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般若 インタビュー

[2018/04/01]

般若 インタビュー


名実共に日本のヒップホップシーンを代表する存在のひとり、般若の通算10枚目となるニューアルバム『話半分』がエイプリルフールにリリース。長きに渡り描き続けてきた想いへの実現。その時に向けて今、発するべき言動とそれに裏打ちされた行動。ひしひしと着実に根を張り巡らせてきた現在地から最大のチャレンジへいざ出陣。


般若 Interview

—– 今作に関しては色々ある中で自問自答している印象を受けました。

結構内面の話だったりとか、なかなか重いものもテーマにある中で、どうにかこうにか、それだけじゃなく笑いとかも出していきたいなっていう気持ちもあったので、過去辛かったからその辛いだけの話にならないようにっていう気持ちはどの曲にもありますね。

—– 現状言いたい事はここで割と言えたかなって感じですか?

そうですね。10枚目にして、ようやくしっかり俺の中でも納得した上で世に出せたかなっていうのはありますね。

—– 真実と感情が入り混じっているような内容の中で『話半分』というタイトルを付けた真意などあれば教えてください。

あんまり狙って付けた訳ではなくて、タイトルをどうしようかって思った時に、話半分という単語がふっと出てきたんですよね。その時に話半分のもう半分ってなんだろう、ってすごい考えたんですよ。ちょっと待て、それっていうのは行動だったりするんじゃないのかな、このアルバムは話半分だわ、って思って、ひとつはこのアルバムを出した後の自分の行動、それは武道館だったりする部分。もうひとつは話半分に聴いてください、後の半分は自分らで決めてください、みたいなところだったんですよね。それを4月1日(エイプリルフール)に出すっていう、なおかつ10枚目のアルバムで話半分って言いやがったってよこいつっていう感覚ですね。

—– 今作の楽曲の中にも込められている武道館公演という大きな発表がありましたが、ここに対する想いは相当強かったのでしょうか?

ずっとこだわって追い求めていたもので、これでやっと明確にやるって言えたんで、あとはそこに向かって走る。それで来てくれた人に、本当に来て良かったって思ってもらえるパフォーマンスをやって、みんなで共有する2019年1月11日にしたいなって思います。

—– ここに至るまでのプロセスなど色々あると思うのですが、なぜ武道館を目指したのかそのきっかけを少し教えてください。

僕は長渕剛さんをずっと敬愛していて、ある瞬間から付き合いが始まるようになったんですけど、2005年11月の大和ツアーの時に「お前、前座やれ」っていきなり言われて、前座をやらせてもらったんですよね。その時に「次はお前が自分で立て」っていうのをおっしゃってくださって、そこから意識は凄いそこに向いていきましたね。俺はメジャーのレコード会社にも事務所にも所属してないし、どインディーもどインディーでっていう中でもの凄く時間はかかったんですけど、あとはやるだけですね。

—– モチベーションのひとつとしてずっと抱えていたんですね。

やっぱりずっとありましたね。その間に野音も2回やって、その前には渋谷公会堂でもやって、ちょっとづつ会場は上げていったんで段階は踏んで来られた思います。

—– 着実に上がっていった部分もある反面、チャレンジという意識はやはり強いですか?

僕はチャレンジャーですよほんとに。この先ももっと良くしていくしかないし、怖い部分が無いかって聞かれたらもちろん無い訳無いんですけど、精神的に腐っちゃったり負けちゃったりしたら何もできないし、常にその意識はありますね。

—– 色々状況も変化していっていると思いますが、日本でのヒップホップはもはやマイノリティーではないですよね。

そうですね。何それ?って人がいないところまで来たと思うし、始めたころと比べても全然違いますね。

—– これまでに一番大きく変わったなって思う時期ってありましたか?

やっぱりテレビが、認知されたという面ではフリースタイルダンジョンがデカんじゃないですかね。

—– この2年くらいでご自身の実感としてもあるんですね。

そうですね、ただ、人口も増えたし、知ってる人も増えたと思うので、入り口はなんでも良くて、そこからどう拡がっていくか、何が残っていくか、っていう事だと思います。よくわからないオフォーとかも増えてきてるし、それでも拡がるなら良いんじゃないのかと思って、その中でカッコイイもの見せてやるよと思ってCMとか出たりしてますけどね。

—– ヒップホップのシーンとしてはどういう風になっていくのが良いと思いますか?

