Jun(JIKOOHA) x DJ Comer(3rd EYE Japan,etc) インタビュー
時も場所も国境も超え、常にJIKOOHA時計で音を世界中に放ち続けるジャパニーズゴアトランスバンドJIKOOHAが、先日20周年という節目にMatsuri Digital よりアルバムをリリースした。 今回は、そのJIKOOHAからキーボード、プログラミング、マニピュレーションのJun氏と20年来の友人でもあるDj Comer氏 (3rd EYE Japan/Ryo-Ma/ёR/BlackFlys/JAH★VIBRATION)にお話を伺いました!
Jun(JIKOOHA) x DJ Comer(3rd EYE Japan,etc) Interview
—– そもそもお二人の出会いは?
DJ Comer(以下C) : 最初は普通にJIKOOHAのライブを見て単純にかっこいいなって思ってて、当時横浜のBAYHALLでイベントをやってたんだけど、一緒にイベントをやってたBAYHALLの萩原さんがJIKOOHAを知ってたから、『JIKOOHA呼んでよー』みたいな流れからイベントに出て貰って知り合ったのかな。
Jun(以下J) : コマ君がRYO-MAをやってた頃だよね。
C : そうそう。2000年位の話だよね。
—– スケートランプとかを入れてた時代ですね。
C : 懐かしいね!
—– そもそも、JIKOOHA自体はどんなきっかけでスタートしたのでしょう?
J : 元々は、今日来ていない相方とニューウェーブのバンドをやってたんだけど、そのバンドの活動が止まっちゃって、その頃ちょうど俺はゴアトランスにはまってて、青山のマニアックラブとかのクラブで遊び始めてたのね。
—– ニューウェーブからゴアトランスとはまた凄い振り幅ですよね(笑)。
J : 確かにそうなんだけど(笑)。でもその頃は90年代中盤で、ちょうどイギリスのマンチェスターとかでハウスなんかがはやり始めて、ストーンローゼスとかプライマルスクリーム辺りのロックバンドがDJにリミックスして貰うなんていうのが割と主流で。そのやってたバンドも打ち込みとかを導入してたから俺的にはそんなに急な展開ではないかな(笑)。
—– 確かに90年代は打ち込みとロックの融合的な音楽が増えた時期でしたよね。
J : 特に、キリングジョークのYOUTHのレーベル「Dragonfly」にかなり刺激を受けて、『あーこれだな!』って。『ゴアトランス作りたい!』ってその止まっちゃったバンドのギタリストで現在相方を誘って結成したのがJIKOOHAなんだよね。それが97年。
C : JIKOOHA自体の名前はどこから来てるの?
J : 当時マヤン・カレンダーが話題になったころで、割とニューエイジ系の「谷崎テトラ」さんの本とかもう他界しちゃったけど「ホゼ アグエイアス」の本が好きで、その中でも、ホゼの「時空のサーファー」って本が結構やばくてどっぷりはまっちゃって。そこから時空の波って意味で時空波って名前にした。
C : 最初漢字だったよね?
J : そうそう!最初の2年位は漢字にしてて。
—– その当時って、そういう打ち込みシーンで近い音を出してるバンドとかいました?
J : 先輩になるんだけど「TOKYO TEKNO TRIBE」とか「Ubar Tmar」さんとかが近いのかな。ほぼ同期で少しだけ先輩だと「Yamabikaya」とか「Uni」になるのかな。チョコチョコいたんだけど、段々とみんな辞めていっちゃったよね。
—– 海外でいうとどのあたりのアーティストが近いですか?
