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GYPSY PRINCESS インタビュー

[2018/03/29]

GYPSY PRINCESS インタビュー

2017年、ジャマイカキングストンでSly&Robbieらとレコーディングを敢行し、そのおよそ約1年後に206ヶ国、106言語の愛の言葉が詰まった待望のシングル”UNITY”をリリースしたGYPSY PRINCESSのインタビュー。UNITY誕生秘話やジャマイカでのレコーディングのお話をお伺いしました。


GYPSY PRINCESS Interview

—– 今回のプロジェクト「UNITY」をやろうと思ったのはいつ頃ですか?

元々、20歳頃から色々な国へ1人旅をし来て。キューバやインドとか、アフリカではフェスで歌ったし。そういう活動をしていく中で、実際に出会った様々な環境の人達に対して何も出来ない自分がいて。例えば、お金を恵んで欲しいという子供に少しのコインを渡せたとしても、1人が10人に、10人が100人にってなるでしょ。だから全てを救うのは難しいなって。その頃から、ずっと自分には何が出来るのか?って事は考え始めてたよね。

—– 結構募る想いがあるんですね。

そうなんです。それを考えると、18歳の頃に行ったメキシコがスタートかもしれない。

—– メキシコではどんな経験を?

観光地にあるホテルでは白人のエクスクルーシブな人達が豪華にパーティーをしていて、その傍ら、薄い壁1枚を挟んで反対側には寝るところのない子供たちがいて。世界中いろんなところでそういう光景があって。こんなにも差が激しいのに誰も何にも気にしないで楽しく過ごしてるのを見て、人間の現実的な部分を突きつけられたっていうか。まだ18歳だったんですけど、それからそういう想いを募らせて歌を歌ったり旅をしてきましたね。

—– その中で具体的に動き出したきっかけというのは?

3~4年前位、なんかのきっかけで今までの経験、アイデアや思いとかが1つなる瞬間があって。で、スライ&ロビーに出会ったのがもっと前になるんですけど、『なんかあったらいつでも声かけてくれ』って言われてて。このプロジェクトのタイミングで一緒に出来たらなって。どんどん具体的なイメージが沸いてきましたね。

—– そもそもスライ&ロビーに出会ったきっかけっていうのは?

ブルーノートにスライ&ロビーを観に行ったときに、楽屋で仲良くなって。その時に彼らのマネージャーとも仲良くなったんですけど、後にそのマネージャーの人がスタジオに遊びに来てくれて歌声を聴いて貰う機会があって。『The world is waiting for you』って言われたんです。

—– 凄い言葉ですね、それ(笑)。

でしょ?(笑)。結構本気で言ってくれてたみたいなんですけど、実際にピンと来てなくて。特にお願いするような案件も無かったし。ただ、ジャマイカまで行ってレコーディングするんだったら、魂を込めた楽曲を持って行きたいっていうのはずっと思ってた。

—– 世界を旅してた時の想いと、ジャマイカへの想いと、色々な点が徐々に1つになってUNITYプロジェクトが生まれたわけですね。

そうなんです。すべてが繋がった時に、自分のやりたい事が確信となって、ジャマイカレコーディングを決めましたね。

—– ジャマイカへはいつ?

2017年の1月13日からジャマイカ入りして。1月17日がレコーディング。

—– レコーディングはすんなりといきましたか?

結構曲が長いのと構成がやや複雑なのもあって、1曲レコーディングするのに4時間位を確保してたんですけど、結構ミュージシャンチームが、『WOW、こんなにキメあるんだ!』って(笑)。結局6時間位かかりましたね。

—– 「UNITY」の曲はいつ頃から書き始めたんですか?

ガッツリ本気出して集中して制作し始めたのはレコーディングの1年位前なので2016年頭とかですね。

—– 結構時間はかかった方ですか?

楽曲ももちろんそうなんですけど、206ヵ国、106言語の”愛”という言葉を調べる作業にも物凄くエネルギーを注ぎましたね。アイデアは降りて来てたんですけど、そこまで辿り着くまでに費やしたエネルギーは半端じゃなかった。

—– 片手間で出来る事じゃないですしね。

自分を追い込んで作業してましたね。

—– 延々と終わりのない作業をしてそうですよね(笑)。

そう(笑)。だから目標は必要だったので日程だけを決めようと思って。でも、普通だったら向こうもアルバムレコーディングとかのオファーが多いと思うんですけど、なんせ1曲だけのレコーディングっていうのもあって、なかなか日程の返事が来なくて。それで忘れてた頃に、『この月はどうだ!?』って(笑)。その頃は、もうなんか無意識の内に色々決まっていったって感じ。なんか導かれてたような(笑)。

—– でも、本当にちゃんと日程がブッキングされてるのかな?とかの不安は無かったんですか?

