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日系移民写真家 大原治雄 展覧会「ブラジルの光、家族の風景」2016年10月22日(土)~12月4日(日) at 清里フォトアートミュージアム

[2016/08/18]
日系移民写真家 大原治雄 展覧会「ブラジルの光、家族の風景」2016年10月22日(土)~12月4日(日) at 清里フォトアートミュージアム

朝の雲、パラナ州テラ・ボア、1952年 (C)Haruo Ohara / Instituto Moreira Salles collection


日系移民写真家・大原治雄の展覧会 「ブラジルの光、家族の風景」10月22日から山梨で開催
~180点のモノクロ作品から見る表現力と精神性~

日系移民として高知県からブラジルへ渡り、アマチュア写真家としてブラジル国内で大変高い評価を得た“知られざる巨匠”大原治雄(おおはら はるお)の回顧展「ブラジルの光、家族の風景」を、2016年10月22日(土)から12月4日(日)の期間で開催いたします。

本展覧会は、2016年6月に大原の出身地・高知県で“里帰り”展として始まった巡回展の最終の地。17歳でブラジルへ出航した神戸港近くの伊丹市へ巡回し、大原の写真集がブラジルから日本へ2009年に初上陸した地・ここ清里で閉幕を迎えます。

ブラジル屈指の写真コレクションを誇るモレイラ・サーレス財団は、日本での大原治雄展開催の機会を求め、2009年に清里フォトアートミュージアムへ写真集を寄贈。しかし当時は開催が実現せず、2015年「ブラジル・日本国交120周年」を機会に、ブラジル大使館から再度打診があり、7年越しで、高知県立美術館、伊丹市立美術館、そして今回の清里フォトアートミュージアムでの開催が実現しました。


大原治雄「ブラジルの光、家族の風景」

会期:10月22日(土)~12月4日(日)※火曜休館
主催:清里フォトアートミュージアム、モレイラ・サーレス財団、駐日ブラジル大使館
後援:山梨県教育委員会(予定)、北杜市教育委員会
企画協力:株式会社コンタクト

<会場・清里フォトアートミュージアム>
アクセス:車/中央自動車道須玉I.C.または長坂I.C.より車で約20分
JR/中央本線「小淵沢駅」から小海線「清里駅」下車、車で約10分
詳細: http://www.kmopa.com/?page_id=3258
開館時間:10:00~18:00(入館は閉館30分前まで)
12月1日~4日は10:00~17:00
入館料:一般800円(600円)/学生600円(400円)
中・高生400円(200円)/友の会・会員 無料
※( )内は20名様以上の団体料金
※家族割引あり(2名以上~6名様まで)
※大原治雄の誕生日(11月5日)および山梨県民の日(11月20日)は入館料無料


初めて撮影したのは妻 大原治雄の生涯(1909-1999)

大原は、日本からブラジルへ最初の移民船「笠戸丸」が出航した翌年の1909年、高知県吾川郡三瀬村石見(現・いの町)に生まれました。1927年、17歳で家族らと集団移民としてブラジルに渡り、当初はサンパウロの農園で農場労働者として働きます。その後、未開拓の地、パラナ州ロンドリーナ(リオデジャネイロから約800キロ)に最初の開拓者の一人として入植しました。

24歳で結婚すると、それを機に、人生の大切な日の記録を残すことのできる写真に興味を持ち、4年後の1938年に小型カメラを購入。初めて撮影したのは《オレンジの木の隣にいる幸(こう)》(幸は大原夫人)でした。以来、農作業の合間に写真を撮るようになります。

独自の研究を重ねて技術を習得し、1951年(41歳)にはサンパウロの有名カメラクラブ「フォトシネクラブ・バンデイランチ」の会員に。国内外の写真展に出品を重ねると、1970年代初頭からは名前も知られ始め、地元の新聞への掲載、個展開催、フォトフェスティバルへの出品など、徐々に高い評価を受けるようになりました。

1998年、「ロンドリーナ国際フェスティバル」および「第2回クリチバ市国際写真ビエンナーレ」で、初の個展「Olhares(眼差し)」展を開催。そして翌1999年5月、家族に見守られながらロンドリーナで永眠しました(享年89歳)。


