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麻緒 (muscat tattoo) INTERVIEW

麻緒 (muscat tattoo) INTERVIEW


日本的で独特なデザインを、繊細で絶妙なタッチで肌に色を入れていく彼女の作品を見れば、海外からもたくさんのタトゥーフリークが彼女の元を訪れるのも納得。A-FILES初の女性彫師のインタビューです。特にこれから彫りたいと思っている女性の方、必見です!


麻緒 (muscat tattoo) インタビュー

—–出身はどちらになるんですか?

生まれたのが千住で、小さい時に青森県の八戸へ引越したんです。そこで高校を卒業するまで過ごしましたね。

—–そうすると青春時代は八戸だったんですね?

青春が18歳までだとしたら(笑)。

—–人によるかもしれないですね(笑)。ちなみに今っておいくつなんですか?

1971年生まれなので、もう25年以上も前の話です(笑)。

—–全然見えないですね!

ありがとうございます!なんでも嬉しいです(笑)。

—–(笑)。それでその『青春時代』はどんな感じだったんですか?

割と普通の高校生で服を作る人になりたくて。絵は凄く好きだったんですけどタトゥーとかはまだ知らなくて見た事もないような感じだったんです。でも高校生活自体が凄く楽しかったので、何かを制作するとか特別な活動はしてなかったですね。

—–それで卒業して東京に出てきたと。

そうですね。高校自体が進学校だったのでそのま東京の普通の大学に入学するという理由で出て来て通ってたんですけど、なんか途中で違うなって思って。そのまま通いながら、大学3年生頃に夜は服飾の学校に通い始めてまた別で服飾の会社でバイトしたり飲み屋でバイトしたり。

—–え?昼に大学に行って夜は服飾の学校に通って、バイトもしてたんですか?

なんか働くのが好きだったんですよ(笑)。それで2つの学校も卒業してそのままそのバイトをしてた型紙を作る服飾系の会社に就職しながら、給料が少なかったので夜はバイトして。

—–結構ハードですね(笑)。

そのハードな生活が昼の仕事に出てしまって、居眠りでクビになってしまったんです(笑)。

—–あらら(笑)。

ちょうど今後の事も考えてた時期で辞めようかなって思ってたタイミングではあったので、会社をクビになってそのまま飲み屋のバイトをしてたらタトゥーに出会ったんです。

—–うん?それはお客さんですか?

一緒にバイトをしてた女の子の足首にタトゥーが入ってて。それまではなんとも思わなかったんですけど、自分のこれからの事を考えてた時期だったのか、『次はこれにしよう!』って。それが24歳位の頃ですね。

—–今まで接点が無かったのにそういうタイミングってあるんですね!

私自体も入れてなかったし、周りに彫師さんの友達がいたわけでも無くて。それでとりあえずデザインとかやってる友達が何か知ってそうだなって思って相談したら、いっぱい刺青が入った人を紹介してくれて。

—–とりあえず入ってる人を(笑)。

何をやってる人か良く分からなかったんですけど、何か知ってそうだなって思って(笑)。それでタトゥーを彫ってる所に連れていって貰って、『まずは自分で入れないとな!』って思って最初の刺青を入れました。

—–ちょうど20年位前ですよね?

25歳頃だったのでもうちょっと後かな?

—–その頃のタトゥーに対する世間の風潮みたいなのはどんなでした?

もっとアンダーグラウンドで、TATTOO BURSTがまだ無い頃だったかな。街で入れてる人を見かける事も今に比べたら少なかったと思いますね。

—–入れる事に抵抗は?

少しはありましたけど、落ち着く願望もあまり無くて別の面白い世界があるのかな~?なんて思ってましたね。プールに行けないのはちょっと。。って思いましたけど(笑)。

—–結構行動派ですよね。アクティブというか。

あの時じゃないと出来なかったかもしれないですね。『今だったら出来る!』みたいな感じでやりたい願望が凄く強かったし。

—–そこからどうやって彫る勉強をしたんですか?