結構ハラハラはしてましたね。現地入りしてからも数日間は。でも、マネージャーと日程を決める時に、『とにかく魂かけてる曲だから』って言ってあったし、その気持ちも汲んで動いてくれてたっていう確信はあったから。

—– 実際レコーディングが実行されたらされたで色々また違うハラハラがあったのでは?

曲の伝え方ですね。どうやってこの曲をアーティスト達に伝えて共有するか。そこがレコーディングに至るまでは時間がかかったし、一番大変でしたね。曲は長いし、キメも多いし。でも、曲のニュアンスを覚えてからは、凄くスムーズで、実際のレコーディング自体も録りは早かったですね。

—– 何に時間がかかってしまったんですか?

ミュージシャンチームが、『もっとこの方が良いと思う』って色々変更したり言ってくれたりして。そのやり取りに時間がかかってしまって。でも、建設的な話だったので必要な時間ではありましたね。

—– レコーディングの仕方は?

基本は一発録りで、ちょいちょい修正する感じでしたね。

—– バーンって音を聴いた時はどうでした?

一発目に聞いたときは安心感のある音に包まれながら、音の中にある本当に細かい感情(Vibes)をキャッチする努力をしましたね。同じとこ見てるかなって。レコーディングに参加したアーティストは、スライ&ロビーを含めロビーリンやダルトン・ブラウンといったレジェンダリーな豪華アーティスト達だったんですけど、私ってそもそもあまり有名だからとか、名前で判断しないから(笑) 
人としてフィーリングが合うかが大切でそこから音を作り出していったので、緊張するとか感激するとかそういう感じではなくて、この曲をより良く仕上げる事しか考えていなかったから、ほとんど褒めなかったですね(笑)。

—– 普通であれば舞い上がっちゃいそうですけどね(笑)。

もちろん心の中では、やっぱりすごいなっていう想いはありつつ、普通に修正の指示とか出してました(笑)。『はい!次!』みたいな(笑)。自分が伝えたいサウンドにどう近づけるかだけを考えてた。

—– 結構リテイクはすんなり受けてくれてたんですか?

全然みんな私が言った箇所とかは気持ち良く直してくれたし、言わなくても自分から直すミュージシャンもいたし、凄く自然な形ではありましたね。

—– 百戦錬磨ですからね。

そうそう。だから、レコーディングが始まってからはスムーズでしたね。でも、ロビーのベースソロを直して欲しい箇所があって。ファーストテイクだったし、気持ちを入れて弾いてくれてたので正直リテイクをお願いするか迷ったんですけど、ロビーリンが凄くまじめな人でレコーディング自体も仕切ってくれてたお爺ちゃんなんですけど、彼が、『気になるんだったら妥協しないでちゃんと言った方がいいよ』って代わりに言ってくれて。凄くサポートして貰えましたね。

—– スタジオの雰囲気は良さそうですね。

う~ん、雰囲気は良かったと思うんですけど、終始良い意味の緊張感は続いてましたね。結構気張ってたというか、踏ん張ってたので、気迫のある怖い顔をずっとしてたかもししれないですね(笑)。『一時も油断出来ない!』って(笑)。普段の彼らがどんな感じでレコーディングしてるのかはわからないけど、その時は完全に自分の空間に彼らを呼んだって感覚だった。そこがジャマイカとか他の国とか関係無く。

—– 1曲の為にわざわざジャマイカまで来てるわけですし、その気合はさすがに伝わってますよね?(笑)

伝わってたでしょう(笑)。おもしろかったのが、歌詞カードをみんなに渡したんですけど、受け取ったのがスライだけで、他のメンバーは言葉じゃなくてフィーリングで弾きたいみたいで。そんな中、受け取ってくれたスライのやさしさに感動したし、器の大きなミュージシャンだなって。

—– 受けとるだけ受け取って見なければ良い話なんですけどね(笑)。

でしょ?貰ってくれてもいいのに(笑)。でも、他のミュージシャンも結果を音で出してくれてたから何の文句もないですね。

—– ミュージシャンチームもある程度はコンセプトは分かっていたんですよね?

