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BAGPIPER 五社義明(Jr)INTERVIEW

BAGPIPER 五社義明(Jr)INTERVIEW

今や日本を代表し世界でもトップレベルの演奏力と存在感を持つバグパイパー五社義明氏。バグパイプを抱えステージのど真ん中で演奏する彼の立ち振る舞いからは、常に気迫と緊張感と人間味を垣間見る事が出来る。必要以上のバグパイプに対する愛とストイックな努力とそして柔軟なマインドから多くの事を学ぶ事が出来るはず。Mr バグパイパー五社義明氏のインタビューです。


BAGPIPER 五社義明(Jr)INTERVIEW

—–まずバグパイプを知らない人もいると思うので簡単に説明して頂けますか?

簡単に説明するとですね、スコットランドの民族楽器なんですけど、元々は中東とかインドの方が発祥でそれがケルト人とかアーリア人と共にスコットランドに流れて来た際にケルト系の人達に定着したって言われていますね。世界的に言うとおよそ30種類くらいのバグパイプがあるんですけど、僕がやっているのはハイランドパイプって言うスコットランドのバグパイプで一番有名な部類のバグパイプになります。

—–そんな種類があるんですね。楽器の構造なども教えて貰ってもいいですか?

袋があってリードが付いた空気を入れる筒が4本あって、バッグとパイプが付いてるからバグパイプって呼ばれています。演奏方法としては縁日で風船を膨らませてビーーって鳴る玩具があるじゃないですか?あれと同じ原理ですね。

—–あ、それだと分りやすいです。他に近い楽器はありますか?

基本的にはリード楽器の先祖って言われています。例えばサックスなどはリードが一枚で、オーボエとかファゴットはリードが二枚なんですけど、バグパイプは両方の要素を各部分で実現してたりします。基本的にメロディを奏でられる部分はチャンターというのですが強い音が必要なので2枚 、ぼーっという音のなるドローン部分については柔らかい1枚リードにて。今の楽器は袋はついてないんですけど何故かバグパイプの方が先に出てきてその発展系としていろんな楽器があるらしいです! その発展系の中間の楽器だと。。。そうですね。。演奏する笛の部分で言うとチャルメラとか後は日本で言えば竜笛とか、更にマニアックになるとフランスのボンバルドって楽器とかがあるんですけど、それらになるかな?色々と考えた結果それが進化した形がオーボエとかになるのかな。

—–大元にあの大きなバグパイプがあって、それをもっと一般的に使い易いように細分化されてそれぞれの楽器になったんですかね?なんか不思議ですね(笑)最初の楽器が一番機能が揃ってる(笑)

なぜあれが最初に出来たのかは良く分らないですよね(笑)多分鳴らし続けるっていうのがポイントになってて。例えば、行進だったり戦争でもラッパの様に戦意高揚の為に使われてたりしてたみたいなんですけど、ずっと鳴らし続けるって言う事が基本コンセプトをもとに組み立てていったらああなちゃったんじゃないかなって思いますね。シタールなんかもそうですよね。あくまでも推測ですね。詳しい事はちょっと分らないです。

BAGPIPER 五社義明(Jr)INTERVIEW

—–そのバグパイプに出会ったきっかけって言うのは?

親父がやってたんです。

—–だから”ジュニア”って呼ばれてるんですね!

そうですそうです!僕が生まれて直ぐ位に親父が始めてたんですけど気が付いたらバグパイプの音ばかり聴いてましたね。飯を食ってる時や車の中でも寝る前もバグパイプを聴かされてたような環境で(笑)ギター始めた人がそこら辺にあったギターを弾き始めたのと同じ様な感覚で当たり前の様にバグパイプがあって。それで親父に『やる?』って聞かれて始めてからかれこれ27年位経ちます(笑)

—–お父さんは趣味でバグパイプをやってたんですか?

趣味ですね。”史上最大の作戦”って言う映画でバグパイプが使われててそれを観て始めたみたいです。東京中探し回ってやっと見つけてバグパイプバンドって言うのに参加して。僕もそこに15年~16年位親父と一緒にやってました。

—–完全バグパイプ家族ですね。巨人の星的な(笑)

ですね(笑)アメリカ、香港、フランス、イギリスなどの大会にも中学一年位の頃から参加してました。

—–こういう楽器ってそういう公の場で演奏する際にどういったアプローチ方法があるんですか?

