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DJ TERUBI (神眼芸術) インタビュー

[2018/03/01]

DJ TERUBI(神眼芸術) インタビュー

純粋にリアルだけを追求し商業的なスタンスには中指を立てる「神眼芸術」は、TERUBI氏のライフスタイルがそのまま落とし仕込まれたストリートブランド。そのTERUBI氏が発するメッセージ、デザインに関するお話を中心に、もう少し掘り下げたお話まで。ご覧ください。


DJ TERUBI(神眼芸術) Interview

—– 現在、下北沢の雑貨屋「リズム9」で働いていますが、ずっと雑貨屋業は長いんですか?

20代前半は地元の広島の雑貨屋で働いてて、もうちょっとコネクションを広げていきたいなって思って東京に来て。東京に来て色々遊びまわった流れで、20歳後半くらいに海外から雑貨なんかを輸入している会社に出会って。その会社が店舗内装とか買い付けをやってたからそこで色々勉強してって感じですね。

—– で、今のリズム9に行き着くわけですね。

ざっくり言うと(笑)。

—– その流れで、自身がプロデュースするブランド「神眼芸術」を立ち上げたわけですが、そのきっかけは何だったんですか?

一般的に、物販業っていうのは売れるものを仕入れるのね。なのでどちらかといえばお客さんが求めている事とかに合わせて仕入れていく。それはそれで、もちろん楽しいしやりがいはあるんですけど、売れる物じゃなくて売れなくてもいいからカッコいい物を作りたいなって思って神眼芸術を立ち上げました。

—– そもそものコンセプトが違うわけですね。

そうなんです。まだまだ世の中の服や物品って、有名人が着てるから売れるとか、有名人が作ってるから売れるっていうのがあって。そのデザイン自体が本当に好きで気に入って着ているのかって事に疑問を感じるし、それは違うんじゃないかなって。

—– ブランド力やマーケティング力などでもかなり左右されますよね。

そう。商売として考えたら、まずは販路を押さえて、どうやって展開していくか等を考えるんだろうけど、自分の場合は最初、『とにかくパーティーで着てくれ』っていうコンセプトで始めて。パーティーでしか買えないっていうのを最初の1年~1年半は徹底しましたね。

—– 現場主義ですね。

それがリアルだと思うんです。服が欲しかったらとにかくパーティーに来てくれと。パーティーに来れないならパーティーに行く人に頼んで欲しいってことを常に言ってましたね。なので、一人でTシャツを3枚買ってくれる人とかいましたよ。地方の人に頼まれたとか。

—– 今は、RAVEカルチャーと言われるシーンを中心に活動していますが、そもそもDJを始めたきっかけは?

人前でPLAYするようになったのは30代前半ですね。最初みんなでバーベキューをやった時に、音を出そうよってことになって、遊びでやったのがきっかけだったと思います。その前は、働いてたアジアン雑貨のショップで流すミックステープを下手なりに家で作ってたりはしてて。

—– どんな音だったんですか?

レゲエとかメロコアとか。

—– メロコアは意外ですね(笑)。

当時結構好きで(笑)。基本的に自分たちの世代の音は一通り通ってきたから、10代の頃はR&Bとかヒップホップも好きだったし、パンクとかメロコアとかレゲエとかは20代前半に凄く聴いてたし。ハウスもユーロビートもユーロトランスも通った。30歳位まではレゲエを聴いてましたね。その内、四つ打ち好きな友達の影響でテクノやサイケデリックトランスとかも好きになって。

—– その音の幅の広さが影響しているのか、神眼芸術のデザインはRAVEカルチャーだけに捉われずすごく幅が広いですよね。

とくにトランスに特化したっていう意識はなくて。自分がDJをするパーティーがトランスとかテクノとかが多いので、そういう人達向けのブランドって思われているかもしれないですけど、作ってる側としては意識はしていないですね。

—– どちらかというとジャンルは関係なくカッコいいと思うデザインを制作しているわけですね?

