。

—–最近シーンはそういう傾向になりつつありますよね。

何かに寄せる必要もないし、ただ繋げていって、来た人がどのバンドを観てもすげーなって思えるようなシーンになったらいいですね。

—–今後はどんな予定で?

ボランティアのフェスなんかもそうなんですけど、音楽が出来る事の中で、社会的な事にも目が向けれる導線じゃないですけど、俺は福島出身なんですけど、そういう地元の事とか色々な事に目を向けて、日本が少しでも良くなったらいいんじゃないかなっていう一端になりたいですね。みんな出来る事は違うけど、その力が集まるから凄いものが生まれるみたいな。俺達を聴いてくれたきっかけで、あ、こういうのもあるんだって知って貰いたいし、そいうのってぞれぞれがみんな持ってるものだと思うので、そういう事にも目がいくような世の中になったら面白い事になるんじゃないかと思います。

—–期待しております!今日はありがとうございました!



Report&Interview by kenichi kono

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