一般的な演奏方法としてはパイプバンドって言って、いわゆる鼓笛隊みたいにスネアドラムとかベースドラムと一緒に何人かがバグパイプを演奏する様なスタイルと、もう一つがリサイタル的な感じでソロで演奏するっていう2パターンが基本です。

—–そのソロっていうのは、ステージに一人でバグパイプ奏者だけが立って演奏するって事ですか?

そうですね。クラシックのバイオリンとかのソロをイメージして貰ったら分り易いかもしれないです。

—–あーなるほど。

僕の場合はThe Cherry Cokesの様なバンドのサポートをやったり、それとは別でテクノとバグパイプのユニットをやったり幅広く演奏してます。

—–というと流れ的に、最初はバグパイプのバンドで演奏して練習して、段々ソロでステージに立って演奏する様になって、色々なアーティストとコラボレーションする様になったって事ですか?

そうです。幾つかきっかけがあって。バグパイプの人達って結構表に出ないで内に篭る人達が多いんですね。それって結局ジリ貧になってしまうのでアイコニックとして出て行かないとダメだろうなって思って色々な所で活動をしていますね。そんな中で一番最初に表に出るきっかけになったのがThe Cherry Cokesなんです。

—–そうだったんですね!出会いのきっかけっていうのは?

インターネットの掲示板か何かで知り合って。一度メールでコンタクト取ったら『一回見に来ませんか?』って言われてライブを観に行ってスタジオに入る事になったんですね。それで49ersを一回も聴いた事なかったんですけどネットに入ってた1分くらいの音源を聞いてたのでそれだけを記憶に後は勘で合わせたというエピソードがあります(笑)

—–それっていつ位ですか?

もう10年前とかかな。まだ当時は彼らも音とかも全然合って無くて。。『なんだこれは?』ってなってたのを覚えてますね(笑)

—–とりあえず勢いだけみたいな(笑)今までそういうパンク系のバンドに参加する事はなかったんですよね?

無かったですね。初レコーディングが13歳か14歳の頃でマイク真木さんのレコーディングで。その後がメジャーアーティストの桃乃未琴さんでそれが17歳か18歳でした。それ以外はチョコチョコ色々なアーティストさんとはやってましたけどパンク系はThe Cherry Cokesが初でしたね。今あれだけのバンドになったので笑い話として言えるんですけど、正直言って当時は音の合わなさにビックリしました(笑)

BAGPIPER 五社義明(Jr)INTERVIEW

—–裏話ですね(笑)ちなみに今までどんな音楽を聴いてたんですか?

結構雑多に音を聴いてたんですけど、パンクとかそういうのは最初は詳しくなくて。リールビッグフィッシュとかその位だったかな。初めてCDを買ったのが、中学1年とか2年位の頃でした。

—–ちなみにそれは?

“Choo Choo TRAIN”です(笑)『こんなの音楽あるんだなー』って思って。そうしたら、4年前位にボーカルのSATSUKIさんとイベントで一緒にお仕事をする機会があって。『こんな事もあるんだなー』って(笑)

—–凄いめぐり合わせ(笑)やっぱりバグパイプ的な音源はずっと聴いてたんですよね?

アホみたいに聴いてましたね(笑)多分日本で一番聴いてたって言える位聴いてた時期があって。世界中で発売してるバグパイプCDはほとんど家にあるって位聴いてました。ただ上手いバンドじゃないと聴いてても意味が無いっていうのはあるんですけどね。

—–やっぱり全然違うんですかね?

バグパイプのレベルというか位みたいなのがあって。グレード1~5まであるのかな?5が初心者で1がトップクラスなんですけど、やっぱりグレード1の演者のCDだけを聴いてました。

—–ロックはあまり?

あまり聴いてなくて。でも嫌いでは無いのでThe Cherry Cokesとやる時に色々と参考に聴いたりはしてました。

—–ああいうアイリッシュパンクを基調としたバンドはThe Cherry Cokesと知り合って知った感じなんですね?

