Ryuji Tokita (GLASS ARTIST) MINORITY ISSUE
ガラスアーティスト。RYUJI TOKITA。サーフィンをこよなく愛し、バイクに拘りを持ち、そんな彼の波動を真っすぐに伝えているのがこのJAH VIBRATION~ガラスアート~。火をじっと見つめ、指先から放たれる彼の波動は、色となり形となり魂となり、ガラスという透明な物体を見事に色づけていく。そんな力強くそしてとてもニュートラルなRYUJI TOKITA氏のMINORITY ISSUEです!
RYUJI TOKITA インタビュー
2011.11 at JAH VIBRATION studio
—–まずはじめに、JAH VIBRATIONについて教えて頂いてもいいですか?
JAHというのが、神の子とか波動という意味があって、それを伝えて行くっていう意味で、元々俺がガラスを始めようと思ったのが,
グラスパイプに興味があって、日本であまりそういうボングとか作ってる所もなかったから作りたいなって思った所から入っていってって感じで、このJAH VIBRATIONを立ち上げました
—–いつ頃始めたのでしょうか?
JAH VIBRATIONを始めたのが2004年で、その2年前の2002年からこのパイレックスアートをはじめました。たまたまパイレックスアートのSHOWみたいなのが東京であってそこへグラスパイプを買いに行ったんだけど
—–パイレックスアートとはなんでしょうか?
ガラス細工のアートで。向こうではポリシリケートっていうのがアメリカ名で、日本ではパイレックスっていうガラスの種類なんだけど、それがグラスパイプの主流で、アメリカでは当時物凄く人気で、日本にはまだ高過ぎてあまり入って来なかった時期なんだけど。それに凄く興味を持ってグラスパイプを買いに行った時に、その会場で実演販売みたいなのをアメリカのオレゴンから来てたボブスノットっていうグラスアートのレジェンドが演ってて。そしたらいきなりその人が、バナーの前でブオーーーって(笑)凄い勢いでガラスの管を溶かして伸ばして速攻パイプを作ってるのを見て、おおお!って衝撃を受けて(笑)それでそのボブに話かけたら、今柏にいるから作りに来いって言われて(笑)
—–物凄い展開ですね?(笑)
そうそう。それで、じゃーって柏に行ってお店で一日体験したらはまってしまって。そうしたら3カ月はこっちにいるっていう話だし、弟子入りみたいな感じで3ヶ月間教わって、その後は独学でって感じですね
—–そのボブさんとの出会いがきっかけなんですね?
そのワークショップにはまた後ほどボブの弟子のフリーマンっていうのも日本に来たりしてて、その人にまた教わってって感じかな
—–やはり海外発祥なんですね?
元々パイレックス自体歴史が古いわけではないので、アメリカオレゴンから広がってて有名なアーティストはアメリカが多いですね
—–現在日本にもだいぶ普及されてるんですか?
だいぶ増えてきてて、アメリカでもSHOWとか出してるアーティストともいるし、日本は元々ガラス工芸は優れていると思うから試験管とかも同じパイレックスだし、技術的には日本も凄く高いと思う
—–ガラスをやる前は?何をしてたんですか?
ガラスやる前は和食の職人してて。板前ですね
—–で、ガラスに出会ってしまい
うん。ちょうど色々不景気で自分で何かを始めたいなって思ってたんだけど、ずっとサーフィンもやってて、サーフィンじゃ飯食えないって事が分かって実家の割烹屋を継いで。それで何か自分でやりたいなって思って
—–元々結構器用な方なんですか?
いやーどうかな(笑)
—–さっき、少しガラスアートをやらせて頂いたんですけど、根気ももちろんですけど多少器用じゃないと出来ないのかな?って思いました。
俺のお袋が左利きで、野球やってた頃は右投げ左打ちで。左手も使えるからその分少しだけ有利かもしれませんね
—–確かに右も左も同じように使わないとですしね。ちなみにああいうガラス細工は作る際にある程度事前にイメージされてるんですか?それとも結構作ってる最中に方向性が変わっていったり?
パイプに関しては作ってる最中に方向性が変わる事は多々ある。ペンダントトップは、ある程度自分の中で思い描いた物に近づけるっていうやり方をしてるかな
—–基本的にパイプとペンダントトップはまた少し別なんですね
少しやっぱり違ってくるかな
—–ちなみにあのバナーの温度は?
