DUBKASM Japan Tour 2016 MILITANT ITES SOUND SYSTEM ＠相模原 CLUB R -Rainbow(2016.02.11) – REPORT | A-FILES オルタナティヴ・ストリートカルチャー・ウェブマガジン

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DUBKASM Japan Tour 2016 MILITANT ITES SOUND SYSTEM ＠相模原 CLUB R -Rainbow(2016.02.11) – REPORT

［2016/03/06］

DUBKASM Japan Tour 2016 MILITANT ITES SOUND SYSTEM ＠相模原 CLUB R -Rainbow(2016.02.11) – REPORT

カウンターカルチャーの源泉とも言えるイギリス、ブリストルを拠点に活動するDJ Stryda(DJ ストライダ)とDigistep(ディジステップ)によるRoots / Dub Reggaeデュオ、DUBKASM(ダブカズム)が初来日を果たした。今回の来日公演はブリストルの音とスピリッツを都内に表出させるパーティBS0が中心となり東京渋谷、京都、福岡、相模原、札幌で公演を繰り広げ、その間ライブストリーミングサイトDOMMUNEへの出演も果たすなど勢力的に各地を席巻した。

その中でこの日の会場となった相模原公演はMILITANT ITES SOUND SYSTEM（ミリタント・アイツ・サウンドステム）が全面サポート、自前のサウンドシステムにSushi Audio Workshopのサウンドサポート、その他の出演者も地元相模原をはじめ近隣の町田、八王子、立川といった地を中心にローカルシーンに根を張り活動する中で卓越した個性に磨きをかける猛者たちが顔を揃えた。

年間4回のイベントを企てサウンドシステムとラバ・ダブ・セットといったスタイルを基本軸に持っているMILITANT ITES SOUND SYSTEMだがこの日は様々なセッション、フィーチャリングも多く見られるスペシャルな形相、DUBというカテゴライズに縛られることのないラバーズロックやヒューマントラックも垣間見れるアイリーな空間でDUBKASMを迎え打った。

19時40分過ぎ、タイムテーブル通りDUBKASMが姿を現す。埋め尽くされたフロア、MILITANT ITES SOUND SYSTEMから引き継ぐ形となったDJブースは緊張感と穏やかさが交差していたように思う。ルーツへの共感とニュールーツが持つ良質さの中に潜むメッセージ性とエキサイティングな雑踏感、描かれる音の迫力に加え、物理的にも精神的にも2人の間にある信頼関係とも言える絆のようなものも感じ取る事ができた。そういった2人だからこそ、そこから放たれる音楽にはその楽しさや衝撃をいともたやすくフロアに伝える雰囲気を兼ね備えていた。

DUBというサウンドが持つドープさやサイケデリックな色合いもさることながら、それ以上に妙な小気味の良さと流れの中で魅せる無数の奮起に皆が酔いしれていたように思う。そんな中、終盤になって披露された日本でもアンセムと化している『Victory』の盛り上がりはやはり凄まじかったし、DJ Strydaが彩るサウンドとDigistepが放つサックスの音色はロマンチックかつ粋な響きを感じさせるものであった。
同じ曲でも全く違った世界や宇宙をイメージさせることができるのがDUBの魅力の1つだと思うが、この日は純粋なる楽しさといかんともしがたい壮大さを肌で感じる事ができた。

さらに共に出演した国内勢の躍動もこのパーティーの醍醐味をより一層際立たせていた。宮城から遠征する形で参戦したKEETA(SATELLITE ONE)は懐の深さを感じさせるセンスをいかんなく魅せてくれたし、INTER-NATIONAL SOUND “The Mighty Influential Warriors”は、迫力と勢いを感じさせる立体的なフロウと柔と剛が渦巻くテンションでフロアに豊かな活力を注ぎ込み、DJ INZA feat. MINAMOTOはライブ巧者として培ってきたスタイル＋αを余裕なたたずまいで見事に表現した。そしてMILITANT ITES SOUND SYSTEMクルーもこの日はto be…やYuuri Bambooといったアーティストを迎えてのスペシャルセッションでホストとしての大役を果たしながら全体の軸として良質な音を届けてくれた。

常日頃から隔たりを作ることなく各々が自分のいる場所から音楽的基盤の確立と現在のスタイルの隆盛を望み発信を続ける。その中で規模は問わずともきちんとした興行を続ける中で、ワールドワイドでの展開とローカルシーンでの展開が入り混じるこの日のような素晴らしいパーティーが生まれ育まれて行くのだと思う。根底にあるのはやはり好きな音への飽くなき追究、やれる事をやるといったシンプルな構えの中で仕掛けや企てを実らせ人が繋がり前へ前へ歩き続けるエネルギーを包括させていく。これから先もルーツへの興味は尽きないし応用や派生も楽しみたい。

これまでさほど海外からの来日アーティストの公演というものは行われてこなかった相模原という特有な音楽的土壌でサウンドシステムの分厚い音と錚々たる面々が脈々と息づくその場所に、革新とも言える可能性と愛着を感じるナイスパーティーでした。