J : なかなか比較が難しい。当時90年代の「Dragonfly」とか「Blue Room」とかのオリジナルゴアトランスは好きだったんだけど、シーンの流れがゴアトランスからサイケデリックトランスになってフルオンみたいな感じなってた中、途中までは追いかけてたんだけど結局ゴアトランスに戻ってそこを基軸にしだしたから、なかなか共感出来るアーティストっていうのもいなくて。ネオゴアっていうのが出て来た2004年頃は少しいたんだけど、結局ネオゴアもフルオンよりになってきちゃったから、あまりいないかなー。
—– 深いですね。
C : 俺がずっと見てきた中で、JIKOOHAは常にオリジナルってところをキープしてる。今回のアルバムでもしっかりキープしてる。この20年っていう月日が経っても変わらずキープ出来てるところがJIKOOHAらしさだよね。
—– コマちゃんは初期からポイントポイントで見て来てるから、色々な変化も見てきてますよね!
C : 元々俺もパンクとかロックで育った流れがあるから、JIKOOHAを最初に見た時のあのギタートラックは衝撃だったんだけど、確かギタートラックを避けだした頃があったよね。よりゴアトランスに近づいていった時期が。
J : ギターを避けだした時期は確かにあった。2008年~2011年とかかな。
C : 前のアルバムの頃だよね。
J : そうそう。「S.U.N. Project」が流行って、「Skazi」が流行って、あの辺りってルーツがメタルなんだけど、俺らってもっとルーツがパンクとかロックだからそこと比較されるのが嫌になっちゃって。それで避けてたのもあって。
C : そういう理由だったんだ(笑)。
J : それも一つの理由だったんだよね(笑)。ShimodiさんはニューヨークドールズとかT-REXなんかが好きで、日本でいうとThe Yellow Monkeyとかも好きで、俺はニューウェーブとかマンチェスターがルーツで、そういうのを聴き直したりする中でサイケデリックなギターの入れ方のアプローチを再発見して実験したりしてた時期になるんだよね。
C : 今回のアルバムは4曲目と8曲目の2トラックにギタートラックがしっかり入ってるよね。前のアルバムはほとんど入ってなかった印象があるな~。
J : ゼロに等しかったかな。
C : だから今回すごくJIKOOHAらしさが戻ってきたっていうのが率直な感想。JIKOOHAが好きな人間からしたら、『やっぱこのギターでしょー!』的なね(笑)。
J : それは良く言われる(笑)。
C : なかなかJIKOOHAみたいなアーティストは世界中探してもいないと思うし、それが日本発信っていう事自体が凄い事だし、20年間これを貫き通してるって事がJIKOOHAの魅力なんだと思う。
—– アルバムを聴いてすごくロック感が見え隠れしてたので、ロックのルーツがあるって聞いて、『やっぱりな』って安心しました(笑)。
C : やっぱり音楽の広さとか深さはロックな部分で差が出るんじゃないかな。そこを通ってると通ってないとじゃ表現力が違う。
—– ゴアとはいえ、色々な人が聴ける要素が凄く詰まってますよね。
J : ありがとうございます!
—– しかも、もしかしたら20年後にJIKOOHAがニューウェーブをやってる可能性も?(笑)
J : 無いとは言えないけど(笑)。特に「New Order」とか「Depeche Mode」とかのニューウェーブ大御所が今年リリースしたりしてて、New Orderはライブも観たけど、シンセの使い方とかがやっぱりすごいし未だに影響受けてるしね。
—– 曲作りはどうやっているんですか?
J : うちらの場合は最近はだいたい6割7割りそれぞれで仕上げてきて、俺の自宅スタジオで詰めていく事が多いかな。俺の場合は、やっちゃう時は8割位はもう作りこんじゃう。
—– 曲が完成となるラインってどう決めていくんですか?
J : 曲があるところまで行くと壁が曲毎に出てきて、その壁を越えちゃえば曲のビジョンっていうのが見えてくるから、あとは今度は甘い部分をどんどん詰めていく作業かな。終わりどころは、自分たち的には、その甘い部分だったりとか、やり残したってところが無くなった時点で完成かな。
—– 合理的ですね!結構終わりが見えなくなってループしちゃうこととかあったりするじゃないですか?
