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HIKARI SONG GIFT Vol.4 (AOI SANO × Arjun Pakhrin) Interview

HIKARI SONG GIFT (AOI SANO × Arjun Pakhrin) Interview

日本とネパールを繋ぎ共に分かち合い作り上げるイベントがある。

2015年に発生したネパール大震災をきっかけにスタートした日本からネパールにソーラーランタンと音楽を届けるプロジェクト『HIKARI SONG GIFT』が今年はドラカ郡 ソクラ村で開催された。主催のシンガーソングライター、佐野碧と、ソクラ村出身で今回の開催に尽力したネパールのジャーナリストでもあり祈祷師でもあるArjun Pakhrinに開催を終えて話しを伺った。

電力不足、道路の整備、仕事の問題など村として取り組んでいかなくてはならない様々な課題がある中で、今回このイベントがきっかけで市長がはじめてこの村を訪れいくつかの約束をするなど実りある可能性を拡げることもできた。

音楽は生活と共にあり、光はその生活を彩り心を穏やかにする。終わりなきはじまりとも言えるこの交流は新たな局面を迎えたのかも知れない。そして彼女は言った、これからはサポートやヘルプではなくサンガイ(一緒に)、ヒカリはホープ(希望)だと。


HIKARI SONG GIFTとは

2015年に起きたネパール大地震。
同じ震災を経験した日本から、電力が不足しているネパールへ、1000個のソーラーランタンを届けることを目標とし、これまで日本でのライブ活動などを通してこのプロジェクトを続けてきました。協力して下さった義捐金で585個(初年度に295個、2年目100個、3年目88個、4年目102個)の持ち運び可能なソーラーランタンを贈ることができました。

ランタンはチャリティフェスティバル中は、流れる音楽と共に、キャンドルライトとして使われます。そして、フェスティバルの後は、日常生活において電気の代わりとして使用します。夜道を歩く道を照らし、勉強をする本を照らし、明かりが必要なさまざまな状況で活躍します。

また、このランタンは、ただのランタンではなく、同じ震災を経験した日本とネパールを繋ぐ希望のヒカリになってほしいと願っています。事実、フェスティバルの翌日にランタンを持った子どもたちが、「昨日楽しかったね」と言って走り回っていた姿が、まさに希望のヒカリでした。

HIKARI SONG GIFT Vol.4 (AOI SANO × Arjun Pakhrin) Interview


HIKARI SONG GIFT Vol.4 (AOI SANO × Arjun Pakhrin) インタビュー

—– まずは『HIKARI SONG GIFT Vol.4』を終えての率直な感想をお聞かせください。

Arjun: 歴史上この村でこういったイベントが開かれたのは初めてのことです。標高の少し高いところに街があって、そこからどんどん下っていって、狭い所に家があって、その下には川がある。そういった所に村があります。そういう場所で歌を歌ったり、踊ったりするイベントをするというのは大変でもの凄い事です。今回そういったイベントがこの村でもできた事が本当に嬉しかったし誇らしかったです。

AOI: 今回はネパールの人達が中心となってくれて、そこに日本人が加わり一緒にやる事ができたのが本当に良かったし、素敵だなと思いました。色々なトラブルがあったけどそこでちゃんと話しをして、リスペクトしながらできたのも良かったですね。チームワークがどんどん一体となっていく時間を感じられました。

—– 今回現地でArjunさんが中心となりステージとかを事前に作ってくれていたっていうのは今までの3回とは異なることですよね。

AOI: そうですね。以前は忙しすぎて他の方達のステージをあまり観る事ができなかったんですけど、今回はArjunがそういったステージの事とかをやってくれたりした事で色々なパフォーマンスを観ることができたし、本当に半分助けてもらったなっていう感覚です。祈祷師のお祈りやタマン族のダンスとか、初めて観るパフォーマンスをゆっくり観る事ができたのですごく刺激をもらいました。