そうですね。昨年やった「FUCK TOKYOエキシビション」でのデザインはアニメチックだったりしたし、どこに向けて売るとかの意識はないですね。

DJ TERUBI(神眼芸術) インタビュー

—– だからこそ、TERUBI君のいるシーンではデザインが新鮮に映るのかもしれないですね。

デザイン勝負っていうのは神眼芸術の根本でもあるので、俺が海外とかどこかに行っても、ステッカーとかを渡してデザインを見て貰って、『デザイン良いね!』って言われるようなイメージでデザインしていますね。俺のバックボーンとかそういうのが分からない状態でも、良い物は良いって感じて欲しい。特に、海外とかでは純粋にデザインで判断して気に入って貰えるのはうれしいですね。

—– 文化の違う地域だとフラットにジャッジして貰えますよね。良い物は良いと。

日本ではまだまだバックボーンが基準になってたりするので、そこは打破していきたい。

—– どうしても商売っていう基準で物を作るとそこに対するバックボーンも作り上げないといけない傾向にある。

リアルじゃないですよね。前に某大きなストリートブランドが、ストリート感を出す為に街の壁とかにプロモーションでポスターとか張ったりしてたんですけど、結局貼ってる人はスーツを着たおじさんで、あくまでもストリート感を出すプロモーション戦略。本来であれば、勝手に壁に貼りまくって剥がされて、また貼ってっていうのがリアルな広め方であって、それ風で広めてもそれはただのFAKEであって、お客さんもFAKEを買ってるだけになっていると思う。

—– 「FUCK TOKYO」にも関連ありそうな内容ですね。

ですね。「FUCK TOKYOエキシビション」は、神眼芸術のエキシビジョンではあるんですけど、敢えて名前を神眼芸術ではなくメッセージの強いFUCK TOKYOに変えたんですね。原宿でスタートして、高円寺でもやらせて貰ったんですけど、原宿も今再開発をしていて、ファッションを発信しているとされている地域だとは思うんですけど、実際に原宿からリアルに発信出来ているかって事に疑問があって。どこか商売ベースになっていると思うし、その商売ベースの発信をキャッチした地方の人達が集まったりして。結局、リアルな人たちは、そのような商売ベースの場所で遊ぶわけでもないし、買い物するわけじゃないし。もちろん、原宿にもリアルな場所はありますが、全体的にファッションカルチャーが1人歩きしていると思うんです。

DJ TERUBI(神眼芸術) インタビュー

—– そのファッションの発信地である原宿に”FUCK”という意味あいですか?

実際に東京に住んでいない地方の原宿に憧れている人たちや、発信されている情報がリアルだって思っている人たちに対して、『君たちが見ている東京っていうのはFUCKなんだよ』っていう意味ですね。『もっとアンダーグラウンドを見なよ』って。決してに東京に住んでいる人たちをディスっているわけじゃなくて、俺も広島に住んでたし、その頃に思い描いていた東京と実際に住んだ東京は全然違うから。だから、ビジネス用に作られたFAKEな東京っていうのも伝えたくて「FUCK TOKYO」にしたんです。

—– 敢えて、ど真ん中に突っ込んでいったんですね?

原宿のど真ん中で発信する事に意味があって、場所を貸してくれた「GATOSANO」にも感謝しています。
通常、このようなメッセージをタイトルにすると嫌がるお店が多いんですけどね。

—– 「FUCK TOKYO」はかなりインパクトありますよね。

ありますね。外国人にもすごくうけますね。最初は、メッセージが強くて全然着れないって人もいたんですけど、発売してから1年以上経っても未だに売れてるし評判はすごく良いですね。なぜか全然接点のない高校生とかが買ってくれたり嬉しいです。

—– 「FUCK」自体なかなか表に出せないですしね。

大手企業とかは、資本があるから、クレームになるような事は発信出来ない。僕には資本はないけど言いたいことは言える。そこで勝負したいですね。

—– 刺さる人には刺さりますよね。

スタイリストの友達とかも、衣装を貸して欲しいって言ってくれたりするけど、テレビ的に無理で使って貰えない(笑)。そこ、がんばろうよって(笑)。

—– 今はテレビだけがメディアではないですしね。ストリートもメディアになりえる。

言いたいことも言えない時代だから、せめてストリートでは正直でいたいです。

—– アパレル自体、お手本というか好きなブランドなどはあるんですか?

う~ん、ないですね。ファッションって自分のライフスタイルの延長にあるのがファッションだと思うんですね。セレブが着て人気が出たファッションも、それはセレブのライフスタイルがあって輝くものだし、それをまねしても『君はセレブじゃないから』って思う。レストランとか遊び場もそうだけど、すべて生活の延長にあって、背伸びする必要もないし、自分のライフスタイルに合う物を選択してオシャレするのが自然な事だと思う。敢えて言えば、何を参考にしているかっていうと、今まで自分が見て経験してきたことですね。

—– ちなみに、神眼芸術を立ち上げてどれ位経つんですか?