あれはフットペダル踏んでバーっと出てる時で、マックス2500度で、ちょっと緩めて多分1500度位かな?パイレックスがだいたい800度過ぎ位から溶け始めてきて、ドロっとなる状態が1000とか1100とかで
—–結構あれって根気がいるんですけど何か事故とかありました?
火傷はもうしょっちゅうだけど(笑)そんなに大きな事故はないかな!?
—–一回作りだしたら、その日で仕上げないとダメなんでしょうか?
俺のスタイルはパーツだけ作っておいて、後で一個一個パズルじゃないけど繋げていったり。パイプに関しては結構適当さと緩さがあるから(笑)どうせ売れねーし!みたいな
—–売ってるのは基本はペンダントヘッドが多くてって感じなんですね?
そうだね。出店でRAVEとかで出す時には、こんなんもあるよっていうノリでパイプとかも出してるけど
—–特にお店を構えてるわけではなくて
ではなくて、お店に卸したりとか、知り合いなんかはオーダーもしたりとかするけど、オーダー通り仕上げるのってなかなか難しいから
—–物も一点物がほとんどですよね
物の大きさとか形とかはある程度決められるんだけど、中の模様に関しては、ヒューミングっていう技法を使ってるから
—–その時のタイミングとかで柄も変わってくるんですね?
スウィッチバックとかスパイラルとかオポージングとか技法は色々あってその技法通りには出来るんだけど、中の色に関してはその時のヒュームの吹き加減で全然変わってきちゃうから
—–その方がオリジナルの一点物が出来ますよね
俺もまだ7年やっててもまだ分かっていない部分があって。他にもやり方はあるんだろうけど、毎日葛藤しながらやってる感じかな
—–何か他に面白いコラボとかないんですか?あ、これもそうですか?
そうそう、これはbreak prisonっていうの革屋さん。皮とガラスのコラボなんだけど全部これは俺が作ったの
—–財布細工もですか?
そうそう財布も。ひろみさんっていう人に教えてもらって。後はバングルを作ったり。シルバーとコラボしたり
—–これはやっぱりハマル人は滅茶苦茶はまりますよね。一点しかないっていう部分と、見てるだけでも飽きない。ずって見ちゃいますよね。ちなみにここが楽しい!みたいな瞬間ってありますか?
ガラスを溶かす自体楽しいっていうか。子供が紙を燃やすのが楽しいように(笑)
—–さっきも言ってましたけど、火っていうのは見てるだけで飽きないですよね
そうなんだよね。焚き火なんかも見てて飽きないのと一緒で。最初色々考えながらガラスやってるけど、もう、溶かしてる内にいつの間にか無心状態になってて。かといってそれでいい作品が出来るかっていったらまたその時の状況によってくるんだけどね
—–今日実際やらせて貰って、集中しないと絶対に出来ないじゃないですか?邪念が入ったりしてたら丸も作れないですし。なんかそのままガラスに魂とか精気が入り混んで行くような
そうそう。やっぱり売れたヘッドとか見ると、その時作ってた時の事を思い出せたりするんだよね。あー、あの時のだ!みたいな。それと不思議なんだけど、自分でこれは良く出来たなって思ったガラスと、ちょっと中心がずれたりしてるイマイチなガラスを並べていると、結構イマイチな方を選んだりする事が多くて。俺は結構長年やってるせいもあって、中心にこだわったり、スウィッチバックの振り幅をこだわったりとかするんだけど、買ってくれる人はあまり関係なくて
—–個性的な作品を選ぶって事ですね
中心がずれてても、その人にとってサイケデリックであったらそれで良しみたいな。だから、3年前とかに自分が作ったペンダントトップを見て、今それを作れっていったら作れないのもあるし。どうやって作ったんだこれ?(笑)って思う事もあって。技術が全てでは無くて偶然が重なって出来るのがガラスアートの面白いところかな
—–一点ものの良い所ですよね
もっともっと見せたいのたくさんあったんだけど、震災で結構割れてしまって。結構な量ぶっ飛んでしまいましたね
—–そうだったんですね
あの時は、ガラスが落ちて行くの見ながら何も出来ずにいて
—–ここは千葉ですからかなりの揺れだったはずですよね
凄い地響きが鳴って、普通じゃないなって思って立ちあがって。ガラスを押さえようとがんばったんだけど、押さえる暇なくガッシャンガッシャン落ちてって(苦笑)俺が気にいってた40センチ位あったお香立があるんだけど。それがスローモーションで落ちていって。。。パシャンって割れるのを見て、もういいやって開き直って(苦笑)
—–ガラスは割れちゃいますからね。。。
地震とかじゃなくても、例えば一週間位かけて作った作品があって。一番最後の作業でポンテの跡とか消す時に、ガラスを火の中に入れた瞬間。。。クラックがピシッて入って。下から上までヒビが入って終わりみたいな。その時のやってられない感といったら。。(笑)
—–漫画のようにヒビが入るわけですね(笑)
でも、それがあるから何も起こらないで無傷で完成した時は、また達成感があるし
—–でもこれはやっぱりやり甲斐がありますね
仕事とかにするよりも、普通に趣味で作ったら凄く楽しいかも
—–一日体験とかも出来るんですよね?