レコーディング前にちゃんと206ヵ国,106言語の愛が詰まっていてって事は説明して。『そこんところ夜露死九!』って(笑)。そしたら、『ヤーマン、ヤーマン』って(笑)。

—– ユルっ!って(笑)。

大和魂 VS ヤーマン魂ですよ(笑)。

—– ちなみに、その106言語は覚えましたか?

もう、歌詞カード見ないでも歌えますね。

—– ボーカル録りは?スムーズにいきました?

ボーカル録りは、オケのレコーディングから少し時間があったので、地元の人達と交流したりして気の流れを整えながら、2週間後にやって。

—– リラックス出来ましたか?

ほぼ一発録りで何か所か発音を直したりした位だった。でもレコーディングの1週間前かなんかに蜂に6箇所も刺されるという凄い洗礼を受けて(笑)痛いし痒いし熱は出るしみたいな状態で大丈夫か?と思ったけど、現地の病院は逆に怖いし(笑)でも現地のラスタの女の人がニンニクで治療してくれたおかげで、リラックスして歌えて。歌ってる時は今まで旅して出会った人とか友達とか家族とか、今まで会った人全員の顔が思い浮かんできましたね。それ位余裕があったというか。顔が浮かんできながら、歌に魂を乗せていくような。不思議な感覚でした。

—– このレコーディングで浄化されたような?

それはありますね。ザックリ言うと、元々前世がキューバのソルジャーだったので。

—– いきなりだしザックリ過ぎますが(笑)。

そうね(笑)。ソルジャーだったのよ。で、私の今世の使命は、前世の頃に行なった行為を補うっていう事だと思ってるから、そういう部分も含めて一回肩の荷が下りたっていう感覚はありますね。

—– やっぱりザックリ過ぎるので(笑)。またこの話は次回に(笑)。

読んでるみんなは理解出来ないと思うので、キューバのソルジャーっていう事が分かって貰えれば良いです(笑)。でも、まじめな話、ソルジャーの話も真面目なんですが(笑)、でも1つの人生の節目にはなりましたね。

—– リリースのCDはどんな内容なんですか?

「UNITY」の日本語バージョンと英語バージョンの2曲に、現地のステイ先のお庭でサラっとノリで録った曲が1曲。

—– 対極的な2曲ですね。

スタジオ代やギャラも払って、全ての魂も込めて一流のレジェンド的なアーティストと録った曲と、お金はかかってないし行き当たりばったりな展開で人ん家の庭で本能のままに録った物凄くチルな曲が同じフィールドにあっても良いんじゃないかなって思って。

—– 良いですね。その感覚。

嘘偽りのない、その時の雰囲気や気持ちや感覚がパッケージされた曲だから。今同じ事やれって言われても出来ないよね。

—– ジャマイカならではの空気感ですよね。ちなみに、ジャマイカの好きなところと嫌いなところってありますか?

好きなところは、凄くスピリチュアルで相性が良い。ジャマイカって、己の気とか波動次第でどうにでもなるっていう国。良い波動を持ってると、良い人間に会って良い事が続く。自分がネガティブだと、嫌な事が続く。己次第。シンプルだよね。

—– なるほどなるほど。

だから会話が凄く早い。会って2秒でそっちの感覚で会話できるから余計な前ぶりとか話とかあまり要らなくて。繋がりが早いからあまり話をしなくても分かり合える。そこが凄く良いところ。

—– 悪い部分は?

まだまだ貧困が多い部分ですね。それは、ジャマイカだけに限った事はないんですけど。国とか国民を守るべき警官とか政府関係の人達が悪党だったりの世界だから、国民はやり場がないのね。そこに対して、暴力とか犯罪が起きて。そうせざる得ない環境ではありますね。だから音楽があそこまでストイックに生まれたんだと思うし、音に救われて来たんだと思いますが。

—– ジャマイカに住みたいと思いますか?

私は全然住めちゃうと思う(笑)。話早いし(笑)。でも治安は悪いですね。あとは、経済がそんなに良くない。世界的な有名なミュージシャンとかでも全然お金なくて。面白い話があって。ホームパーティーに色々なミュージシャンを呼んだんですけど、来ない人が多くて。純粋に来るお金がないみたいで、友達に『あの人たちは、タクシー代払わないと来ないよ』って(笑)。

—– そんなんなんですね(笑)。

ホームパーティー主催するのに交通費いくら払えばいいんだ?みたいなね(笑)。

—– でも、ジャマイカって有名無名問わずたくさんミュージシャンがいるんですよね?

