THE LUMINEERS @ FUJI ROCK FESTIVAL ’14 LIVE REPORT
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THE LUMINEERS
2014年7月25日(金) @ FUJI ROCK FESTIVAL ’14
太陽が燦燦と照り輝くここ苗場に鳴り響く壮大なクラシックのSEと共に登場したのがアメリカはデンバー出身のTHE LUMINEERS。ギターとチェロとベースとドラムとピアノを軸にしたフォークロックというジャンル表現が一番近いであろう彼らのシンプルで馴染み易い音は、実に多種多様の音楽要素で構成されているのである。
一曲目”Ain’t Nobody’s Problem”のウェスリーの美声が体にすーっと自然に入って来た瞬間から、この後のライブに対する期待がもの凄く高まり、単純にこのバンドが好きだなと思うまでに少しも時間がかからなかった。とにかく歌声が美しい。美声とはこういう声の事を言うのだと思う。アメリカはデンバーの田舎町で田園風景を見ながら、幼い頃からカントリー音楽やフォーク音楽などをギター1本で歌い続けて育った絵が想像出来るような(勝手な想像ですが)、農家や牧場の労働者が一日の勤務を終えて仲間とトラックの荷台でビールを飲む時に聴くような(これも勝手な想像ですが)、て、そんな景色とリズムカルで楽しくて叙情的で少し切なさもある音がここ苗場の壮大なグリーンステージと最高なマッチングでした。絵や背景が聴き手それぞれの解釈で想像出来る音になんらギミックは無い。それもそのはず、ウェスリーは元々画家だったようだ。妙に納得が出来る。
しかし多彩で多才なメンバー達!ギターを持ちど真ん中でステージに立つウェスリーを中心にメンバーが楽器を持ち変える。さっきまでチェロを弾いていたネイラが歌を歌っていたり、さっきまでドラムを叩いていたジェレマイアがピアノを弾いていたり、入れ替わるパートを見るだけでもステージから目が離せない。シンプルな名曲”Ho Hey”があんなにライブで臨場感が出るとは思ってもいなかったし、”Darlene”でアコーディオンを持ったステルスがPA塔に登り、ウェスリーとジェレマイアが客席アリーナエリアのど真ん中でオーディエンスに囲まれ演奏しながら歌うような大胆なパフォーマンスをするバンドだったとは想像もしていなかったし、これが音源では体感出来ないライブ力なのであろう。
特に大きな仕掛けや、特殊なVJでステージを飾るわけでも無く、自分達が演奏する楽器と音とその場の空気感でライブをグイグイ引っ張っていく様はさすがの一言。アイリッシュやスカやエレクトロミュージックの様に、誰でも体が動きやすい四打ちのリズムを基調にしているのも彼らの音にスッと入っていける理由の一つなんだと思う。
結果的にあっという間に50分間という時間が過ぎ、その間オーディエンスを魅了させ続けた彼ら流のロックが実は今年のベストアクトと言っても良い位の心を揺さぶるものでした。まだまだ初日も前半戦ですよ。この後出演するまだ未体験のアーティストに対する期待感もグッと増し、こうやって徐々に気持ちが上向いていくのがフェスの醍醐味なのですよね。とにかくお見事でした!
photo by kenji nishida
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