Arjun: 私は1回目、2回目は参加していないので分かりませんが、前回チェパン村で開催されたHIKARI SONG GIFTには参加しました。あそこは地理的にもすごく大変な所で、山を登っていかなくては村にたどり着けません。今回開催されたソクラ村の場合は谷に下りていかなくてはならないけど、チェパン村に比べたらすこしはラクだったのかなと思います。そしてドラカにはすごく色々なカルチャーがあるので、そういう観点からパフォーマンスの面ではバラエティーに富んだ内容にできたので良かったのではないかと思います。

HIKARI SONG GIFT Vol.4 (AOI SANO × Arjun Pakhrin) Interview

—– 祈祷師のお祈りの際に集まっていたメンバーはどのように選ばれた方々なのですか?

Arjun: 今回4つの村の人達が集まってイベントを開催したわけですが、その各村のジャクリ(シャーマン/祈祷師)の人達に事前に声を掛けました。その中で実際に当日お祈りをしたメンバーは誰かがセレクトした訳ではなく、その当日神が降りて来たと感じた人達が集まった形です。

AOI: 当日はじめて集まったのにみんなお祈りの動きとかダンスが解っていたのはなぜですか?

Arjun: シヴァ、パールヴァティ、デーヴィ、ラムルなど様々な神様がいて、その中で私はシヴァなんですけど、みんな何かを担っていて、その中で役割があります。シヴァが片手に持つ先が3つに分かれた槍を用いてお祈りをした後は自然に踊りがはじまります。特に練習をしたり、誰かが動きを教えたりする事はありません。

—– そのジャクリ(シャーマン/祈祷師)にはどうやったらなれるのですか?

Arjun: ジャクリ(シャーマン/祈祷師)になる一番最初はまず病気になります。その期間は仕事も勉強もしません。メンタルも含め気が狂っているんじゃないかって位おかしな状態になります。それは周りにいる人が「あなたは何をしているの?」「どうしたの?」って心配になって声を掛けるほどの状態です。そこで自分に神が降りて来ていること、男性なら「シヴァ」であったり、女性であれば「デーヴィ」であったりという事を認識しグルナと呼ばれる先生のような存在の人に申告します。その後にグルナの指示に従い7つほど火の光を灯し、コットンの糸にその火を点けそれを食べます。7つすべての火から点けたコットンの糸を食べ終わったら、白い衣装や装飾品を自分でまとうことでジャクリ(シャーマン/祈祷師)として認められます。

火を食べてジャクリ(シャーマン/祈祷師)になった後、よりストロングになるためにネパールでは亡くなった人が火葬された現場に行きます。それはグルナと一緒に行くんだけど、そこでゴーストとかと闘うことによりさらにパワフルになります。それを一生のうちに多い人で3回、少なくても最低1回は行わなくてはなりません。

あの日衣装を着ていた人は全てそういった洗礼を受けてジャクリ(シャーマン/祈祷師)になりました。
あと、その他に衣装を着ていなかった人の中にもジャクリ(シャーマン/祈祷師)として洗礼を受けている人はいたんだけど、当日自分の中でしっかり神が降りて来ていない不完全な状態の人はお祈りには参加しませんでした。ひとり衣装をまとわず途中から参加してきた老婆がいたと思うのですが、あの人は元々ジャクリ(シャーマン/祈祷師)だったのですが、旦那さんが亡くなると同時に引退しました。ただあの日は何も考えずお祈りが始まると自然と降りてきてオートマチックにお祈りに参加しました。その後さらにもう一人女性が参加しましたが、彼女はあの日神が降りて来てはいたけど、パーフェクトな状態ではありませんでした。先ほどお話ししたように神が降りて来た時に火を食べるのですが、そのタイミングはいつでも良いわけではなくて、もしそのタイミングを間違うと、例えばゴーストがいる時とかに火を食べてしまうとその人は死んでしまいます。彼女にとってこの間はそのタイミングではなく不完全な状態だったので衣装をまとっていなかったのです。

AOI: すごく興味深いお話しですね。

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—– 少し話しを変えまして、イベント当日その他のパフォーマンス、ダンサーやシンガーなどもArjunさんの方でブッキングしてくれたんですよね。

Arjun: そうです。知り合いや親戚などを中心に声をかけました。

—– AOIさんの方で印象に残っているパフォーマンスって何かありますか?