シーンがどうなっていくかとかは分からないし、俺はそこを引っ張るつもりもないんですよ。無責任な言い方かも知れないですけど。ただ今残っている人達は、少なからず冬の時代、苦労したところを通っているので、これからの人達がこの後どうするか、「アレしろ、コレしろ」とか「アレは駄目だよ」とかそういうのは分からないんですけど、それを経てということで、やっぱ楽しみではありますよね。

—– その中でどういう存在でいたいみたいなのはあるんですか?

いやいやいや、俺なんて、どうでも良いっすよ(笑)
それはみんなが決めることであって、俺はどう思われても良いし、これは良く言ってるんですけど、「カッコイイものがカッコイイんじゃなくて、面白いものがカッコイイ」と思っているので、だから面白くはいたいとは思いますね。

—– 今、注目が集まっていることへの実感や手応えみたいなものは少なからず感じていますか?

良くも悪くも昔よりは知られるようにはなったのかなっていうのはありますけど、ずっと言っていることがあって、「あの人知ってる」じゃなくて、「あの人の曲知ってる」って言われる方が俺の中では本物なので。

—– 活動自体も途切れずにきている中で重要になってくるリリースなども含め、目の前にやりたい事っていうのは常に明確にある感じですか?

本当の事を言うと、1年に1枚は出していくっていうのがアーティストとしての答えなのかなって思うんですけど、何だかんだ、それでも少しづつ時間がかるようになってきちゃってるんですけど、作品はコンスタントに出し続けないといけないとは思うんですよね。とにかく過去の楽曲で飯を食っていくみたいな感じには絶対になりたくないんですよ。

—– 言いたいことは常にアップデートしていっている感じですか?

言いたい事が何なのか、っていうのは常に考えてますね。ただ、それほど社会的なことだったり、政治的なことを言いたい訳ではないんですよ。あくまでみんなが共感できる部分だったりとか、「俺はこう思うぜ」みたいなことは提示していきたいなって思いますね。それと強い曲もあるかもしれないけど、笑える曲とかの方が大事かなっていうのはありますね。全部が全部同じっていうのもつまらないじゃないですか。

—– それと今作の限定盤には6曲の映像が入っていますが、映像の部分の重要性っていうのも色々考えていますか?

本当は全曲入れたいくらいの感じなんですけど、今YouTubeでまるまる出しちゃったら1曲捨てるって訳じゃないけど、そういうところの付き合い方っていうのがありますよね。だからDVDに収録するものはYouTubeとかには出さないと思うんですよね。時期によって変わってくるのかもしれないけど、映像はやっぱり大事ですよね。

—– そして、実は今月はもう一作、昭和レコード(般若 x ZORN x SHINGO★西成)としてのリリースもあるんですよね。

そうなんですよ。4月はなんと2タイトル出るという。『話半分』が1日に出て、29日の昭和の日に昭和レコードのアルバム『MAX』が出るという。

—– 昭和レコードももう10周年なんですよね。

そう、うちももう10年なんですよ。10年やりましたけど、あまり人を増やさなかったのは正解だったかもしれないですね。

—– やっぱりこの3人でやることに意味があるということですか。

それはありますね。世代もちょうど違ったんで、僕が今年40歳になるんですけど、最初は40代(SHINGO★西成)、30代(般若)、20代(ZORN)だったんですけど、ZORNも次、30歳になるので、これで40代、40代、30代ってことでまあまあなアレになってきてますよね。それで年号もまた変わるということで、昭和ということがなんだあれって言われ出すと思うんですよね。

—– 元々昭和レコードという名前を付けたのは般若さんですか?

