shuhari インタビュー
音に身をゆだね、その音に憑りつかれ、陶酔という境地に誘うインストバンド、shuhariが新たな音源を完成させた。これまでにカナダ、台湾、北京などでの海外ツアーも勢力的に行ってきたバンドは来年結成10周年という節目を向かえる。虎視眈々と見つめる視線の先にある、これまでの活動、継続する事、求めるもの、海外での体験やモチベーション、今後の展望など話を伺った。
shuhari(シュハリ)
野田浩平(以下:N) – Gt
盛子太郎(以下:M) – Dr
船津広大(以下:F) – Ba/Gt
shuhari Interview
—– まずは結成のきっかけから教えてください。
N : それまでもずっとバンドをやっていたんですけど、一回それを辞めるタイミングがあって、一度イギリスに留学したんですけど、そこで、なんで辞めたんだろうとか色々な葛藤があって、やっぱりバンドをやりたいなって思って、日本に戻ってそれまでも一緒にやっていた子太郎ともうひとりずっと一緒にやっていたメンバーがいたんですけど、その彼は一緒にはできない状況だったので、以前から仲の良かった広大に声を掛けて始めました。
—– なぜインストだったのか理由などありますか?
N : 前のバンドの時は歌を歌っていたんですけど、その時からインストの音楽がすごく好きで、そこからイギリスに行って音楽を色々聴いた時にやっぱりインストがやりたいなって思いましたね。
M : ボーカルがあってメッセージがあると、どうしても世界はクリアで伝えたい事は解りやすいと思うんですけど、抽象的だと簡単には論じれないから良い部分はありますよね。
N : 具体的な表現より抽象的な表現の方が好きなんですよね。
M : 絵とかも抽象画の方が好きですね。こっち次第というか、5年後見たらまた違った感じに見えたりっていうのがインストにもある魅力だと思います。
—– インストに目覚める前、元々はどういう感じのバンドをやっていたのですか?
N : 子太郎とは高校生の頃からずっと一緒にやっていて、最初はスピッツとかブルーハーツのカバーから始まって、その後はメロコアをずっとやってましたね。
—– 広大さんはどういったバンドをやられていたんですか?
F : 俺もメロコアをやってましたね。
—– バックボーンはみんな近い所にあるんですね。
F : 3人共中学が同じなので、同じような音楽を聴いて育ってきたっていうのが大きいですね。
—– それぞれ自身のルーツとなる最初に影響を受けたバンドや音楽はどういったものですか?
M : 色々あるんですけど、俺は高校の時のREACHとの出会いですかね。音楽も好きだしあのドラミングは半端ないですね。
F : 俺は、メタルとかハードコアなんですよね。良く聴いていたのはEDGE OF SPIRITとかbloodthirsty butchersとか、あとはそれに付随してX JAPANとかも聴いてましたね。
N : 俺は小学生の時にライブを見たスピッツに影響を受けました。
—– 今のshuhariの音楽はインストという広いくくりの中でもう少し具体的にどういった感じのものになりますか? どのように感じたり、受け取ってもらいたいとかってありますか?
N : 基本的には自分達が気持ちが良いと思う音を、その場でやっていて生まれたものを拡げていく感じなんですけど、踊るというよりは身をゆだねて、ふけってもらいたい音楽ですね。エモさや陶酔できる音、そこに自分達の気持ちを乗せるっていう事は意識しているかも知れないです。
F : 例えば他の好きなバンドを観ている時とか、沁みるっていうかグっとくる時があるので、shuhariの事もそういう風に感じて欲しいし、自然とそういう方に向いていってると思います。
—– 現在の活動ペースはどういった感じですか?
N : わりと行き当たりばったりですね。その時その時の流れに乗ってるというか、ほんとはもっと出したいし動きたいっていう想いはあるんですけどね。
M : 一応、週1、2位のサイクルでスタジオには入っていて、ライブのリハーサルだけする時もあるし、曲を作って行こうかって時もあるし、それはずっと続けてますね。
—– 今回リリースが控えているという事で、その辺りでこれまでと違う事って何かありましたか?
N : 8月にライブ音源と秋に新しいアルバムを予定しているんですけど、今回はアルバムを出すという事が先に決まったんです。だからそのアルバムの曲を作らなきゃって事で初めて曲を作ったんですよ。それまではずっとスタジオで音を出して生まれたやつからピックアップして出すって感じだったので。
M : だから今まではすごい効率が悪かったんですよね。それが凄く嫌になってきていた部分も自分達であったんですよね。
—– 今まで10年近く続けてきていた活動ペースが自分達にあってるから、それを続けていたわけではなかったという事ですか?