AOI: タマン族の踊りとかはすごく楽しかったし、Anju Lamaさんのライブのときには私も村の人達と一緒に踊りました。

Arjun: ネパールでは戸籍など関係なく親戚になることができます。今回出演してくれたシンガーのAnju LamaとAOI SANOがもし親戚にでもなってくれたら私は嬉しいです。

—– それは当人同士が同意したら親戚になれるということですか?

Arjun: 書面などで手続のようなことを特にする訳ではなく、ネパールでは親友のように仲が良く、いつも一緒にいて、一緒に行動したりしていると、家族や周りもみんな「あなた達は親戚にならなくてはならない」と言います。結婚して家族同士が親戚になるというのとは違うのですが、兄妹、姉妹のような親しい関係をずっと続けていくのです。

—– その国ならではの風習っていうのは非常に興味深いですね。あと、音楽が流れたとき、みんなすごく楽しそうに踊る姿が毎回非常に印象に残るのですが、ネパールの方々の生活の中で音楽というのはどういう意味を持っていますか?

Arjun: 自分のカーストやその民族の中でそれぞれカルチャーがあって、そのカルチャーと一緒に音楽はあります。例えば雨の神様が祀られるほこらを綱で引っ張ることがあるのですが、その時も必ず音楽が必要です。音楽が無ければ引っ張ることはできません。

AOI: それは昔からある日本のしきたりとも共通していますね。

—– ソクラ村に関してはまだまだ電気が不安定な状況で、普段はどういう風にして音楽を聴いているのですか?

Arjun: 電気がない時でもラジオにバッテリーを入れてエンターテインメント的な音楽はそれで聴きます。カルチャーの中にある音楽はまた少し別でちょっとお酒を飲んだりしたら楽器を使ったり自然とみんなが奏でますね。

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—– AOIさんからArjunさんに何か聞きたい事はありますか?

AOI: HIKARI SONG GIFTのイベント当日、機材トラブルで途中で音が途切れたりした場面もあったと思うんですけど、お客さんとしてはそういう状況はどのように捉えているんですか?

Arjun: 今回のイベントに関してはみんながはじめての経験でした。あの村で行われた本当に初めてのイベントだったのでそういったトラブルすらもみんなが楽しむことができたと思います。

AOI: 同じネパールでもカトマンズのライブハウスとかはプロフェッショナルだからああいった事はめったに起こらなくて、ソクラ村はソクラ村でとても興味深く面白い反応だったんだけど、OKとする基準がこんなにも違うのかって思ったんですけど、それは本当にはじめてだからこその反応だったんですね。

あともうひとつ聞きたいのが、Arjunはジャーナリストとしてもすごくこだわって仕事をしていると思うのですが、仕事においてプロフェッショナルとはどういうことだと思いますか?

Arjun: 例えばこの間のイベントで言えば、ステージを何時までに作らなければならないと自分が言った言葉の通りにそれを行うというのがプロフェッショナルだと思います。

AOI: ジャーナリストという仕事だとそれはどういった事になりますか?

Arjun: えこひいきせずに、フェアであること。バランスも見ます。時間も守ります。それがプロフェッショナルだと思います。

—– 今度は逆に、ArjunさんからAOIさんに何か質問はありますか?

Arjun: 今回はじめてソクラ村でイベントを開催してどのように感じましたか?