そうなんですよ。だからポーグスとかも知らなくて(笑)

—–あらら(笑)むしろそういうのが好きで一緒にやってたのかと。

彼らと出会う前は、バグパイプの技術をとてつも無い細かさでアホみたいに研究して練習していたんですね。でもそれを幾らやってもなかなかその価値を分かって貰えないっていう時期がずっと続いていてアホらしくさえ思ってたんです。一度もう腕をへし折ってバグパイプを辞めるか位までいきましたから。だったらもっと色んな事やってもがいてみようって思ってた時の出会いだったんです。

—–そうだったんですね。同世代とかではあまり演者はいないんですか?

今だったら同世代はいるんですけど全員生徒で。僕が始めた頃や20代前半位までは皆無。だからなんの話も出来ないという。

—–そうなると上の世代の人達しかいないわけですね。

一応いるんですけど彼らもそこまでレベルが高いわけでは無くて、やっぱり世界との差は物凄くあるので。現在の日本の他のパイパーでも一番良くてグレード2くらいですね。

—–ちなみにJr君は?

僕は僕の師匠筋にあたる世界的なパイパー曰く、グレード1です(笑)

—–そうなると世界レベルですね?

世界のトップ1000くらいなのかな? がグレード1の領域にいて、その中の一人っていうことですね。その師匠にはスコットランドの大会でも十分優勝出来るだろうとも言われました。

—–さすがですね~!そういう大会っていうのはあまり参加しない?

やっぱりああいう大会って一見さんお断り、というか権威見たいなのがあり、優勝する為には一ヶ月か一年とか大会に出続けなくてはならないっていうのがあって。当時は仕事もしてたし、後は大会で演奏技術を競い合わないといけないっていうのが単純につまらないというか。

BAGPIPER 五社義明(Jr)INTERVIEW

—–日本の大会では優勝してますよね?

覚えてる限りでは1999年~2006年の7年間の間で2位が一回で後は全部1位でしたね。なのでThe Cherry Cokesが紹介してくれる日本一っていうのは語弊ではないです(笑)

—–なるほど(笑)そうなると今は大会云々って言うよりはもっとバグパイプを広げるっていう方に力を入れてる感じなんですね?

やっぱり広げないと面白くないですよね。結局内輪の中だけで上手いねって言われててもつまらないから。今は『バグパイプって珍しいね』ってだけになってしまってるので、やっぱり音楽として認められない限り価値が無いんじゃないかなって思うんですね。そうなるとやっぱりアイコニックになる誰かがそれを広げてそして更にそれを市場として作りあげていかないと意味が無いよねって思うんです。たださっき言ったグレード1から下までの層が教える人達も含め少な過ぎますのでやらなければいけない事はたくさんあります。孤独感は半端無いんですけどね(笑)

—–なかなか話が出来る人がいないと(笑)

話をしたとしてもなかなか理解して貰えないですね。例えば指を上げる動作をコンマ何ミリまで測れる定規で5.725mを測ってずっと指の上げ下げを5時間練習するとか(笑)楽器を吹かないでひたすら同じ高さを同じスピードで繰り返すといった様な(笑)

—–ええ?(笑)さすがに他の楽器でもいないかも(笑)

かもしれないです(笑)後は解剖学の話になるんですけど、骨格を見ながら筋肉がどこにあって骨がどこにあってどういう角度が一番効率的かとか。あとは柔道とか剣道とか見ながら、動きを見た時に回転がこうなったらもっと効率的に動くとか。指の動きとか体の動きとかを常に研究したり。

—–オタク?(笑)

オタクですね(笑)アホみたいに色々な事をやってた時期がありましたね。練習も72時間ぶっ続けでやってたりとか。

—–72時間?(笑)

はい(笑)そんな時期があって気が付いたら誰もいないという。アレ?みたいな(笑)

—–完全独学なんですか?