J : 終わり、確かにないんだよね(笑)。
C : ないない!俺はその辺りがRYO-MAで苦戦した部分だしね(笑)。
J : もう最後は苦痛になってくるしね(笑)。
—– どこで着地するかですよね。イベントとかもそう。どこで着地するかが永遠のテーマ(笑)。
J : またマスタリングとかでも変わってくるしね。
C : 最終的にユーザーに届く音に落とし込むのがマスタリングだしね。でも今回のJIKOOHAは、音が断然に良い。今回はマスタリングはOOODのコリンだよね?
J : そう。コリンに頼んだ。
C : さすがコリンって感じ。音がまとまっていて、JIKOOHAが出したい部分がしっかり出てる。
J : 細かいところもちゃんと聞いてくれて反映してくれてるからかなり満足。
C : 結構綿密にやり取りしたの?
J : 結構やったね。そのままOKになった曲もあるんだけど、そうじゃない曲なんかは、細かい周波数(Hz)で伝えた。英語が得意なわけじゃないからその方が早いかなって思って。
C : OOODも90年代のすごい古いアーティストだし、JIKOOHAとは相性も良いよね。
J : うん。凄いオールドスクールだねって言ってくれて本人も楽しんでやってくれてたみたい。
—– ちなみに今回のアルバムの構想はいつ頃から?
J : アルバムの構想ってなると1年半位前になるんだけど、もっと古い曲なんかも今回入ってるし、そういう曲をブラッシュアップしてミックスをやり直したりとかしてるから、結局合計4年とかになるのかな?
—– アートワークもかなりこだわってますよね。
J : 最初にTシャツのデザインをDJ TERUBI君がやってる神眼芸術と作ろうっていう話が1年半位前から出てて、それでそのデザインが良ければそのままアルバムジャケットに使えたらいいねっていう流れで今回このデザイン。
—– 神眼とは付き合いは長いんですか?
J : コマ君に比べたら短いけど(笑)、5年とかかな?
—– アートワークが凄くマッチしてますよね。
J : そうなんだよね。俺らのルーツってパンクとかロックとかサブカルチャーな部分が強いからアートの部分もすごく大事にはしてる。
—– ライブはどういうペースでやっています?どんな場所とか?結構フェスとかRAVEでライブをしているイメージがありますが。
J : シーズンによるけど、箱でやったりライブハウスでやったり色々な場所でやってるよ。
—– 特にジャンルとか場所もあまり気にしないですか?
J : どんな場所でもやるよ。この間は、久々に高円寺のHIGHでライブした時は、ライブイベントの中でやったけど、全然楽しかったし面白かったな。
C : でもJIKOOHAは、ライブユニットっていうよりはバンド的な立ち位置だよね。
J : 昔から知ってる人とかはそういう印象が強いかもね。
—– 海外活動は?
J : 去年はインドに行って、その前はイスラエル行って、イスラエルの前がベルギー。なんだかんだやっぱり年に一回行ってるかな。
—– 海外だったらどこでやりたいとかありますか?
J : どこでやりたいっていうのはあまりないんだけど、今年はスペインの「Connection Festival」に出演する予定。
—– お、楽しそうですね!
