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DJ LOOPNINEQUEST (レコードの館) Interview

DJ LOOPNINEQUEST (レコードの館) Interview

熊本・天草諸島出身、神奈川・湘南エリアを中心に活動し、世界中から貪欲にバイナルを漁り続けるディガーであり、ビートミュージック・ダウンビートにも焦点を当てたMIXをリリースするなどその名を轟かせ始めた新鋭インディペンデントレーベル「レコードの館」のオーナーという一面も持つDJ LOOPNINEQUEST(ディージェー ループナインクエスト)。のどかなローカル環境だからこそ育まれたのかも知れないディグることへの執着、音楽的感性の基盤、そしてレーベルとして今後大きな意味を持つことになるであろう新作LP『渾』についてなど話しを伺った。


DJ LOOPNINEQUEST (レコードの館) インタビュー

—– まずは出身地とDJをはじめるに至った経緯などから聞かせてください。

出身は熊本の天草です。天草は幾つもの島が橋で繋がっている場所なんですが、そのなかの本渡(hondo)が自分の地元になります。
DJの存在を知ったのが14才の時に初めて買ったMIXTAPEです。それから好きな曲をレコードで集める様になり、ターンテーブルは持ってなかったのでレコードプレイヤーでDJをスタートさせました。

—– 周りにも同じようにDJをやる人やクルーのような人達がいたんですか?

10代半ば頃毎日の様に通っていたshop『BUMP FUNK』のレジカウンターがDJブースになっていて、行くと大体DJ JAZZRIOがブレイクで2枚使いしていて。『コーヒー買ってきて~お前の分も買ってよかけん』って、よく日が暮れるまでhiphopについて店先で語りました。真っ暗になったら「ZAPPY行くや?」って近くにあるSOUL BARに連れて行ってくれたり、レコードがぎっしり棚にあって旧譜は勿論、毎週出る新譜まで揃っていて、店主に『○○聴きたいです』ってリクエストすると聴かせてくれるお店があったり。とにかく影響力が有る人達が自分の周りにはたくさん居ました。

—– そこから実際にどういった部分に魅力を感じて自分でもやってみたいって思ったのですか?

MIX TAPEやクラブでプレイを聴いた時になんでこんな違う曲を次々違和感なくカッコ良くかけれるのかなっていう点に惹かれていました。DJの技、選曲、盛り上げたり、面白く繋いだり、なんでそういうことができるのかなっていう部分への興味が大きかったです。

—– それを追究し続けて今に至っている感じですか?

追究する環境にも恵まれていたなって思います。『TSUDOI』っていうクラブがみんなが集まる場所だったんですけど、そこでプレイしていたDJが個性派ぞろいで。彼らのプレイも参考にしつつ、リリースされるMIX TAPE/CDで色んなスタイルをチェックしていました。自分なりのプレイスタイルを発想、発見するまでには随分時間がかかりました。

—– 当時は島であまり情報が入って来ないことで逆に型にはまらず自分達で考えることで色々なスタイルが生まれたのかも知れないですね。

そうですね。やっぱりめちゃくちゃハングリーです。 スクラッチに使う筋肉をひたすら鍛えているDJとか。もう1回80sのスクラッチから学ぼう、とか。

—– そのときの年齢はいくつ位ですか?

自分は16とか17くらいですね。

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DJ活動初期17歳、天草の仲間と


—– そこから最初にMIX CDを作ったのはいつくらいですか?

21の時です。最初は作り方も全然分からなくて、プレスの仕方、パッケージをどうすれば良いのかも分からなくて。でも自分でやるしかないから方法を探していたら、組み立て式紙ジャケットっていうのをロットで売っているところを見つけて、要は紙ジャケットを折りたたむ前の状態なんですけど、それを当時良くして頂いたデザイナー兼印刷屋さんの方に「こういうデザインで印刷してもらえませんか?」って伝えて印刷してもらい、山折り谷折りを組み立てて、のり付けして。そこにディスクを入れる。さらに買ってきたフィルムに入れて販売していました。

—– そういった作業自体が面白いっていうのもあるかも知れないのですが、それを外に向けて出すっていうのは、なにかを表現をしたいっていう感覚ですか?それとも「こんなに良い曲があるんだよ」みたいなことをみんなに知って欲しいみたいな感覚ですか?