めっちゃたくさんいて、みんな才能ある。ストリートとかオープンマイクとかで演奏してる人達のレベルがもう全然高くて。

—– ミュージシャンっていう感覚もないのかもですね。

もうライフワークというか、生活の一部。音楽が毎日鳴ってる。

—– それでもジャマイカから世界にたくさんのアーティストを輩出しているかっていうとそういうわけでもない。

そこは経済的な話なんだと思いますよ。私がレコーディングしたスタジオは、ジャマイカでは大手の1つで値段ももちろんそこそこするんですけど、たぶんローカルのアーティストはそういうスタジオで一生かかってもレコーディング出来ないような感じだと思います。実力は全然あるのに。でも、その代わり庭でレコーディング。安いコンポ買って完全アナログレコーディング。

—– カセットの赤いボタンと黒いボタンを一緒に押してみたいなノリですね(笑)。

そうそう(笑)。夕方位になると色々なところからサウンドシステムが聴こえてきて、あらゆる所で音が鳴ってる。日曜日の朝は、お掃除のおばちゃんがゴスペル歌いながらお掃除してて。それが、半端ない位上手い(笑)。

—– 生まれてから毎日そんな生活してたら、自然とそうなるのでしょうね。

良い意味でも悪い意味でも、それしかないっていうか。

—– そんなジャマイカでレコーディングをしたシングル『UNITY』が発売されたのが昨年12月ですよね?

リリース日が寝てる時に、フッと降りてきて(笑)。のちのち調べたらジョンレノンの命日で。ジョンレノンは、凄くファンっていうわけではないんですけど、彼も『IMAGINE』っていう曲を書いてて、世界平和を願っていたアーティストの1人だったので、『UNITY』のコンセプトに近いなって。それと、釈迦が悟りを開いた日(笑)。

—– (笑)。リリース後の反響はどうですか?

全部自分で動いてプロモーションも最低限でやってて、周りの友達とかが凄く協力してくれたりの中で、ラジオで曲を流して貰ったり、雑誌に掲載して貰えたり、徐々に動き出してるかなって感じですね。ドカン!っていう爆発力がなくても、ゆっくり長い時間をかけて広げていきたいなって思ってます。

—– 意外な国のラジオでも流れたっていう話があるようですが?

ロンドンでも流れて、あとはコモロっていう小さな島国のテレビ局の人がとりあげてくれて。

—– 世界には、英語を話せない人もたくさんいるだろうし、UNITYを聴いて、突然母国語で”LOVE”が聴こえてきたらうれしいでしょうね。

自分で全部調べたから、発音がちゃんとしてるか分からないですけど、気持ちだけでも伝われば。

—– 大阪弁っぽく聞こえるかもしれないですね(笑)。

それはそれで面白い(笑)。

—– 実際、最近ラジオのパーソナリティーもやっているようですね?

FM戸塚にゲストで呼んで貰った時に、凄く気に入って貰えて、そのまま不定期にパーソナリティーもやらせて貰ってます。

—– 今後の予定などは?

今後は国内、また世界のより多くの人にUNITYのメッセージを伝えていけるように最善の努力をする事、そして新しい事にも挑戦していこうと思って。実は…青山のレッドシューズで3月20日(火)から1日マダムをやることになったのでだいたい火曜日にいます(笑) そこに行けば私いるよみたいな存在になれればなって。今後は不定期になるけど、Express yourselfってアートや表現なら誰でも参加出来る(Live,DJ,VJ,芝居、朗読、写真、映像など)オープンマイクみたいなイベントを組んだり、アーティストだけでなく、一般の社会人もゲストに招いてトークショーやったり(ジプコの部屋みたいな 笑)、Jazz nightなども開催できたらなって目論み中…みんなが心あたたまる空間に出来たらなって思ってるんで是非遊びに来てください!

詳細はこちらからも確認できます http://synchronicity.babyblue/jp


Interviewed by Kenichi Kono

リリース情報

GYPSY PRINCESS『UNITY』Release

GYPSY PRINCESS
『UNITY』
2017.12.08 Release

01.UNITY (English)
02.UNITY (Japanese)
03.Kingstone is in my soul
(Bonus track)

Price ¥1000

ジャマイカキングストンでSly&Robbieらとレコーディング。206ヶ国、106言語の愛の言葉が詰まった待望のシングル”UNITY”を12月8日にリリース!
Amazon,iTunesからも購入可能。

http://synchronicity.babyblue.jp


UNITY / GYPSY PRINCESS, Sly&Robbie, Robbie Lyn and Dalton Browne. One love


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