KMC インタビュー
Profile of |KMC|
前作『TOKYO WALKING』から4年。様々な葛藤と悩みに悩み抜いて完成させた待望のNEW ALBUM 『KMC!KMC!KMC!』を遂にリリースしたKMC!いつでもどこでも『HIP HOPしようぜ!!』をキーワードに全身全霊で感情を吹き込んだニューアルバムについてお話をお聞きしました!
KMC INTERVIEW
—–リリースおめでとうございます!
ありがとうございます!
—–今回4年ぶりのリリースで結構間が空きましたね?空けたのか空いちゃったのか?(笑)
空いちゃいましたね(笑)。作る意思はあったんですけど、全然思い通りに行かずにはまってしまい。前作の『東京WALKING』が初音源だったんですけどリリースした後になんていうか、一段落しちゃって自分を見失ってしまったというか。どういう風にやればいいんだろうって。音楽をやり続ける突破口が見い出せない時期がずっと続いてましたね。
—–色々と模索してたんですか?
なんだったんだろ?ペンを持つのが億劫になったり、何がカッコ良いのかが分からなくてなってしまって。
—–今考えるとそうなってしまった理由とかは?
思ったよりアルバムのレスポンスが良くなかったっていうのも一つあるとは思うんですけど、音楽自体がしんどくなってしまって。
—–KMCってヒップホップだけじゃなくてロックの現場でも活動しているから、立ち居地を確立するのが難しいっていうのもあるかもですよね。
確かにそうですね。日本語ラップシーンのど真ん中にいるわけでも無いし、でもそういう層に凄く聴いて欲しかったし伝えたかったっていう想いがありながらも、なかなか浸透しなかったっていうのがあって。もちろん『かっこ良い!』って言ってくれた人達もたくさんいて有難かったんですけど、自分の中ではやっぱり思った程のレスポンスが無くて、どういう歌を作っていけば良いのか分からなくなってしまってましたね。
—–でもライブはコンスタントにやってたんですよね?
ライブはなんだかんだ最低でも月に2回とかはやってました。
—–ライブ活動をする中で今回の作品に対して本腰を入れ始めたのはいつ位だったんですか?
実は一昨年の夏位に『もう、だめだ!』ってなったんですよ(笑)。地元に遊びに帰ったら地元の連れなんかも、『帰って来たら仕事紹介してあげるよ』なんて言ってくれたりしてたんで、このまま地元に帰って仲間と楽しくやるのもいいかな?なんて思ったりもしてて。
—–地元は静岡?
静岡です。それで今度東京に戻ったら、『KMC何やってんだよ!早くアルバム出せよ!何でもいいからやれよ!』って周りの仲間とかに檄を飛ばされて(笑)。それで何をしていいか分からないなりにやってみたんですね。そうしたら曲が書けるようになって来て。それから曲をどんどん書き始めましたね。
—–静岡のバンドTHE WEMMERとのコラボも大きかったんじゃないですか?
大きいですね。去年の1月位にメンバーがアルバムを聴いて凄く気に入ってくれたみたいで直ぐに誰かから俺の連絡先を聞いたみたいで、『アルバム滅茶苦茶かっこいいです!静岡でフェスやるので是非KMCさんにも出て欲しいです!』って突然連絡をくれたんです。彼らの動きも凄い熱いなって思ってすぐに共鳴出来ましたね。まだ若いんですけど静岡で凄くがんばってるバンドです。
—–元々東京来る前は静岡で何をやってたんですか?
静岡ではクラブに行ったりレコード屋さんに行ったりする位で、マイクはほとんど握った事が無かったかな。ずっとやりたかったけど静岡ではなかなかマイクを握って歌うまでは踏み込んでいけなくて。
—–本格的にリリックを書き始めたのが?
東京に出てきた18歳の頃だったので『東京WALKING』は、18歳の頃から23歳頃までに自分が書き溜めてた曲のストックをリリースした形でした。
—–今回はコンセプトみたいなのは作ったんですか?
ある程度自分の好きな流れみたいなのはあったんですけどあまりにも間が空き過ぎちゃってたので、コンセプトというか、『とにかく発信しよう!』っていうのがまずあって。出来ない事とかは無理にやらないで省いて、直ぐに自然と出て来た物を作り込んで行きました。
—–トラックメーカーもかなり豪華ですよね!
そうなんですよ!前回も半分位やって貰ったんですけど、今回もSTUTSが5曲。あとは、KO-neyとABCっていうラップのユニットとフューチャリングしたり、FragmentとTHA BLUE HARBのO.N.Oさんにお願いして。
—–基本トラック作りはどういう風にコミニュケーションを取って作るんですか?
STUTSやKO-neyや他のトラックメーカーは、俺がこんな感じのイメージっていうのを伝えて作業して貰ってっていうやり取りを何度か繰り返したんですけど、O.N.O.さんの場合は、出来たトラックを投げて貰ってそこにリリックを乗せる感じで作りましたね。
—–STUTSとのコンビも結構長いですよね?