こんな曲が世の中にあるんだよっていうのを知らしめたいっていう感覚ですね。そこで自分のプレイスタイルを味わって頂く。今まで色々なDJのMIXを聴いていて、なんで自分が好きで買ってるレコードはどのMIX CDにも入ってないんだろうってある日思ったんですね。それはアンダーグラウンドのMIX CDを聴いていても同じだったので、自分が持っているレコードはアンダーグラウンドのさらに下のアンダーグラウンドなのか、アンダーグラウンドなんだけどまだみんなが知らないレコードを自分が持っているってことなのか。とにかく自分が持っているレコードをMIXして出すということに意味があるなって思っていたので、最初は知らないであろう盤をみんなに聴かせるっていう感じでした。

—– それはDJをやる時の選曲も同じような感覚ですか?

例えば先に大体こんな雰囲気で、グラフを描くならこういう山で、みたいな感じでは無いですね。当時からそういうプレイスタイルでは無くて、この曲を聴かせたい、知らせたい、じゃあどこに持ってきて、どういうカットインで、タイミングやMIXで鳴らしたらみんなの気が引き寄せられるか。時には一瞬無音にしてアタマからいくか、とか。そうやって選曲していって最後にバランスを見る事が多いです。でも『そうじゃない』選曲も3割くらいBOXに入れています。

—– 楽曲を探っていく中でこれまでターニングポイントは有りましたか?

確実にターニングポイントだったのは21か2くらいで地元で仕事をしていた頃、自分はまだ新人だったのである日会社の倉庫を片付けてきてと言われて、本当に整理されてないゴミだらけの足の踏み場がない倉庫で、内側2階造りの映画とかで悪役が倒されて落ちる様な短い通路があったりして(笑)その通路の奥の部屋を片付けていた時にゴミの山の奥にCISCOの袋が見えて。本当に興奮して上に乗ってたゴミ掻き分けて、中身は何!?って感じで1人ゴミだらけの倉庫で興奮して開けたのを覚えています(笑) その袋の中身はMassive attackのLPとDJ KRUSHのHEADZ 2とKENNY DOPEのEPでした。その3枚からレーベルのMo Waxって何だ?とかMassive attackに関してはWILD BUNCHに遡ったり。自分にとっては確実な分岐点でした。

その事を今思い返しても、CDやカセットテープ・レコードとかジャケットに情報がより多く記録されている物の大切さを改めて実感します。

—– レコードの館から現在リリースされている MIX CDはヒップホップという大きな軸はある中で単純にラップとビートという訳ではなく、民族音楽的な要素やソウルやファンクといった音楽も入り混じっていて高低差のある内容にまとまっている印象を受けました。

それは恐らく世界中のhiphopを収録しているからだと思います。世界中と言っても『色んな国』だけじゃなくて『大通りのhiphop~辺境地帯のhiphop』みたくイメージ的には隅から隅までライトを当ててピックアップする感じです。フランスにイングランド、ブラジルにロスにデトロイト、ヨーロッパでも色々な国の色々なスタイルが在ってカラーも音圧も違うんですが、やっぱり聴いてる側・自分のターンテーブルの向こう側を気にしてプレイしています。VINYL NUTSは特に色んな空気/感情が入り交じる世界なので中々ハードです。

—– レコードとか音源を集めるときに、ジャンルとか範囲を拡げようと思えばきりがないですよね。ひとつのジャンルに特化する人もいれば、ジャンルレスに集めていく人もいると思います。そういった部分の分かれ目みたいなときってあったんですか?