バグパイプのバンドに一時期世界トップクラスの人がいて、その人にバンドとして教えて貰った事はありましたね。後はたまに日本に来た世界のトップクラスの人から一時間レッスンを受けるみたいなのはありましたけど、集中的に何年もみたいな事は無いです。キーワードを元に想像して色々な事に当てはめて、自分で何度も考えて自分で演奏に活かす。後はビデオをスローで回して一秒だけの動きをひたすら1時間見てるとか(笑)

—–はははは。。もう変態ですね(笑)

そこまでやった日本人は他にいないと思いますし、世界を探しても解剖学まで考える演者はあまりいないと思いますね。

—–海外にはカリスマ的な人はいるんですか?

バグパイプっていう意味ではトッププレイヤーと呼ばれていて『凄いね』っていう人はいるんですけど、いわゆるバンド的なカリスマっていうのはいないですよ。

—–それは保守的だから?

半分位保守的なんだと思います。後はバグパイプの大会で優秀すれば有名みたいな、バグパイプだけで閉ざされてる演者がほとんどな様な気がします。そこから外部の人達と合わせたら面白いねって言う考えで動いてる人達が少ない。最近いろんなことをやろうという人たちが出てきていて、バンドとかいわゆるミクスチャー的なのりの演奏自体は少しは増えて来てるみたいなんですけどやっぱりなんかちょっとダサいというかずれてる感じがします。バンドを含めてっていう意味でテクニカルでカッコいい演者はまだあんまり見た事がないですね。

—–そうなるとThe Cherry Cokesとの絡みは面白いですよね。

彼らと良く話してたのがアホみたいに凄い事をしようよっていうのがあって色々な曲をトライしましたね。Hellbound Train っていう曲とかもそうですね(笑)あれはスタジオだけののりでやってみた、みたいな(笑)ただあくまでもサポートだったので、それとは別で今やってるユニットに力を入れてます。

—–それはどんな音?

20年位前からバグパイプとテクノとか打ち込み系って合うんじゃないかってずっと思ってて。それを実現する為に今のバンドを作ったんです。CELTECHADENZAってバンドでバグパイプと打ち込みとバイオリンの3人で色々試行錯誤しながら活動してますね。

Celtechadenza 『Type-A』

—–ちょっと音を聴かせて貰いましたけど、バグパイプの音の広がりが壮大でライブを観て見たくなりますよね。

こういう表現が上手く出せればバグパイプも十分いけるんじゃないかなって思ってますね。現状バグパイプの仕事が世間にほとんど無い状態で。理由としてはバグパイプをどう使ってどう取り入れて良いのか分らない人達がほとんどだと思うんですよ。ただソロで吹く分にはまだ需要はある方なんですけど、こうやって楽曲に取り入れた時に、まだどう使っていいか分らない人が多いので、そういう意味での市場は全く無いって言ってもいいと思いますね。

—–そうするとこうやって新たなバグパイプの使い方や表現方法を提示する事で色々な可能性が見えてきますしね。

単純に知らないというのと広がっていないっていうだけの事だと思うんです。ただバグパイプって一応演奏的に色々制限があって。音がタンニングが出来ないっていうのと、休符が無いので音が切れないというのと、Bフラットの1オクターブしか出せないのでコードとかの制限がある。それとそれをカバーする為に200種類位の装飾音符っていうのがあって、指が早く動くっていうのはその装飾音符を使ってるからなんですね。そういう独自性のある楽器なので制限が出てしまう部分がバンドとしてなかなか上手くいかないのもありますね。

—–結構演奏は難しそうですね。

だいたい初心者は装飾音符と簡単な曲を練習用の楽器を使って練習してほぼ1年。その後バグパイプの本体を使って半年位経てばやっと音が出るかなっていう感じですね。

—–そうなると人前で演奏出来る様になるにはどれ位かかるんですか?