その最初に行った場所で教えて貰えると思ってたら、『ウチは厳しいからやらない方がいい』って言われて。代々続いてるような場所で、弟子入りなどはしませんでしたが、後々も色々アドバイスをもらいお世話になりました。それで結局そこを紹介してくれた人がクラブで会った彫師さんを紹介してくれて、龍の絵とかを描いて持って行ったんですね。

—–その当時、絵は結構描いていたんですか?

ファッション画とかは描いてたんですけど、特に専門的に勉強したわけじゃないので彫師になるって決めてから、『描けるかな?』っていう感じでしたね(笑)。

—–それで絵を持っていったら?

絵を持って行ったらその彫師さんに、『また観に来ていいよ』って言われので何回か行ってるうちに、タトゥーマシンを売りに来る人がそのスタジオに来てて。当時ネットとか無かったし、買える場所も無かったのでとりあえず使えないのに早めに買って(笑)。

—–まだ誰かに彫った経験も無い状態で?

はい(笑)。それで『自分に彫っても練習にならないよ』って言われたんですけど自分で練習をし始めて。

—–その時はお弟子さんだったんですか?

いや、その方も凄く忙しかったので私はただ見に行ってただけで、アメリカからHOW TO本みたいなのを輸入して一人で勉強してましたね。今だったらYOUTUBEとかネットとかで調べられるんですけど、もちろん当時そんなものも無かったので独学でやりました。でも、マシンの組み立て方とか色々注意点とかを親切に教えてくれて。今考えるとそういう面倒な事を良く教えてくれたなって思いますね。

—–凄く自由なスタジオですよね(笑)。

その彫師さんは半分ブラジル半分日本の人で、独学で学んだりで割りとオープンな方だったんです。それで結局その教えてくれてた人も忙しくて、教えて貰うのに授業代としてお金を払う事になったんですね。最初はがんばって払ってたんですけど、段々ちょっと金銭的にも厳しくなって、最終的には独学でやりました。今考えると確かにその授業料とかも凄く忙しい人だったし合理的だったかなって思いますね。

—–そのうち自分ではなくて他の人の肌に彫るようになるわけですよね?

最初は友達とかで入れたい人とかを彫ってて、そのうち段々そういう人も増えてきたので妹と住んでた家を半分スタジオにして(笑)。

—–妹と同居しながらですか?(笑)

そうなんです(笑)。妹も『入れたい入れたい!』っていう感じだったので大丈夫でした(笑)。最初彫師になる事も妹に相談した位ですからね(笑)。

—–(笑)。その当時何か苦労をした事とかありますか?

やっぱり肌に絵を描くので想像より凄く難しくて。なかなか色が肌に入らなかったり、『刺し過ぎたらどうしよう。。』とか。色んな肌質とか部位とかもあるので、何度も経験を重ねないと難しいですよね。でも当時は、『まだまだなんです。。』なんて言ってたら彫られる人も嫌だと思うし(笑)、がんばってやってましたね(笑)。

—–確かに(笑)。本格的に彫師としてやり始めたきっかけなどはあるんですか?

飲み屋さんでバイトをしながら色々な人を部屋で彫ってたんですけど、自分を追い込む意味も含めてバイトを28歳で辞めたんです。まだお金があるって思ってやってると前に進まないと思ったし、やりたい事が決まっているのであればそれだけに集中した方がチャンスは増えるかなって思って。

—–勝負どころですね。

そうなんです。それで役所に開業届けみたいなのを出しに行ったんです。

—–その時点ではまだ自分の部屋だったんですか?

届けを出してから3年位は部屋でやってましたね。でも、その間にタトゥートライバルの人から連絡が来て掲載して貰ったり、知らない人が入れに来たりし始めて段々人も増えてきて。それで大家さんにはアパレル関係の仕事をしてるって言ってたので最初は良かったんですけど、刺青入った人の出入りも増えて、間違って他の部屋に行っちゃったり(笑)。そろそろちょっとおかしいかな?って思い始めて。

—–それはかなり怪しいですね(笑)。

しかも、本当は裏では普通に住んでたんですけどお客さんには部屋じゃないふりをしてたし限界がきて(笑)。それでこの今のスタジオを見つけてからはずっとここでやってます。

—–どうやって当時はお客さんを集めてたんですか?