M : たぶんそれは探し続けていて、でもゴールはなくてという部分で徐々にペースが速くなっていっていますね。
—– そもそも結成した時にどういう音楽をやろうという事の他に、どういう風に動いて行こうみたいな話ってメンバーでされたんですか?
N : 海外から帰ってきたばっかりだったので、やっぱり海外に行ってやりたいっていうのはみんな思ってましたね。
—– 実際にshuhariは海外でもかなりライブをやっている印象があるのですが、元々そういった海外思考は強かったんですね。
M : それはありますね。まず台湾、そこから徐々に行きやすいアジアへ。
—– そうやって海外でやりたいと思った時にまず最初に何をしましたか?
M : まず友達が台湾を開拓してくれて、そいつと一緒に遊びも含めて台湾に行くようになってそこから徐々にですね。
—– 台湾ではじめてライブをやったのはいつですか?
N : 2011年ですね。その年は中国にも行ったんですよ。
M : それで現地にヨーロッパの人も結構いて、そこで俺の国でもやろうよみたいな感じで繋がりができましたね。
—– そうなんですね。実際、台湾でライブをやってみてどうでしたか?
M : 激アツですね。オーディエンスとかも熱いです。
—– 場所はいわゆるライブハウスみたいな所ですか?
M : そういう場所もありますし、BARとミックスしたような場所とか、東京と比べると結構ラフな感じですね。
—– 客層とかもバラバラですか?
M : 結構バラバラで欧米の人もいたりしますね。向こうで結構プロモーションとかもしてくれるので、毎回来てくれる人もいるし、徐々に増えていった部分もありますね。
—– 台湾にツアーに行くときは台北を中心に動く形ですか?
N : 台北と、あと南の方で『Spring Scream』っていうフェスがあるので、それに出演する目的で台北からはじまってずっと南下していく事が多いですね。
—– 今、shuhariにとって台湾はひとつのホームのような状況になっているのですか?
M : はじめて行った時にできた友達がすごいサポートをしてくれて、そこからさらに仲間が増えていってるんで、日本より盛り上がるのは間違いないですね。お客さんの反応は素直というか、良いライブしたら「良かったねー」って言ってCD買ってくれるし、反応はストレートですね。
—– 自分たちとしたら日本でやるよりも良いライブができているっていう感覚もあるのですか?
M : 日本の方がやりずらさはありますね。僕らはそういった環境や熱量に左右されてしまう部分もあるんですよね。
N : 台湾とかで日本人としてライブをやる。そういった部分でモチベーション的には圧倒的に海外でやっている時の方が高いっていうのはありますね。だから伝わってほしいなって想いも強いし、お客さんも燃えてくれますね。
M : 良いライブっていうのはわりとできるんですけど、メチャクチャ良いライブっていうのはお客さんも必要なんですよね。それが起こりやすいっていうのは間違いなくありますね。
—– 台湾以外の他の国はどうですか?
M : すげぇ良いです。日本以外はだいたい盛り上がります(笑)
—– どうしちゃったんですか日本は(笑)それは何が原因だと思いますか?
M : 小さな街とかだと遠い所からありがとねー、っていう事もあるんで、そういうのはデカいと思うんですけど、こっちも特別なスペシャルな日っていう感覚があるので、そういった部分だと思うんですけどね。
—– 活動の拠点を向こうに移してみたいな事は考えていないんですか?
M : きっかけ次第というか、あるかもしれないですね。でも広大は日本が大好きだから、なかなか出ないと思うけど(笑)
F : でも、そっちでちゃんとすべてが回るんなら。
N : その辺はまだみんなバラバラですね。
—– ちょっと音源の方に話を戻しまして、ライブ音源をリリースすることになったきっかけや意図などって何かあるのですか?
N : きっかけは三軒茶屋のライブハウスのオーナーがそういうのやってみたら良いんじゃないって言った所から、やってみようかなと。自分達としてもライブでしかできない表現っていうのがあるので、そういうのも良いかなと思って、実際にやってみたら良い物ができたって感じですね。
—– そして新たにレコーディングをしたニューアルバムは先ほど話題にもありましたが、はじめて 「作ろうと思って作った」作品という事で、実際どうでしたか?
N : 大変でした(笑)
—– それは時間的な部分ですか、それとも心労的な事ですか?
N : 時間的な事も含め、自分達の技術だったりとかそういうのも含め、メンタル的なきつさはありましたね。
—– どれくらいの期間を費やしたのですか?