一人前のパイパーになるには一般的には7年必要だねって言われてますね。ただそこまで拘らなくていいんじゃないかって思います。楽器なので楽しく出来るのが一番だと思いますし。

—–高校生のバンドがまだあまり上手く無いけどコピーバンドでステージに立つ感覚でも全然良いわけですしね。

そうですそうです。音楽的にプロフェッショナルな事をするのは僕たちの役割であって、それを目指してくれても良いし純粋に楽しんでくれても良いと思いますよね。結構バグパイプを神聖な物だと思っている人達も多いんですけど、他と同じ”楽器”なので。神聖だと思ってたらなかなか広がらないですし。

—–神聖なちょっと敷居の高いイメージは僕もありますね。

楽器を吹いて雰囲気として神聖になるっていうのは有りだと思うんですけど、楽器自体を神聖視するのは間違ってると思う。楽器なんで広がっていかないと廃れてしまう。海外だと100万人とかのパイパーがいるので、そういう意味では色々な可能性を突き詰めていきたいなって思ってますね。なので伝統的な事をしっかりと引き継いでいって、新しい事にもチャレンジして両方やっていく事が僕の役割なんじゃないかなって。それをやってる人は他にはいないし、それをやる事が使命なのかなって思います。

—–ジュニア君みたいにちゃんと実力があって伝統を引き継いでいないと新しい事をやっても説得力が無いですしね。

普段考えるてるのが、バグパイプの演奏技術とアーティストとしての立ち振る舞いと、ステージ上での神聖性という3本柱で、基本的にアーティストっていうのは色気があってアイコニックでありっていう部分がポイントで、演奏技術っていうのは確かな技術を他人が追随出来ない位徹底的にやり込んで演奏レベルの質を高めるって事と、ステージの神聖性っていうのは立ち振る舞いに通じる部分でもあるんですけど、日本でいう神道とかシャーマニズムとか後は能なんかにも通じる様な精神でステージに立つ為にはっていう事を考えてます。

—–緊張感とか空気感とかオーラ的な部分ですよね。

そうですね。今はそれを色々試行錯誤しながらやってますね。ちょっとだけ出せる様になってきたかなって思ってますけどね。

—–他の楽器はやった事無いんですか?

昔はオーボエをちょっととトロンボーンを一年弱とベースを少々。ただそんなに弾けるっていうレベルでは無いかな?(笑)

—–でも他の楽器に浮気する事は無かった?

なんだろ、30年弱やってると生活の一部になっちゃってるので浮気っていう発想自体無くて。むしろ僕はこれが無くなったらどうなんだろう?って言う不安感しかないですね。生活とか考え方がもうバグパイプを基軸にしながら統合されてるイメージでしょうね。自分でもおかしいんだろうなって思います(笑)

—–おかしいですね確実に(笑)

でもアーティストって頭がおかしくてナンボかなって思いますし(笑)社会生活を送ってる中での礼儀とかはもちろん大切だと思いますけど、在り方っていうのは良い意味で狂って無いとダメなんだろうなって。

—–ある意味精神はパンク精神に近い(笑)

前にThe Cherry Cokesのメンバーにもパンクスよりパンクスですよねって言われた事があります(笑)

—–確かに。絶対にブレ無いし曲がらないし折れないっていう。

そうですね。なのでパンクのシーンなどは精神性って言う意味では居心地も良いし楽しいですね。RADIOTSに誘って頂いたのもそういう部分で通じているのかもしれないですね。

—–シーンに居続けて、ずっと鋲ジャンを着てブレ無いパンクロッカーと根本は同じかもしれない。

逆にそれをブラさない為にはどう生きたらいいのかな?って言うのが考え方の基準にあって。例えばメジャーから出さないの?とか事務所に入らないの?とかよく聞かれるんですけどあまり今は興味が無くて。それよりも今やってるテクノのバンドをどう自分達で活動していくかっていう形の方がアイコニックって言う意味では多分一番合ってるのかなって思います。テレビなんかに関しても必要に応じて以上の事はあまり考えてませんね。それよりもバグパイパーとしてアーティストとして日本の神にならないといけない。”ならないと”と言うよりは”なるんだろうな”っていう感覚でいるので、それに向けてどう動いて行くのかは常に考えてますね。

BAGPIPER 五社義明(Jr)INTERVIEW

—–他のアーティストから影響や感慨を受けたりはしますか?