その部屋で彫ってたお客さんを中心に、12~3年前の当時は凄くタトゥーが盛り上がってたので、友達の友達とか入れたい人も結構たくさんいましたね。

—–その頃って女性の彫師さんはたくさんいました?

代官山とかで女性の彫師さんだけのイベントとかあったりもしたので、結構いたと思います。

—–ちなみに、好きな彫師さんとかいますか?

1回スタジオに彫りにも来てくれた中国の彫師さんの作品は凄く好きですね。中国的なアプローチもありながらも現代的というか。緻密なデザインに影響を受けました。

—–色だったりダイナミックさだったり色々とあると思うんですけど、麻緒さんが彫る時や他の作品を見る際に、一番どんな部分に着目しているんですか?

体に入れるので、体に対して絵がどうバランス良く乗るかっていうのは凄く大事にしてる部分ですね。文字にしても絵にしても、ココにこういう角度で入れるから絵が映えるっていうポイントってあると思うんですよ。色使いももちろん好きだし大事にしてる部分でもあるんですけど、他のアーティストさんの作品を見る時とかは、そのバランスっていうのは特に気になりますね。でも、最近はどんなジャンルの作品を見ても、色使いだったり、難しいオールドスクールなラインの太さだったり、そういうのにも凄く刺激を受けるので段々視野が広がってはいると思います。

—–確かに体って動くキャンパスですしね。

四角い絵に描くのとは違って、一人一人違う体と肌を持っているので、そこに絵を入れるっていうのがタトゥーならではの特別な事だと思うんですね。なのでその絵が生きてくる入れ方をやっぱり考えてしまいますよね。

—–入れる側も、そういう入れる場所のアドバイスをして貰えたら嬉しいですよね。

でも自分で見るのと、第三者が見るのってまた見え方が違うじゃないですか?いくら人が良いって言っても自分の角度から見た時に満足出来なかったらつまらないだろうし。自分の物でありながら、でも他の人にもかっこ良く見て欲しい願望もあると思うので、なかなか面白いですよね。

—–ちなみに海外のお客さんも多いですよね?

どこかのウェブマガジンで紹介して貰ってから凄く外国人のお客さんが増えて、更に口コミで広がってって感じで。

—–和テイストもありながらの独特な作風が海外のお客さんからも定評があるのでしょうね。

私は伝統を受け継ぐタイプでは無いと思うので、昔ながらの和というよりは、自分なりにアレンジした感じで出せればいいかなって。海外のお客さんでそういう伝統的な和を求めてる人に対しては桜だったり絵柄を限定して彫ったりはします。

—–ちなみに絵はどんな部分から影響を受けてますか?

最近凄い観に行ってるわけでは無いんですけど、アールヌーボーみたいな工業デザインをもっと装飾的にした作品とか、バンクシーとかエッシャーとかは凄く好きですね。後は、イギリスのアーティストで日本のアートに凄く影響を受けてるビアズリーとかは、彼独自の日本的なアートの発想が面白くて好きです。

—–アートとかデザインが好きなんですね。僕の個人的な作品を観た感想は、凄く建築的な美しさがあるなって思いました。

あまり言われた事ないです!自分的にちょっと発見になりました(笑)。

—–ちょっとお話が変わりますが、最近のタトゥーに対する風潮ってやっぱり変わってきたと思いますか?