コンビっていう程ガッツリ組んでるってわけでは無いですけどもう5~6年になりますね。俺はアイツのビートはじゃじゃ馬だと思うんですよ(笑)。こっちもがんばらないとアイツのビートに喰われちゃうっていうイメージがあって。相性はもちろん良いと思うし、アイツがいなかったら今の俺のヒップホップはありえないですね。最高にかっこいい奴です。
—–ライブも一緒にやる事が多いですよね?
毎回ってわけじゃなくて、アイツが一人でビート叩いて出演してるイベントとかに俺が遊びに行って歌ったり、逆に俺だけのライブの時にアイツが飛び入りでビートを叩いたり、なんか自然と現場が一緒になってるみたいなのはありますね。ユニットとしてガッツリやってる感覚では無いです。でも、凄く精神面では弟みたいに思ってるし、アイツが、『こういう事やりたい』って言ったらドンドンやればいいと思うし、STUTSはトラックメーカーだからカッコいいトラックを作ってれば最高だと思うので、好きな様に活動して欲しいですね。
—–THA BLUE HARBのO.N.Oさんのトラックはどうでした?
俺からしたら当時から好きで聴いてた大好きなアーティストだし、大先輩でもあるし、ある意味芸能人みたいなものなので(笑)、とにかく嬉しかったです。
—–トラックを聴いた時の最初の印象は?
これはですね、とにかく凄いなと(笑)。自分の知らない世界というか。『これ、ラップ出来るのかな?』って(笑)。しかもトラックを貰った時がちょうどまだ気持ち的に落ちてた時で、なかなか取り掛かれない中待たせるわけにはいかないし。。。ってやってたら結局1年位かかってしまい(笑)。
—–1年も?(笑)
はい(笑)。それでとにかくもう潰されてもいいから自分なりにやるしか無いって思って仮録音して送ったら、『KMC、これいいよ!』って言って貰えて。もしかしたらトラックをズタズタにしてしまったんじゃないかな?(笑)とか思ったりもしますけど、でもKMCらしい作品が出来たと思いますね。
—–やっぱりTHA BLUE HARBは意識しました?
最初は凄く考えちゃいましたね。BOSSさんだったらどうやって歌うのかな?とか。結局考え過ぎちゃってもBOSSさんみたいなラップが出来るわけでもないし、する必要も無いわけで。結果的に自分の色は凄く出たと思う。
—–それとさっきにも話に出たTHE WEMMERとのフューチャリングも入ってますが、バンドとのコラボは実際やっててどうですか?
普段トラックで歌うのとは全然違うし、自分がまだやった事ない新しい域だったりするので楽しいですね。この間は初めてバンドのレコーディングっていうのに立ち会ったんですけど初めての体験で、『なるほどな~』って。ライブをやるにしてもトラックを流して歌うのとはまた違うので、色々な発見がありますね。
—–バンドだとヒップホップとは違うBPMだったり曲のアプローチも違うと思うんですけど、違和感とかは?
いや、全然いけちゃいますね(笑)。
—–たぶん出来ないラッパーは出来ないと思うんですけど、KMCはなんか何でもいけちゃう感じがしますよね(笑)。
曲としてもTHE WEMMERと2曲、RATCHILDと1曲今までやってきたけど、完成度は俺的にも納得なんでちゃんとはまってるんでしょうね。
—–そもそもロックとかのバンド物は聴いてたんですか?
ヒップホップを聴く前は、KORNとかLIMP BIZKITとかSLIPKNOTとかゴリゴリ体育会系なのを聴いてました(笑)。
—–お、ちょっと意外!ハイスタとかのパンク系は?
パンク系はヒップホップに出会ってからなので割りと後ですね。BLUE HEARTSとかは、18歳位の頃に知って聴いてました。
—–KMCがBLUE HEARTSを好きなのは分かる気がしますね(笑)。
はい(笑)。俺、クロマニヨンズがやっぱり一番好きで。後は遠藤ミチロウさんのライブを見て涙が止まらなかったですね(笑)。
—–なんかテンションとか熱さが近いかも(笑)。
結構そういう熱い感じのアーティストに反応しちゃうのはあります。後は最近なんですけど、忌野清志郎さんとかは凄いなって思いますね。
—–リリックの面で影響も受けてますか?
物凄く受けますね。とにかく『すげーな!』って。
—–ヒップホップだとどの辺りを聴いてたんですか?