C : JIKOOHAは、イスラエルに行って帰ってきた時の音の変わりようが印象的だった。あれから断然音が良くなったと思う。
J : 海外の大御所と一緒にやると出す音がやっぱり全然違う。そこを突き詰めていかないと全然対抗できない。
C : 常に突き詰めてるからこそ長年続けていける部分だし。
J : 『続けていけてるし』とも言えるし、『終われない』とも言える(笑)。まだそこに追いついてないからね。
—– 永遠のループ。
J : 今回のアルバム制作の時に、一回全部ミックスが終わって、その後ライブで「磯谷さん(Ubar Tmar)」と一緒になった時に、『全然音圧で負けてる!』って思って、その後、磯谷さんの家に遊びに行かせて貰って色々教えて貰ったんだけど、ちょっとしたエンジニアリングだけで音が全然変わるんだよね。そういう技術でも音はまだまだ良くなるし、結局もう一度全曲ミックスし直してなんとか今回のアルバムのクオリティーまで持っていけた感じでさ。
C : 今回のアルバム自体が、そういう経験値を重ねてきた20年の集大成として格段に今までで一番良い作品になってると思うし、何より正直な話、1stと2ndはDJが使う音質という所まで達していないけど、前回のアルバムと今回のアルバムは全然DJでプレイしても良い音が出てる。どんどんDJにも使って欲しい。
J : どんなにルーツがロックとかパンクでも、今は基本はダンスシーンにいるわけだから、自分たちの音源がデカいスピーカーで他のアーティストの曲と並べてかけられるってことを意識しないとダメだと思うし、それは他のアーティストも同じだと思うから、みんなより良い音を求めて追いかけっこしてるんだよね。
—– そこはもシビアな部分ではありますよね。
J : 個人的にはロウファイだったりDIYな音でも全然好きだしアリなんだけど、実際四つ打ちを鳴らすってなると、それだけじゃ伝わらなくなっちゃう。それは本当にジレンマではあるんだよね。
—– やってる事とかがオールドスクールでも、最新の音楽にも通用するクオリティーの音を出さないとって事ですよね。
J : 例えば、EDMとか、俺は好きじゃないんだけど、EDMの音に対するテクニックとか進化の仕方とかは凄いと思う。だから良い音を出す為にはEDMがどうなってるかも研究するし、そのまま同じことはしないけど、どう自分たちの音に落とし込むかは常に意識してるし追ってるよね。
C : JIKOOHAの今回の音の良さと広がりを感じるには車のスピーカーで聴くと分かる。車で聴いた時に、今回、音作りの段階でも音に物凄く気を使ってるなっていうのが分かった。
J : あ、それ嬉しいな。気が付いてくれて!
C : もうJIKOOGAは長いからわかりますよ。かなり聞き込んでますから(笑)。
—– 今後も楽しみですが、あ、やっぱりパンクアルバム出して欲しいです(笑)。
J : そんなに?(笑)
—– いや、ロックから四つ打ちをやり始めるアーティスト多いじゃないですか?JIKOOHAが後20年あるとして、またパンクに戻るみたいな事があっても面白いのかなと(笑)。
J : それはやりたい気持ちはねー全然あるんだけど、スタジオ予約とかで、『何日大丈夫?』みたいなメンバーとのやり取りから萎える(笑)。
—– それ凄い分かります(笑)。
J : バンドは個性のぶつかり合いになっちゃうからねー。またそれをやるのか。。って思うとね(笑)。
—– もうJun君ソロで。バンドやりましょう。
J : 独裁バンド(笑)。でもそれやって楽しいのかい?ってね(笑)。
—– 確かに。
C : 色んなアーティストがゲストとかでライブに参加しても面白いかもね!
—– いいですね!それ!今後も楽しみにしてますね!
リリース情報
97年結成以来、ゴアトランス&パンクロックを基軸にしながら独自のダンスサウンドを築いてきたJIKOOHAが、キャリア20周年を迎え5年ぶり5枚目となるフルアルバムをトランス界重要レーベルMatsuri Digitalよりリリース!
アンダーグラウンドから、混迷を深め綻び始めた偽りの世界に放つ、魂のダンストラック全9曲。
宇宙は繋がっている、自由は既に君の手の中にある!踊ろう、
そして…「マトリックスの呪縛を解き放て!」
JIKOOHA
『SPACEMEN▲UNDERGROUND』
2017.06.10 Release
01. Neo Tokyo Apocalypse
02. Decode Reality
03. Gravity Controller
04. Shamanarchy
05. Shambhala UFO
06. Lemuria
07. Nextgen Odyssey [JIKOOHA & ASTEROIDNOS]
08. Ecco Weed
09. Mandalavision
Matsuri Digital / MD014
All tracks written and produced by Jun & Shimodi @Jikooha Studio.
except 7 : written and produced by Jun, Shimodi and Makio Asteroidnos
Mastered By Colin Bennun @The Stooodio, Bristol, UK
JIKOOHA Official Website
http://www.jikooha.com/
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