本展覧会のみどころ ― 180点のモノクロ作品が語るもの

大原は、開拓したロンドリーナの町の発展は記録しましたが、過酷な労働や戦時中の混乱は、いっさい撮影しませんでした。あくまでも生活に根ざし、アマチュアの“農民写真家”を貫いたのです。農業を楽しみ、命を育む大地の恵みに感謝し、そして、新しい物事を学び、想像力を失わないこと ― それが、写真を通して、大原が子どもたちに伝え、残したかったことかもしれません。大原の生涯を支えた写真が湛える豊かな表現力と深い精神性は、時代を超えて、人々の心に響きます。

1999年、大原は家族に見守られながら、89歳で永眠します。治雄と幸夫人に始まった大原家は、現在70人を超す大家族となっています。2008年、日本人のブラジル移民100周年記念の年に、遺族により、オリジナル・プリント、約2万枚のネガフィルム、写真用機材、蔵書、日記など一連の資料が「モレイラ・サーレス財団」に寄贈されました。本展覧会では、同財団のコレクションよりモノクロ作品約180点を展示いたします。

また、幸夫人が亡くなったのち、大原は、9人の子どもたち一人ひとりのために、過去の膨大なネガを見直して編集し、家族の歴史を一冊にまとめた「アルバム帖」を作成しています。1年間暗室にこもって一冊あたり約300枚もの写真を焼き、貼り付け、9冊を仕上げました。本展覧会では、その貴重な「アルバム帖」も展示いたします。


日系移民写真家 大原治雄 展覧会「ブラジルの光、家族の風景」2016年10月22日(土)~12月4日(日) at 清里フォトアートミュージアム

渦、パラナ州ロンドリーナ、1957年 (C)Haruo Ohara / Instituto Moreira Salles collection

日系移民写真家 大原治雄 展覧会「ブラジルの光、家族の風景」2016年10月22日(土)~12月4日(日) at 清里フォトアートミュージアム

シャカラ・アララの中心地、パラナ州ロンドリーナ、1950年代 (C)Haruo Ohara / Instituto Moreira Salles collection

日系移民写真家 大原治雄 展覧会「ブラジルの光、家族の風景」2016年10月22日(土)~12月4日(日) at 清里フォトアートミュージアム

眞田準の農園、パラナ州ロンドリーナ、195

日系移民写真家 大原治雄 展覧会「ブラジルの光、家族の風景」2016年10月22日(土)~12月4日(日) at 清里フォトアートミュージアム

霜害後のコーヒー農園、パラナ州ロンドリーナ、1940年頃 (C)Haruo Ohara / Instituto Moreira Salles collection

日系移民写真家 大原治雄 展覧会「ブラジルの光、家族の風景」2016年10月22日(土)~12月4日(日) at 清里フォトアートミュージアム

コーヒーの実の天日乾燥場:治雄の息子・スナオ、パラナ州ロンドリーナ、シャカラ・アララ、1949年頃 (C)Haruo Ohara / Instituto Moreira Salles collection

日系移民写真家 大原治雄 展覧会「ブラジルの光、家族の風景」2016年10月22日(土)~12月4日(日) at 清里フォトアートミュージアム

花壇での遊び、パラナ州ロンドリーナ、シャカラ・アララ、1950年頃 (C)Haruo Ohara / Instituto Moreira Salles collection

日系移民写真家 大原治雄 展覧会「ブラジルの光、家族の風景」2016年10月22日(土)~12月4日(日) at 清里フォトアートミュージアム

コーヒーの収穫に向かう朝、パラナ州ロンドリーナ、シャカラ・アララ、1940年 (C)Haruo Ohara / Instituto Moreira Salles collectionナ、シャカラ・アララ1940年(C)Haruo Ohara / Instituto Moreira Salles collection

日系移民写真家 大原治雄 展覧会「ブラジルの光、家族の風景」2016年10月22日(土)~12月4日(日) at 清里フォトアートミュージアム

治雄の娘・マリアと甥・富田カズオ、パラナ州ロンドリーナ、富田農園、1955年 (C)Haruo Ohara / Instituto Moreira Salles collection

日系移民写真家 大原治雄 展覧会「ブラジルの光、家族の風景」2016年10月22日(土)~12月4日(日) at 清里フォトアートミュージアム

家族の集合写真、パラナ州ロンドリーナ、シャカラ・アララ、1950年頃 (C)Haruo Ohara / Instituto Moreira Salles collection


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