ARCADE FIRE @ FUJI ROCK FESTIVAL ’14 LIVE REPORT
Profile of |FUJI ROCK FESTIVAL|
ARCADE FIRE
2014年7月26日(土) @ FUJI ROCK FESTIVAL ’14
やはりこのバンドはライブバンドだった!突如キラキラと光を反射させた銀色の熊が、ライブを待ち構える無数のオーディエンスの真ん中に現れ彼らのライブの始まりを告げる。2003年とまだ新しいバンドにも関わらず、今や世界中のフェスでメインアクトの一つとして引っ張りだことなっている彼らの6年ぶり、フジロックとしては初のステージの幕が開いた。
しかしこれだけの人数の音楽フリーク達が一つのバンドを見る為に一堂に会し熱狂する様は絶景である。それぞれの一日をそれぞれの場所で過ごしたフジロッカーズが四方八方からここGREEN STAGEに集まってくるわけですから。その前に全国各地から車や電車に乗ってここ苗場に集まってくるわけですから。なんと言いましょうか、一日の最後のARCADE FIREというご褒美をみんなで分かち合うようなそんな気持ちにさえなります。
そんな中、軽快なドラムの4つ打ちと共に始まった80年代の雰囲気を漂わすエレクトロで壮大な曲”Reflektor”。バンド立ち上げオリジナルメンバーでもある男性ボーカルのWin Butlerと女性シンガーのRégine Chassagneが交互に歌い上げる。少しノスタルジックでありながらも未来さえも感じさせるステージの雰囲気が、なんだか煌びやかなオルゴールを見ているような感覚に。続く2曲目”Flashbulb Eyes”ではワールドミュージックを思わすようなパーカッションの緩いリズムと共にButlerが客席を煽る。気持ちの良いリズムとテンポのツボを熟知していて、エネルギッシュなアプローチを含みながらもオーディエンスの体を揺らし踊らす事に全てのエネルギーを注いでいるように思える。その為なら、ギター、ベース、ドラムの典型的なバンドサウンドに加え、パーカッション、アコーディオン、バイオリン、スティール・パン、使える楽器はメンバーが持ち替え使用し、それを見事なバランスでオーガナイズする事で、一つの楽曲が計り知れないクオリティーで成立する。当然それを目の当たりにしたオーディセンスは彼らの音に身を委ね踊り熱狂する。
しかし、世界基準のバンドは本当に器用で多彩。The lumineersなども同様、メンバーが一つの楽器だけに留まらず様々な楽器をステージ上で披露するのだ。デジタルレコーディングの技術が進歩しカーソル一つで音が動かせるこの時代。誰が楽器を弾いてるかも分からないような音源が出回っている中、こうしてステージで偽り無く再現出来るバンドが奏でる音の説得力は突き抜けている。特にこのバンドの核となっているのは最初に女性シンガーと紹介したRégineであろう。もちろん透き通った美声だけでもアーティストとしての十分な素質があるのにも関わらず、時に鍵盤を弾き、時にスティール・パンを叩き、最後にはドラマーと混ざりツインドラム。見ていてただただ圧巻である。演奏するというツールだけでも見ごたえ十分な上に、豪華なVJやステージのデコレーション、更にはRégineが客席中央のステージで歌い背後に怪しげな骸骨が迫真的なパフォーマンス。こういった細かいSHOW要素も彼らの音と完璧に融合されていて、一つのARCADE FIREのSHOWとしてパッケージされているのだ。特に4曲目”Rebellion”が終わった瞬間のステージライトが消えた瞬間に見えた夜空の星だって、彼らの計算内かどうかは分からないが、こういう偶然の産物である自然をも見方に付けるバンドにもう隙は一つも無い。この瞬間、昨年同じステージ初日でトリを飾ったNINE INCH NAILSの豪雨の中の雷を思い出した。
そして3曲行われたアンコールの最後はあの名曲”Wake Up”。あの光景は凄かったな。大合唱とはこういう事を言うのでしょう。心も体も一緒に自然と踊れてしまう本当の意味での”ダンス”という事を教えて貰ったような煌びやかで華やかで壮大なSHOWでした。フジロックの様々なステージで行われているバンドの要素が全て詰まったような完璧なパフォーマンスは間違いなくベストアクトでしょう。
photo by kenji nishida
Posted in ALL ENTRY, FUJI ROCK FESTIVAL, REPORT, 西田 憲司 |