N : 出そうと思ってからは、結局1年位はかかってますね。その時あった曲にプラスして、どういう曲が必要だとか、周りの人達が感じている僕らの音楽はどうなったら良いのかなとか、それが一番難しかったですかね。自分達が好きな形でやるのは簡単っちゃ、簡単で、もちろん自分達の好きな形ではやろうと思ってるんですけど、やっぱり「さすがだね」とか「どんどん良くなってるね」って思ってもらいたいから、それを見つけるのが大変ですね。
—– それは見つかったんですか?
N : うーん、見つかったんですかねー(笑)。できたやつを聴いてみて、「こういう感じなんだね」っていうのがなんとなく分かったというか、逆に今回を経てその次が見えたって感じですかね。
ライブの場合だとやっている僕達がいるので、それだけで一応成立していると思うんですけど、音源は聴いている人にかかってくるので、より具体的じゃないと伝わらないなと。だから、今までの音源は全部一発録りで録って来たんですけど、それだとどうしても限界があったというか、届かない領域があったので、でもそれをまた作りこんでやるとそれはそれでちょっと違うものになっていくなっていう印象があったので、そこのバランスが難しいですね。
M : 今、shuhariはライブが良いねって言ってくれる方が大多数なんですけど、音源の方も違った表現の方法かも知れないですけど、そうやって良いって言ってくれる方が増えてきたら良いなとは思いますね。
N : 今回は作品を作ろうと思って作っているので、ライブでやるという事よりも、アルバムに入る曲でこういう曲があったら良いよねっていう作り方をしているものもあります。
M : だからライブではやらないかもしれない曲もありますね。
—– ライブで再現できない曲もあったりするのですか?
M : それはないです。そこまではやらないです。
N : 結局、絶対表現できないとかはなるべくしたくないなっていう気持ちはどうしてもありますね。
—– 自らが主宰するフェス『剣乃舞』に関しても話を聞かせてください。
N : 一番最初は2009年に多摩川の橋の下でやったんですけど、その後はキャンプ場でやる事が多いですね。当時からそういったフェスって多かったと思うんですけど、そういう外で音を出すっていうのをやってみたかったんですよね。
—– 他に出演するのはどういったアーティストですか?
N : 基本的には熱くなってくれるバンド。僕たちが実際に観てカッコイイと思っている人達を呼んでいます。
—– また少し話を変えまして、これまでの活動の中で最も印象に残っていることってなんですか?
F : 俺は台湾での初日デカい所でのやつだね。
N : 2014年に2ndアルバムをリリースして、それまでに2回か3回位台湾にも行っていて、Spring Screamとかでも色々な人が観てくれて、その時もすごい盛り上がっていて、台湾の人達もプロモーションしてくれて、すごいたくさんの人が集まってくれたんですよ。だけどそこで凄い酷いライブをしてしまったんです。
F : 観ている人達からしたらもしかしたら分からないかもしれないですけど、
N : いや、あれは酷かったよ。YOUTUBEであるけど今観ても酷いと思う。
F : いつもわりと立ち上がりって良くないんですよ。わりとケツに向けて盛り上がっていくんで、それがもろにでちゃって、しかもしっかりセッティングしてくれて、凄い良い音響でやらせてもらったのにも関わらず、悪い所が重なってしまったんですよね。
—– そういうのは逆に記憶には残りますよね。
F : すげぇ残ってますね。
M : 酷かったというのは全員自覚してましたね。こんなに来てくれて、こんなに大々的にやってくれて、だからなるべくそれ以外の粗相はしないように気を付けてました(笑)
—– その他ポジティヴな面では何かありますか?
N : 去年、中国ツアーに行ったんですけど、それは全然知り合いじゃない所から初めてメールで連絡をもらって、大きいツアーを組んでもらったんですよ。ちゃんとプロモーションもしてくれて成功に終わったので、一番の成果というか印象に残ってますね。
—– それはどこで shuhariという存在を知ってもらったんですか?
N : それは『剣乃舞』を知ってもらっていて、蓋を開けてみると、中国の人達ってすごい日本のバンドに詳しいんですよ。それで色々調べているうちに僕達の音源とかも聴いてくれて気に入ってくれて呼んでくれたっていう。
—– YOUTUBEとかそういうので知る感じなんですかね?