色んなジャンルを聴き始め、集め始めたくらいの時にある人に『自分のレコードを買う様になるまで時間かかるぞ。苦労するぞ』って言われたんですよね。20ちょいくらいの頃なんですが。今ではその言葉の意味が理解出来ますが、当時は理解出来なかったです。でも色々聴くうちに自分のグルーヴとマッチする感覚が段々と分かってきました。確かに時間かかりましたね。まぁでも結局手当たり次第チェックするんですけどね(笑)

DJ LOOPNINEQUEST (レコードの館) Interview

『レコードの館』レーベルロゴ


—– これまでの活動遍歴や、今一緒に活動している仲間との出会いについてなども教えてください。

とにかくレコード屋も欲しいモノも生活圏内になかったので、無いなら自分で動くのみだという感じで休みの日に熊本空港から朝イチの便で羽田まで飛んでディグして都内のコンビニから自宅に発送して熊本に帰るっていう生活をある時期していたんですけど、大体それが月に1回くらいで。あとは熊本~福岡、福ビル9Fでやってたレコードコンベンションなんかもチェックしていたり大阪に3ヶ月住んでみたり環境を変えたりはしていました。やっぱり同じ場所を掘り続けるより自分で範囲を広げていった方が自然と知らないグッドミュージックに出会える事に気付いたんですよね。

『TSUDOI』無き跡の雑居ビル前で1人CD・レコードを広げ、DJブースを設置して販売していたのもこの頃ですね。

そういう状況の時にちょうど弟が平塚で一人暮らしをはじめ『2人で住まん?』って誘ってくれて。最初は本当にずっと住むつもりはなくて、バックパックに3回分くらいの着替えとちょっとの資金で平塚に来て、最初の週末に紅谷町らへんからぶらーっとひとりで散歩していたら『MT』っていう地下のハコからBLACK MOONが聴こえてきて、何かあるって思ってそこに入ったんです。それからそういう空間や海も近いし、なんか良いなって思ったんですよね。地元と似てる部分もあって、尚且つレコード屋もすぐ行けるところにあって。

そのまま平塚に4年、その後に鵠沼海岸に引っ越して間もなく『ILLBEATSTALK』に出会いました。場所は江ノ島の中にある音楽がずっとかかってる飲食店です。そこで今度渋谷でライブあるって聞いて観に行ったんですけど、衝撃的でしたね。それからしばらくして当時のBACK DJのKIMから代打をお願いされて即承諾して、初登板が中野ヘビーシックゼロで開催の『SLOW LIGHTS』でした。

—– それはいつくらいですか?

6年前くらいですね。そのイベントがとりあえず最先端というか、自分でもヨーロッパのビートシーンを掘るきっかけになりました。

そこから、ILLBEATSTALKの1st EPや、自分のMIX、ビートメーカーの作品とか色々自分達でリリースするんですけど、全然うまくいかなかったんです。アーティストそれぞれが音源を作って、それぞれが取引先と取引してみたいにそれぞれが動いていた部分が全然うまくいってる感じには見えなくて。

—– うまくいかないというのは、作品そのものがという事ではなく、それをいかに世に出していくかって部分ですよね? 

そうです。それで色々考えましたね。

—– そこでレーベルを設立する流れになっていくと思うのですが、『レコードの館』の設立はいつなんですか?

2018年2月です。最初は名前を何にするかとかも悩んでいて、グラフィティライターのNIBS君にも相談して。NIBS君は自分にとって本当に大事な存在で、VINYL NUTS (MIXCD)やChill – turquoise – (MIXCD)とかのジャケもデザインしてくれているんですけど、俺のイメージを伝えると必ず上回って、尚且つ1発で作り出してくるので本当にヤバイなって思います。それでNIBS君とロゴはどんな感じにしようかって話し合っていた時に、ちょうどドイツのVinyl DigitalからリリースされているEXPEDITionっていうシリーズを集めていて、シリーズのvol.16にScore34っていうアーティストが作っているUtopiaっていうアルバムがあって、そのジャケットを部屋の入口に飾っていたんです。すると飾った日から自分の探していたレコードに毎回出会う週があって。「これは変なパワーでもあるのかなー」って。その時、家にどんどんレコードが入ってくる絵が頭の中にあって、そこからリリースもしていきたいから、入って、出ていくっていうイメージが頭に浮かんだことで出来たのがレコードの館のレーベル・ロゴだったんです。

DJ LOOPNINEQUEST (レコードの館) Interview

—– 今『レコードの館』からはご自身の作品以外だとどういったアーティストの作品をリリースしているんですか?