僕です。絶対この名前にしようと思ってました。剛さんのアルバムで昭和が一番思い入れがあったので、レーベルをやるんだったら絶対昭和レコードにしようってずっと思ってましたね。

—– 長渕さんからの影響っていうのは筋金入りですね。

小3から聴いていて『LICENSE』から入っているので、もう30年なんですよね。30年長渕剛を聴いているんですよね。

—– その他、10代の頃とかはどういった音楽を聴いてましたか?

THE BLUE HEARTSは通りましたね。あとは、X JAPAN、ユニコーン、BOØWY、COMPLEXとか結構色々聴いてましたね。

—– 日本のバンドが多かったんですね。

最初はそうでしたね。そこから、GUNS N’ ROSESを聴いて、ライブに行ったら4時間待たされて…

—– アクセル・ローズが出て来ないってありましたね(笑)

出て来ないんですよ。それで出てきた瞬間コケたんですよあの人(笑)。
まあ中学の時はその辺りを聴いてましたね。あとメロコアとかは今でも聴きますね。RANCIDとかOFFSPRINGとかも凄い好きですね。

—– グランジとかそっち方面は聴かなかったんですか?

いや、聴きました聴きました。周りもみんな聴いてましたね。

—– じゃあ、割と一通りパターンですね。

そうなんですよ、一通りパターン行って、そこからその延長で並行して聴いていた、1993年位ですかね、Beastie BoysとかCypress Hillを聴いた時に「おい、これ超カッコ良くねー?」ってなってヒップホップの方に流れていきましたね。それでそのCypress Hillからの流れでHouse Of Painとか、Cypress HillのPVに出ていたIce Cubeを見て「なんだこの人?」ってなって、調べて、N.W.A.に戻って、Public Enemyとかにも調べて戻っていった感じでしたね。

—– その辺りからはヒップホップと共にある訳ですね。

パンクとかメタルとか色々並行して聴いてたんですけど、ヒップホップが前に出てましたね。それで元々はDJになりたかったんですよね。

—– そうなんですね。今はDJはやらないんですか?

ちょっと落ち着いたらまたやりたいとは思うんですけど、その時は名前も変えてひっそりどこかでやろうかなって思ってます。武道館が終わって一年後くらいにひっそり趣味でできたら良いですね。

—– 色々楽しみもありつつ、まずは武道館へ向けてって感じですね。その辺り含めて最後にメッセージをお願いします。

今作で10枚目で、今年はこのアルバムを皮切りに何枚か出す予定なので、それを経て2019年の1月11日に日本武道館でやりたいと思うので、その時僕は40歳ですよ。20年近くやって、40歳で武道館って自分でもバカじゃねーのって思ってるんですけど、40歳で初の武道館の奴がいるぞってことで僕のことを知っている人はほんとに観に来て欲しいなって思います。僕だけが作り上げるだけじゃない部分もあると思うし、自分の中でも大きな大きな意味を持つ日であることは間違いないと思うので、頑張るので来てください。


Interviewed by KISHIMOTO

ライブ情報

般若 おはよう武道館 ワンマンライブ

般若
『おはよう武道館』
ワンマンライブ

【日程】
2019年1月11日(金)
開場 17:00

【会場】
日本武道館

【チケット】
全席指定 ¥6,500
第一次先行予約(枚数制限:4枚まで)
受付期間:4/1(日)00:00~6/6(水)23:59
入金期間:予約日+3日
確定日:6/11(月)
決済方法:ファミリーマート
引取方法:ファミリーマート
発券開始日:11/11(日)
http://w.pia.jp/s/hannya18tw/


リリース情報

最ッ低のMC:般若による、約2年振り、10枚目のオリジナルアルバムが完成。

2016年発表の9枚目のアルバム「グランドスラム」以降、CM、映画への出演、引き続きの「フリースタイルダンジョン」でのラスボスなど、様々な課外活動もこなしながら制作された今作。今回のリリース形態は2種類で、通常の1枚組、ミュージックビデオが6本入ったDVD付属の2枚組がラインナップされている。