ギタリストなどの演奏と言うよりはステージ上の動きなどは参考になったりします。後はさっきも言った様に一番は格闘家ですね。ボクサーとか柔道家とか合気道とか。『これ演奏に活かせるんじゃない?』って思いながら観てますね。

—–その心は?(笑)

バグパイプの指のスピードを上げる為にはどうしたらいいかってなった時に、指を下ろす事だけ考えがちなんですけど、『指を離した方が早いんじゃないの?』って言う発想が、ボクシングのパンチを観てて思いついたり。そういう動きが凄く勉強になりますね。

—–もうもはや楽器じゃない(笑)

アスリートに近いのかな?(笑)

—–完全アスリート的な感覚ですよね。たまたま音が出てるだけで(笑)

後は政治家だったりお笑い芸人だったりそういう立ち位置だったり話す時の目線だったり立ち振る舞いだったり、カリスマ性って言う部分に重点を置いてる人達は感慨を受けたりします。そこまでいくともう変人なんですけど(笑)

—–それは誰もついて来れなくなって孤独になりますよ(笑)

多分ミュージシャンの中でも異質な存在かもしれない。

—–異質な楽器を演奏して異質な存在だったら尚更ですね(笑)

まーミュージシャンって孤独でナンボなんじゃないかなとは思ってますから(笑)じゃないと大衆迎合じゃないですけど、どんどん価値が無くなっていってしまうので。

—–一人で演奏してる時に好きなシチュエーションってあるんですか?

やっぱり音楽なので楽しんで貰わないとっていうのが一番に思いますね。じっと聴いて貰うのももちろんいいんですけど、みんなが楽しんで貰って全体のバイブスが上がってくる感じが一番好きですね。

—–そうなるとバンドとやるシチュエーションは割りと気持ちが良い?

そうですね。ああいう場だと人のカオス具合が凄いなって思います。あの状況は楽しいです。そうなってくると自分のスウィッチが何段階かあるみたいで、勝手にカチカチって上がって来て最大限になるともう自分でも指が何をやってるか分からない位の世界に入っていくという(笑)指が踊ってしまって音と指の動きがもう分からなくなってしまいますね。

—–音と会場と体が一体化してしまうんでしょうね。ランナーズハイじゃないですけど。

そんな感覚ですね。あれはもう何物にも変え難い快感の一つです。

—–それは一人の演奏の時はあまり感じない感覚?

一人の時はあまり無くて。あ、でもたまに手拍子が起きた時とかはスウィッチが入ってしまう事はあります。ただロックやパンクの様な騒ぐっていう物理的な動きは無くても心理的な動きっていうのがなんとなく色で見えるというか。その瞬間は気持ちが良いですね。目を閉じながら演奏する事が多いんですけど、どの辺りが集中してないなとか、あそこら辺りは話してて興味無さそうだなとか、ここの辺りは気になってるなとか、そういうのは感じます。

—–もう極めちゃってますね。

日本におけるバグパイプの神になるっていうのが今のキーワードの一つでもあるので、そうなる為にはどうあるべきかって事をプロモーションを含めしっかりとやっていかないとって思ってますね。最近はTwitterとかでマニアックな呟きをしたりして様子をみてますけど(笑)

—–誰がついて来るかなって(笑)

そうですね(笑)でも面白いみたいで知らない内に色々な人が見てくれたりはしてるみたいですね。でも『言ってる意味が分からないっす』って(笑)『そうだよね。でもそれで良いんだよ。』って(笑)でも分からなくても何が凄いって言う事だけでも伝わればとりあえずはそれで良いのかなって。

—–興味を持つって事が大事ですしね。

後はバグパイプ自体が一般的に男っぽいっていうイメージの楽器なので、もっと男っぽさの色気っていうのを出せたらとは思いますね。イメージでいうと新撰組の色気みたいな。尖がってて切られるんじゃないかって言う怖さの中に、優しさを持った魅力というか。そういう表現が出来たらいいなって思うんですけど、これまた難しくて自分でハードルを上げてるんですけどね(笑)

—–でもそれが伝わったらもっと間口が広がりますよね。

今は色々な事を組み合わせて試行錯誤してますね。

—–ちなみに今後の予定は?

基本的にはソロとテクノのバンドのCELTECHADENZAの2つですね。ライブを繰り返しつつプロモーション活動していこうかなと。

—–ちょっと今度是非バンドの方を見てみたいので!かなりマニアアックな(笑)良い話が聞けました。今日はありがとうございました!

ありがとうございました!


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Interviewed By Kenichi Kono


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