4年位ですかね。

—– ここ1年、すごく急速に活動している感じはしますよね。

作品も溜まってきてるし、常に新しい事は発信したいと思ってるので。一つづつ妥協しないで制作して、それがまとまると大きなものになるんじゃないかと。

—– 日本から外にも発信したい?

世界は視野に入れてますね。日本で別に売れなくても世界で売れる場所があればそれはそれでいいかなって思ってますね。タイは毎年行ってるし人も好きだからタイのマーケットもいいかなとは思います。アメリカも行った事ないから食わず嫌いな部分はあるので機会があれば行ってみたいですね。でも、その前にヨーロッパとあとイスラエルでかな。

—– TRANCEのレーベル「GRASSHOPPER RECORDS」ともコラボしたりしてますよね。

「GRASSHOPPER」は日本のレーベルなんですけど、世界中で活動しているし、世界中の人達に作品を見て貰えるのはすごくうれしいですね。

DJ TERUBI(神眼芸術) インタビュー

—– 反応はどうですか?

ロシアとかメキシコからアピールが来たりもして。まだまだですけど徐々に広がってはいるみたいですね。

—– コラボは他には?

日本のアーティスト「Jikooha」とイスラエルの「LOUD」。あとは「HAPPY SHAKE」ともやったり。
つい最近、「DISC JUNKEY」ともやりましたね。

—– コラボするタイミングは?

やっぱり現場で会って遊んで、その場のノリですね。それはすごく大事な事で、コラボする為に近寄ったりそういうのは、ないですね。それだとビジネスになっちゃう。今年もいくつか考えてますね。構想1年以上の案もあります。

—– 納得できるものが完成するまではださない?

作品のクオリティーをあげていくと、どうしても時間がかかってしまうし、結局Tシャツなのに冬リリースになったりしちゃいますね。あまりにも細か過ぎて2つの工場で、『出来ない』って断られたり。

—– デザインは誰がやってるんですか?

7割くらいは自分の頭の中に出来ていて。それを細かく伝えてデザイナーに形にして貰う感じ。だいたいが最初のイメージよりも、もっと良くなってフィードバックがきますね。

DJ TERUBI(神眼芸術) インタビュー

—– 次のデザイン展開や今後の予定などは?

まずは春先に初期の作品の『奇跡大連発』TEEを復刻しようと思ってます。
あとはTATTOOをfeatureしたTシャツなんかも思案中。
それと、ステッカーなどの小物も、もっと充実させていきたいかな。
そして、今は関東が中心なんだけど、関東圏以外でも国内外問わず、神眼芸術のアイテムを見てもらえる機会をつくりたいかな。
ただ、さっきも話したように、全てがライフスタイルの延長からきているので、未来の話は、予定は未定。
その時に感じたリアルをその時々で発信できればと思ってます。


Interviewed by Kenichi Kono

神眼芸術-shingangeijyutsu-

SINCE 2014
アンダーグラウンドの世界を
独自の視点で発信しているブランド。
 
立ち上げ第1弾に発表したTシャツは、即日完売。
 
その後の作品も常に品薄状態が続いている。
 
2015年には、各国のビッグフェスに出演している
イスラエルのアーティスト「LOUD」の
オフィシャルコラボTシャツを手がけるなど
世界にむけても発信中。
 
DJを中心に音楽関係者との親交も深く、
2017年には活動20周年になる「JIKOOHA」のTシャツやアルバムのアートワーク
そしてワールドワイドに活動しているレーベル
「GRASSHOPPER RECORDS」のTシャツも制作
 
同年の秋には
初のEXHIBITIONを原宿、高円寺の2箇所で開催し
多くの反響をよびました。
 
また『Tokyo Underground Style』という
アンダーグラウンドに特化したパーティーも主催し、
2016年7月には3回目にしてオープンエアーパーティーも開催。
 
そして同名で、
2017年4月~7月には、下北沢にて
神眼芸術Pop-up Store
『Tokyo Underground Style』をオープン

Online Shop ⇒https://shingan.theshop.jp/
facebook ⇒https://www.facebook.com/shingangeijutsu/
Instagram ⇒https://www.instagram.com/shingangeijyutsu/

【取扱店情報】
りょく(東京・下北沢)
http://www.ryoku.net/
 
Terrapin Station(東京・高円寺)
https://www.facebook.com/Koenji.TerrapinStation/

Arch420(神奈川・平塚)
https://www.facebook.com/arch420.jp/


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