レコードとしてリリースしているのは昨年出した潜伏期間っていう2MCのアーティストだけです。それとジャケット/カバーアートを担当したアーティストの作品も取り扱っています。今度12月には新作LPをリリースするんですが、それは潜伏期間の2人とDJの自分とTreeQube、KWM、sarutobiiiの6名ですね。レコードジャケットのカバーアートも3名の合作で作ってもらっているので、全部で9名で作りました。

—– どういったフォーマットでのリリースになりますか?

12インチでのリリースになります。自然の流れからなんですけど、今までに見た事のない組み合わせでレコーディングをしてそれらが1枚の作品に成りました。

—– レーベルとして一緒に動く事で生まれたエネルギーが作品になっていった感じですね。

そうですね。最近はライブもレコードの館としてオファーを受けることも増えてきて、レコードの館名義の時は5MC1DJのスタイルでLIVEします。

平塚のHAPPY MOUNTAIN BARっていうハコでやっているBIZARRE RIDEっていうイベントとか、丹沢でやっているL…Deep Open Airとか以前から出させて頂いてて、潜伏期間×DJ LOOPNINEQUESTとか実験的な組み合わせでライブをやっていたのもHAPPYで、L DEEPに関してはテクノが多い中メインタイムをロックする潜伏期間を目撃出来たり。そういうクロスオーバーな環境を作ってくれているのは本当にありがたいし、レーベルのメンバーだけじゃなく、そういった周りの環境があってこそ今のスタイルや作品に繋がっていると思います。

—– 今後『レコードの館』はどういったレーベルになっていきたいですか?

自分のDJのスタイルと一緒で、こんなヤバいアーティストがいるんだよってことを知らしめるレーベルでありたいとは思っています。良いなって思う部分には必ずエネルギーがあるので、そのエネルギーがみんなの生活に良い意味で影響するくらい刺激を与えられるアーティストや作品をどんどん出したいなって思っています。


Interviewed by KISHIMOTO

リリース情報

V.A. - 渾 - (LP)


V.A.
『渾』(LP)
2019.12.03 Release

レコードの館、初コンピ作品はVINYL/レコード

ILLBEATSTALK、潜伏期間、BUDWARPS、AVRと全ての力がこの1枚のレコードに宿った。もちろん全て新録の全8曲中7曲がILLなFLOWとdopeなrhymeで埋め尽くされ、ジャケット/カバーアートはグラフィティクルー『AVR』より『2山』『NIBS』『081』による三者合作、クレジットまで全て手描きの裏ジャケも必見のフルカラージャケット!2010年代ラストを飾るに相応しいマスターピースの誕生です。

(収録曲)
A.1 ZUNZUNZUN
Beats by co∞

A.2 Diggin in the crates
Lyrics by LNQ , KWM
Beats by TreeQube
Scratches by DJ LOOPNINEQUEST

A.3 god hand
Lyrics by SHU-Z , KWM
Beats by co∞

A.4 what is
Lyrics by SHU-Z , sarutobiii , LNQ
Beats by sarutobiii
Scratches by DJ LOOPNINEQUEST
Kaoss Pad by SHU-Z

B.1 weather report
Lyrics by SHU-Z
Beats by co∞

B.2 歯車
Lyrics by LNQ , sarutobiii
Beats by sarutobiii

B.3 vision of art
Lyrics by KWM , sarutobiii
Beats by sarutobiii

B.4 life goes on
Lyrics by co∞ , sarutobiii , LNQ , KWM , SHU-Z
Beats by sarutobiii

Recorded & Mixed by sarutobiii
Mastered by Hiroshi Shiota at TRC STUDIO
Art work by 2山 , NIBS , 081

価格:¥2,750(tax in)
フォーマット:LP
レーベル:レコードの館

レコードの館オンラインストア
https://recordnoyakata.shop/


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