10年位前からもっとオープンになってくるのかな?なんて思ってたら実はもっと閉鎖的になってるっていう感覚はありますね。ビーチで隠さないといけないとかね。

—–この間競馬場で隠すように言われました(笑)。

えー!本当に?どこかのクラブで外にタトゥー禁止って書いてあったっていうのは聞きました(笑)。

—–本当ですか?(笑)クラブが駄目っていうのが一般的になると辛いですね。。

4年位前とか海外のお客さんが一気に増えたのでお店的にはあまり彫りに来る人の人数って変わってなかったんですけど、圧倒的に日本人の方で彫りに来る人が減りましたね。でも最近また徐々にまた彫りに来る人が増えてきてる感じはします。入れる人は入れるんだなって。あとごく最近のニュースで、増える海外からの観光客をふまえて、小さいタトゥーひとつなら専用のシールでかくせば温泉に入れるというリゾート会社も出てきたときいて、もちろん自分のタトゥーは全然隠せないですが(笑)そういうところから、世界の流れにのって、少しずつ変わっていってくれたらいいなと思います。

—–同じくそう思います!ちないに入れに来る人の年代はどれ位の人が多いですか?

前は圧倒的に20代の人達が多かったんですけど、最近は30代の人達が多いですね。後は10年前に入れてて、また40代になって落ち着いた頃に入れにくる人とかもいますよ。

—–と言う事は10年位前に20代で入れてた人達が、そのまま30代になって入れてるって事なんでしょうね。僕みたいに(笑)。

そういう年代の人達かもしれないです(笑)。この間は海外の人で70歳の人が彫りに来てくれたんですけど、日本の文化は歴史もあるし発展もしてる国ですし、もっとそういう風に気軽にどんな年齢でも入れれるようになっていったらいいなとも思いますね。

—–女性のお客さんも多いですか?

結構来ます。女性の彫師を希望って人も多いです。

—–今後なんですが、何かやってみたい事などはありますか?

去年は日本のコンベンションに出させて貰ったんですけど、海外のコンベンションなどに出てみたいなって思いますね。日本のコンベンションでも『凄いな!』って思ったので、もっと規模の大きい所で彫らせて貰ったら色々吸収出来るんじゃないかなって。それと、今は彫るのが好きなので何でも彫るんですけど、これからは自分のスタイルを突き詰めていけたらなって思います。文字を彫ってても楽しいし、とにかく彫るのが好きなんですけど、常に自分の作品を突き詰めて進化したいなって思います。『まだまだこれからですね~』っていつまで言ってるのか分からないんですけど(笑)。

—–(笑)。現状でも麻緒さんの作品が好きで彫りに来てるわけですから、作品のクオリティーを突き詰めるのは結局はアーティスト本人の意思と満足度なんでしょうね。ちなみに、女性の彫師として、女性で入れたい人達に何かありますか?特に躊躇してる人もいると思うので。

女性が何かを始めたり、立ち上がったり、変わったりすると、いつの間にかそれが定着したりする事が多いと思うんですね。なので、本音は『入れたいな!』って思ってる人で”コレ”というデザインが決まって決心がついたらいたらどんどん入れて欲しいなって思いますし、そうする事でもっとタトゥーに対しての世間の認識が変わっていけばいいなって思います。

—–世間の認識が変わると、もっと広く受け入れて貰えますしね。

後は、うちの店も含めほとんどのお店では衛生面などはしっかりケアーしているんですけど、彫師さんに対して免許とか資格なんかがあれば、もっと世間的にちゃんとしてるってイメージも出来て見方も変るんじゃないかなって思ったりもしますね。

—–確かにそれはありますよね!では、最後に何かメッセージがあれば!

タトゥーが文化としてアートや趣味として定着して、それぞれの人の自由でタトゥーを表現出来たら最高だと思います。アンダーグラウンドもかっこいいなってもちろん思いますけど、そろそろ変わってきても良いんじゃないかな。そして私も子供を連れて何の躊躇も無くタンクトップで街を歩ける様になれたらいいな(笑)。

—–それって本当に理想的ですよね!今日はありがとうございました!

ありがとうございました!

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STUDIO MUSCAT

住所:〒150-0032 東京都渋谷区鶯谷町6-6 グリーンハイツ鴬谷3F-D
電話:03-5459-1700 FAX:03-5459-1798
Email:info@muscat-tattoo.com
営業時間:11時〜20時
休業日:1月1〜3日

http://www.muscat-tattoo.com/

STUDIO MUSCAT


Interviewed by Kenichi Kono


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