ROCKET FROM THE CRYPT @ FUJI ROCK FESTIVAL ’13 LIVE REPORT
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ROCKET FROM THE CRYPT
2013年7月27日(土) @ FUJI ROCK FESTIVAL ’13
またまたアメリカは西海岸発のバンドが登場。今年はレポートしたバンドもしなかったバンドも含めアメリカ西海岸のアーティストが多かった様に思える。先日掲載したDeath Grips、初日のレッドに出演したLOCAL NATIVESや女性シンガーPRISCILLA AHNもLAを拠点とするアーティスト。しかもかなり個性的なアーティストが多い中このROCKET FROM THE CRYPTもサンディエゴ発個性派ガレージ・ロックンロール・パンクバンド。一度は2005年に解散したものの、2012年に見事再結成。90年代を代表する西海岸パンクロックバンドの一つとしてその名を馳せておりますが、一度は解散してるバンドなので次いつ見れるか分からない根性でWHITEステージにはたくさんのフジ・ロックンローラー達が大集合しておりました。
そもそもフジロックに出演するこういうロックンロール・パンクバンドは三日間を通してもそんなに多いわけではない。こういう野外という解放された最高のシチュエーションで聞きたい音はたくさんあるわけですが、ダンスミュージックやレベルミュージックなどに挟まれて登場するフジのパンクロックに外れは無いと確信しております。それは現場主義であるフジロックだからこそのブッキング力とバンドの選出基準が有名無名問わず確実に現場で力を発揮するバンドだからっていう部分にあるのだろうと、そう勝手に分析しております。
そしてこのお馬鹿でハッピーなロックンロール・パンクバンドが登場した際に着用していたのがなんと浴衣姿!
しかも楽器を一切持たずに上手から下手へ横切るお茶目なメンバー。この人達は一筋縄ではいかないんです!と思ったら今度はギターボーカルのSpeedoがこれが真のロックだと言わんばかりに石をステージに叩きつけ木霊する石の音のリズムをバックにアカペラで歌いだしSHOWがスタート。
と思ったら
『日本語が話せたら良かったんだけど』
と言いつつもメモを片手にカタコトの日本語を披露したお茶目なSpeedo。
『ウシロヲムイテマエノヒトノカタヲマッサージシテ!』
良い子のフジロックンローラー達が言われるがままに皆一斉に後ろを向いて前の人の肩に手を置いてマッサージをしている最中に不意を突く様に来ました!
名盤中の名盤あのサソリがカバーのアルバム”Scream, Dracula, Scream!”の一曲目”Middle”
『Are you stuck in the middle?』
『Way-oh-ay-oh』
このコーラスの掛け声がたまらない!この”Middle”が来たという事はお次は当然同アルバム2曲目の”Born in ’69” 。この立て続けのアルバム2曲の流れは、通学などでヘッドホンを通してもう十年以上も前に聴いていたにも関わらず今だに体と音楽中枢神経が覚えていてなんの違和感も無い。このまま”On a Rope”へと続いたわけだから、古くからのファンには最高のスタートだったのではないでしょうか。ライブ前に気になっていた激しい雨も降ってたのか降ってなかったのか分からなくなってる位彼らのハッピーでお馬鹿で楽しいステージを堪能してしまいました。
いつも思うのが、一定のクオリティーを超えていればジャンルなんて一切関係ないのだと言う事。このROCKET FROM THE CRYPTっていうバンドは決して知名度が物凄く高いわけでもないし、実際このフィールドにいたたくさんの人達は彼らの音を初めて聞いた人も多かったはず。そんな中パンクロックというジャンルにも関わらずあれだけの人を踊らせる事が出来る彼らのロックンロール・パンク魂に圧巻しました。DJのビートで踊るのとパンクロックで踊るのって何の変わりも無い事なんですから。
そしてこれも彼らの音楽やアーティストに対する愛情なのでしょう。先日急性心不全で亡くなりましたbloodthirsty butchersの吉村氏に追悼の意を込めて”Come See Come Saw”を歌った事も皆に知って頂きたい。優しくひたむきで熱いギターボーカルのSpeedoは僕らのロックンロール兄貴と呼びたくなりました。いや、兄貴で決定でしょ。
そして見事な完全復活おめでとう!このROCKET FROM THE CRYPTが更に年を重ねロックンロール魂を伝えにまた苗場に戻って来る事を心待ちにしております。
photo by kenji nishida
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