AOI: トラディショナルなダンスとか歌とか、そういう伝統的なパフォーマンスを実際に現地で観て感じることができてすごく楽しかったです。あと、日本人チームとタマンの方々との交流がなにより素敵で、私がシンガーとしてここに来たからというより日本人チームが来たという事でみんなが色々なパフォーマンスを披露してくれているように感じたので、とても良い国際交流ができたと思います。

Arjun: 住んでいるシチュエーションとか文化に関してはどうでしたか?

AOI: まず道は最悪ですね(笑)酔うし、埃もすごいし、でもなんか良いんですよねー。なんでだろう? それは日本には無い環境だからかもしれないですね。あと、人々の表情が良いですよね。みんな楽しそう!今まで開催した3回はどこかで厳しい状況だと感じていたけれど、今回は何故だかそんな風には思いませんでした。だからサポートではなくサンガイ(一緒に)っていう感じでした。

Arjun: また来たいと思いますか?

AOI: もちろんです! 人がみんな優しくて、色々なところを案内してくれたり、疲れたら家で寝かせてくれたり本当に親切にしてもらいました。トラディショナルな音楽だけでなく、子供たちはラップをやったりみんな自由で、お年寄りと子供が混ざって何かをするっていうのも素敵だしすごく良かったです。いつか必ずまた行きたいです。

—– それでは最後に来年の開催に向けてそれぞれ豊富や想うことなどあればお聞かせください。

Arjun: ダーディンという場所があるのですが、私はそこで開催するのが良いのではないかと思っています。そこも電力の問題を抱えていて、道もソクラ村と同じようにとても悪いのですが、そこでしたら私の方で開催地を探すことができます。そこは病人が多いのですが病院がないので、できれば救急車のようなものを用意できるようにならないかと思っています。もし助けていただけるならお願いしたいです。

AOI: Vol.5はネパールのチームと日本人でまた一緒に、ランタンに特にこだわるという訳ではなく、もちろん光がない所があればそれを持っていくけど、光はホープ(希望)だから、今回イベントをしてみてその意義が分かって、日本とネパールそこにはボーダーがあるけど、そのボーダーを超えたときに今回であれば選挙の時ですら一度も来たことがなかった市長がはじめて村に来たりとかっていう事があったので、あえて日本人とネパール人でボーダーを作って国際交流をすることがどれだけ意義があるかって事が分かったし、そこで大きな影響を及ぼすことができたっていうのはすごく良かったと思います。だから来年もそれを続けたいと思います。

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Photo & Interviewed by KISHIMOTO
通訳:Yuko Sano、Raju Man Maharjan

LIVE INFORMATION

<東京公演>
佐野碧 ネパール帰国後 ドキュメンタリートーク&ライブ with NPO法人ツーリズム・ネクスト⦅旅と音楽⦆シリーズVol.5

【日程】
2019年5月26日(日)
開場:18:00
ゲストスピーカー 18:30~
LIVE START 19:00~

【料金】
前売り 3500円
当日 3000円
別途ワンドリンク代

【会場】
ACOUSTIC LIVE HALL TheGLEE
(東京都新宿区神楽坂3-4 AYビル B1)
http://theglee.jp/


<仙台公演>
佐野碧 ネパール帰国後 ドキュメンタリーライブ

【日程】
2019年5月30日(木)
19:00 開演:19:30

【料金】
前売り 3000円
当日 3500円
別途ワンドリンク代

【会場】
誰も知らない劇場
(宮城県仙台市青葉区中央2-5-10桜井薬局ビル3F)
http://minotakebroadway.com/


<大阪公演>
佐野碧 ネパール帰国後 ドキュメンタリーライブ

【日程】
2019年6月1日(土)
開場:19:30 開演:20:00

【料金】
前売り 2500円
当日 3000円
別途ドリンク代

【会場】
大阪-難波(なんば)ライブスペース音
(大阪府大阪市中央区難波3-1-27-3F)
http://livespace-on.com/


MORE INFORMATION

佐野碧 Official Website
https://aoisano.com/

HIKARI SONG GIFT Website
https://aoisano.com/hikarisonggift/


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