PURITY RING@FUJI ROCK FESTIVAL ’12 LIVE REPORT
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PURITY RING
2012年7月28日(土) @ FUJI ROCK FESTIVAL ’12
カナダ発の男女デュオであるこの”PURITY RING”。アート方面の知人からこのバンドのアーティスト性を聞いていた為、勝手なイメージを膨らませながら臨んだ彼らの初ライブ参戦。会場入りした瞬間目に入ってきた上からぶら下がる繭の様な球体に正直面食らいつつも想像してた通り、ステージ全体の装飾からアートへのこだわりを感じ、とにかく心が高ぶりまがら一曲目の”Cartographist”で淡々とライブは始まった。
思いっきりエフェクトを効かせて芯が無いような声質で空気が震える様に響き渡るミーガンのボーカルスタイルと、その反対側で光る打楽器を順に打ってビートを叩き出すコリンの不思議なビジュアルが個性的な空間を創り出す。コリンに関してはこれをドラムと呼ぶべきか、打楽器と呼ぶべきか正直不明な部分はあるのだが、物体を木琴の様に叩く事で光を生み出す装置を彼が巧みに操っている姿が印象的だった。
時より鋭い表情(中世のヨーロッパのホラー映画に出て来る幼い子供の様ななんとも言えない)を見せつつも淡々と歌う彼女の震える声と、同じような震えを持ったウーファーの様な低音を効かせたキックドラムにより体内の血液が同じ様に振動してる様な感じがしている一方、なんだか魔法にかかってしまった様に動けなくなるのである。体は固まり体内の血液は響いているというなんとも不思議な体験をした。
この全体的な不思議なアート空間と、淡々と体を震わせるビートとそして空気の震えだったり振動だったりの隙間に発生する”無音”という音でライブが構成されている事に気が付いた頃にはもう既にライブは後半。この音とビートの微妙な隙間が物凄く心地よくて、”Crawlersout”ではミーガンが時よりスティックを持ちその光を叩き、最後は”Ungirthed”でSHOWは終了。この2人の40分間の物語に迷い込んでしまった様な不思議な空間に、ライブの後も余韻が襲いかかってきてその魔法という名の余韻が冷めた頃には印象的で抽象的ななんとも言えないヨーロッパの映画を観た様な虚無感が残った。
淡々と退屈はもしかしたら紙一重なのかもしれない。彼らのライブを退屈と呼ぶ人がいるかもしれない。が、この40分の間、金縛りにあったかの様に固まってしまったあそこにいた人達は決して退屈だったと感じてはいないはず。一つ残念だったのが、思いっきり真っ暗な空間で彼らを観たかった。暗闇での彼らの物語もきっと不思議な空間であろう。
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