N : 向こうはなんかFACEBOOKは使える人と使えない人みたいになっていて、それで中国版のFACEBOOKみたいなのがあるんですよ。そこでのやりとりがすごい濃密というか連携が取れているというか、「このバンドやばいよ」って誰かが言うと、みんな反応するんですよ。
—– ライブをやった時も反応がストレートって言っていた部分に通ずる感じですね。日本だとどうしても深読みしてしまう人が多くなってますもんね。
N : そうですね、日本だと良いと思っていても反応してくれなかったり、買ってくれなかったりっていうのがすごいあると思いますね。
—– 子太郎さんは何か印象に残っている事ありますか?
M : 過去をあまり覚えてはいなんですけど、今までやってきた(続けてきた)ってことが凄いなって思いますね。よく広大とか辞めなかったなって思います。
—– そういった危機的な時もあったんですか?
M : 結構荒れてた時期とかももちろんあって、それは浩平ももちろんそうだし、まあ色々あってよくみんな辞めてないなと思いますね。怪我して救急車で運ばれたりしたこともありましたし(笑)
—– 飲みすぎ系ですか?
M : ツアー中とか、飲みすぎ系もあるし、大体酒ですね(笑)
一同 : (笑)
—– バンドは音を出せば仲良くなるみたいな話もありますけど、そういう酒の場とかも大事ですよね。
M : そういうのでコミュニケーションとることも大事だと思いますね。
—– 今もそうなのかも知れないけど、特にSNSがここまでなるひと昔前とかは、打ち上げとかの飲みの席と喫煙所で大体話が決まっちゃってたなんて事もありましたからね。
M : そういう場所での話は本当に実現したりしますからね。
—– まだまだそういう事もありつつ、バンドとしては今後どういった動きをして行きたいとかってありますか?
M : やっぱり海外をメインで。
N : 最終的に僕達は「日本は最後だね」みたいな話をよくするんですよ。海外の方が僕らもやりやすいし、反応もちゃんと返してくれるので、だから海外に行ってライブをやる事はずっと続けて行きたいなと思いますね。 でも日本も大好きなので日本でも拡がっていってくれたら嬉しいですね。日本で売れてないけど海外で有名みたいなのにはなるべくなりたくないんですよ。だから日本で認められてナンボっていうのは思ってますね。
リリース情報
野外フェス『剣乃舞』のオーガナイザーshuhariがLIVEでしか表現できない世界を RECしたAlbumを発売!!
“和”のテイストをモチーフにした2008年結成のインストゥルメンタルバンドshuhari。その活動は、国内におさまらず、カナダ、台湾、北京など、海外へのライブツアーにも及ぶ。
ポストロックの枠におさまらない、アンビエントであり、叙情的であり、またエモーショナルでもある。時に幻想的であり、宇宙の”銀河”を想像させる心地のよいディレイのギターは、シューゲイザーをも感じさせる。
我々はこんなサウンドを待っていた!!!
shuhari
『TENPI』
2017.08.23 Release
01. 笹舟 sasabune
02. 七 nana
03. ワスレガタキ wasuregataki
04. 蘇生 sose
TRCT-0001 ¥1,500+tax
FORMAT:CD
発売元:TRANCE FACT
販売元:PCI MUSIC
ライブ情報
剣乃舞2017
【日程】
2017年9月9日(土)~9月10日(日)
open12:00~/start12:30~
※オールナイト 18歳未満の入場不可
※終演 翌日10:00
【会場】
ナメサワパーティビレッジ
(JR中央本線 塩山駅より車で25分)
【料金】
entrance ¥7,000-(1drink付)
※送迎車あり500円
【出演】
《LIVE》
WMTB
Ming-Hua Wu
音の歩き方
pororoCKS
もらすとしずむ
小手
Nobuhiro Okahashi
shuhari
Frusciante(台北)
GROUNDCOVER.
TRANSKAM
リビドーと悪魔
ROAR
digdub
htnk
sound into the silence(金沢)
虫のしらせ
ONC
Qu(神戸)
sound of nothing
トリコンドル(札幌)
ENTRADA
ampcharwar
MOTA HEAD
monomo…?
NONMALT
noman+Kazumi Sakoda
飯田カヅキ×判治宏隆
Flats Fix
《DJ》
TAKUROW(GROUNDCOVER.)
禊
《VJ》
bori
manako
《LIVE PAINT》
mii-ink
シミズミツル
《FOOD》
BORDERS
crews curry spot
Wonder Kitchen
【詳細】
http://tsuruginomai-s.com/
https://www.facebook.com/tsuruginomai/
MORE INFORMATION
shuhari Official Website
http://shuhari-tokyo.com/
FACEBOOK
https://www.facebook.com/shuhari.band
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