般若『話半分』

般若
『話半分』
2018.04.01 Release

収録曲(CD)
01. ここにいる [Track by NAOtheLAIZA] 02. 生きる [Track by SHIBAO] 03. 1歩 [Track by JAKK POT] 04. 素敵なTomorrow [Track by CHIVA from BUZZER BEATS (D.O.C.)] 05. 百発百中 [Track by DJ RYOW & Growth] 06. 虎の話(あわよくば 隙あらば 俺だけが) [Track by The BK Sound] 07. 何者でもない [Track by CHIVA from BUZZER BEATS (D.O.C.)] 08. 汚ねえ居酒屋 [Track by DJ FUMIRATCH] 09. MY WAY [Track by DADDY DRAGON] 10. 家訓 [Track by CHIVA from BUZZER BEATS (D.O.C.)] 11. 君が居ない [Track by タイプライター] 12. 3時56分 [Track by SHIBAO] 13. 乱世 [Track by bookey] 14. ぶどうかんのうた [Track by Kiwy]

収録内容(生産限定盤に付属のMV DVD)
生きる [Directed by 金允洙(UR5ULA FILM POSSE)] 素敵なTomorrow [Directed by 金允洙(UR5ULA FILM POSSE)] 百発百中 [Directed by 金允洙(UR5ULA FILM POSSE)] 汚ねえ居酒屋 [Directed by 金允洙(UR5ULA FILM POSSE)] 家訓 [Directed by 志真健太郎/山田久人(BABEL LABEL)] ぶどうかんのうた [Directed by HAVIT ART STUDIO]

●通常盤●
CAT NO. : SHWR-0068
FORMAT : CD
税抜価格 : 2,800円
バーコード : 4526180443995
LABEL : 昭和レコード

●生産限定盤●
CAT NO. : SHWR-0069
FORMAT : CD+DVD
税抜価格 : 3,800円
バーコード : 4526180444008
LABEL : 昭和レコード




三人寄れば文殊の知恵。
最強で最狂の3MCによるトリプル出汁の濃厚仕上げ。
般若 x ZORN x SHINGO★西成=昭和レコードのアルバムが完成。

先行配信、MVが公開され、昭和レコードツアーでのLIVEでも定番となっている、止まることを知らない止まれない3MCによるアッパーチューン”GO”、「STAY HUNGRY」をテーマに現状に満足せず上を目指し続けるメッセージを折り込んだライブ鉄板曲”HUNGRY”、身の回りの人への感謝の意を表した新境地ソング”ありがとう”は勿論(初CD化)、LIVEでは既に披露され音源化が希望されている”ヤメラレナイ”、そしてまだLIVEでも披露されていない新曲も多数収録。3MCのそれぞれの強すぎる個性がぶつかり、融合した楽曲が並んだ。限定盤はミュージックビデオを収録したDVDを付属した2枚組。


般若 x ZORN x SHINGO★西成 - NEW CD+DVD『MAX』Release

般若 x ZORN x SHINGO★西成
『MAX』
2018.04.29 Release

収録曲(CD)
01. WTF [Track by YAKKLE] 02. HUNGRY [Track by YAKKLE] 03. ヤメラレナイ [Track by dubby bunny] 04. GO [Track by DJ FUMIRATCH] 05. ILL FUNK [Track by XLII] 06. いいね [Track by LISACHRIS] 07. 罵声から歓声 [Track by DJ FUKU] 08. ZORN & 般若 – そんな中で [Track by DJ FUMIRATCH] 09. 感謝の曲 [Track by SHIMI from BUZZER BEATS(D.O.C.)] 10. SHINGO★西成 & ZORN – 大丈夫 [Track by TRAMP] 11. ありがとう [Track by DJ FUKU] BONUS TRACKS
12. 最ッ低のMC (Showa Remix)
13. ラパッ (Showa Remix)

収録内容(生産限定盤に付属のMV DVD)
MUSIC VIDEOを収録

●通常盤●
CAT NO. : SHWR-0070
FORMAT : CD
税抜価格 : 2,500円
バーコード : 4526180444015
LABEL : 昭和レコード

●生産限定盤●
CAT NO. : SHWR-0071
FORMAT : CD+DVD
税抜価格 : 3,500円
LABEL : 昭和レコード


MORE INFORMATION

般若 Official Website
http://www.hannya.jp/


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