やってます。ビギナーから中級、上級って三つのコースがあって
—–どんな内容なんですか?
まずは、ビギナーはガラスに触れて貰って。ガラスは技術だけじゃ作れないから、まずはパイレックスの性質を覚えて貰って。サーフィンでいうと、海に入って貰ってまずは波がどんな性質なのか知って貰うような感覚かな?それで慣れてきたら、次のステップで。ガラスのチューブ管を使ってペンダントトップを作る。チューブ管はガラスをしっかり回して、均等に熱を加えないと、ガラスが寄ったりするから均等に回せるって事が条件かな。そこで、チューブ管が出来るようになったら、後はパイプとか作るレベルみたいな感じかな
—–パイプまでいくと結構高いレベルですよね。要するに火の温度をしっかり把握して、ガラスの溶け具合とのバランスみたいな感じなんですね
結局数こなして、何回も失敗してこそってところかな。俺、サーフィンするんだけど、なんかサーフィンに似てる部分もあって。ガラスが波みたいな感じで、一つ覚えたらまた一つ忘れてみたいな繰り返しで
—–サーフィンは結構長くやってるんですか?
サーフィンは15からやってるから。今39なんで(笑)
—–なんか多趣味って話を聞いたんですけど。バイクもSR乗ってたり、釣りも好きだったり。釣りもなんかうなぎ釣りが?(笑)
そうそう(笑)普通にうなぎ釣りしたり
—–え?普通に川で天然うなぎですか?
そうそう。この辺りで(笑)今度一緒に行こうよ。うなぎ(笑)
—–それでは今度はうなぎ釣り体験で(笑)バイクも結構力入れてるみたいで?
うん。SR400乗ってて。オークションでフレームとエンジンとタイヤだけを買って。細かいパーツをオークションで落として。友達に”サキッポ”っていう奴がいて。そのガレージで2年位かけて組み上げて。SRのチョッパーかな
—–チョッパーですか。熱いですね~!
2年かけたから愛着は物凄くあるよね
—–ですよね!
ちょっとまたガラス細工の話に戻りますが。結構歴史が古いじゃないですか?という事は色々可能性はまだあると思うんですけど、どういう風に考えていますか?今後の目標も含め聞かせて貰えますか?
個展はやっぱり開きたいかな?それと長く継続する事と、色んな人に知って貰って広める事かな
—–やっぱり海外とかも意識してますか?アメリカが主流なんですかね?ヨーロッパなんかはどうなんですか?
ヨーロッパだと、モレッティっていう種類のガラスがあったりとか、ベネチアングラスがあったりとか。ヨーロッパはヨーロッパでガラスの種類が変わってきたりとか。
—–ちなみに風鈴とかのガラスは?
あれはソーダガラスじゃないかな。昔からあるガラスで。計数が全然違うんだよね
—–やっぱり今後は一回個展を見てみたいですね。このガラスが並んだらきっと凄く見栄えも良さそうですし
ここ1年、あまり作品としてのガラスは作っていってないから、なんか皆を驚かせるような変態チックなやつを(笑)創ってみたいですね
—–2012年の活動を楽しみにしてます。期待していますので!
Posted in ALL ENTRY, INTERVIEW, minority issue, Ryuji Tokita |