MC漢とかTOKONA-XとかTHA BLUE HERBとか、もっと10代の頃はZeebraとかも聴いてたし。洋楽だとNASとか2PACとか割と王道っぽいのが好きでしたね。
—–でもあんまり洋楽に影響を受けた臭いはしないですよね。もっと男臭くて、汗っぽい感じ?(笑)
ですね(笑)。言葉の力でねじ伏せる(笑)。俺は剥き出しの音楽が大好きだからオシャレな感じは出ないと思いますね。
—–やっぱりパンク/ハードコアな精神に近いんでしょうね。特にバンドのイベントとかに出ると凄く評判良いですよね。『なんだか分からないけど凄い!』じゃないけど、前に僕のオーストラリアから遊びに来てた日本語まったく分からない外国人が感動してた事もありましたよね。
凄い絶賛してましたね!無理して英語で歌うよりも、日本人のラッパーがやってるって事を伝えるのには日本語で歌うのが一番自然だし、何を言ってるか分からなくても日本語でラップしてるって事が分かればこっちのモノだと思う。言語がどうであれライムとフロウは絶対にあるから、ヒップホップはユニバーサルな言語だしそこがヒップホップの面白い部分なんですよね。英語のリリックを聴いてて、何を言ってるか分からなくてもそいつのライムとフロウがヤバイって言うのは直ぐに分かりますしね。
—–しかもKMCの場合テンションで感情とかも伝わりそう(笑)。怒ってるとか熱くなってるとかね(笑)。
それはあるかも(笑)。
—–ちなみにリリックはどんな事に影響を受けてるんですか?
やっぱり音楽からが多いですね。後はテレビで『ごっつええ感じ』を観ててなんか急に出てきたり(笑)。
—–え?(笑)。恋愛物とかあんまり無いですよね?
実は今回、『ヒップホップでカッコいい恋愛の歌ってあんま無いよな?』って思ってチャレンジしたんですよ。そうしたら見事にダサくて(笑)。ちょっとまだ難しい。もうちょっとがんばらないとですね(笑)。
—–後は恋愛経験だけかと(笑)。ちなみにラッパーとしてはかなりシャウトするけど、フロウとシャウトどっちかっていう選択肢があったらどっちを優先にする?
両方もちろん大事にはしてるんですけど、ただシャウトだけだったらラップはやっていないと思う。当然全部シャウトしてたら成立しないし、逆に全部フロウだけだったら自分らしさが出ないのでバランスだと思いますね。
—–バンド発信でヒップホップよりなアーティストはたくさんいると思うんだけど、ラッパーでパンク精神というかバンド的なアプローチも出来るアーティストってあんまりいないかも。
結構バンド界隈の人達と話してたりすると、割とみんなヒップホップそのものに歩み寄ってたりしますよね。でもヒップホップからバンドに歩み寄るっていうのはあんまりないかもですよね。
—–KMCの場合は、バックがなんであれ表現し切れるだけのパワーがあると思う(笑)。
そうですかね(笑)。でもヒップホップっていろんなトラックに乗せたりするので、そういうスキルは自然とついてるかもしれないですね。
—–ちなみにヒップホップにも色々なシーンとか世代とかあるけど、KMCはどの辺りにいる?(笑)
う~~~ん。。。どこなんですかね?(笑)たまに20代前半のラッパーの子達がイベントに呼んでくれたりもするし、MCバトルに呼ばれたりもするし、もちろんバンドイベントも呼んで貰えるし。やんわりとそこら辺りにいるのかな(笑)。まー言ってしまえばどこでもいいしどこででもやりたいですね。どこへ行ってもヒップホップするっていうのがKMCのスタイルなんで。それは所謂”HIPHIP”では無くて、自分の思うヒップホップっていうのを表現したいですね。
—–変な事聞くけど、もし自分でブッキングしてイベントするってなったらどんなアーティストと呼びたい?(笑)
う~~ん。。(笑)どうなんですかね?全部ヒップホップに寄せても面白いと思うし、ごちゃ混ぜとかもやってみたいし。でも結局は、『これがカッコいいんだ!』って自分のスタイルを持ってやってる人達がやっぱりジャンル問わず好きなんですよね。テクノとか打ち込み系はまだ分からない世界だけど、いつかはそういう世界も分かるようになりたいとは思うし。絵でも文学でもなんか感情が伝わるものに惹かれます。
—–今回リリースにちなんでライブとかもたくさん決まってるんですか?
ライブは滅茶苦茶やりたいのでツイッターとかでも、『足代とビール一杯でどこでも行きます!』って呼びかけたりもしてて。とにかくライブをやりたいので是非よろしくお願いします!って感じですね!
—–バンドのツアーとかに同行したら面白そう。
今度RATCHILDのツアーに連れてって貰うんですよ。
—–それいいですね!もちろんヒップホップ好きな地方の人にも受け入れられるとは思うけど、バンドを観に来たキッズとかもKMCの汗臭さに凄く反応しそうな(笑)。
それはあるかも(笑)。多分バンドのキッズとかってヒップホップに対して、『どうせチャラい感じで軟弱で~』みたいな偏見もあると思うんですよ。でも、そういう現場でライブをして、『ヒップホップがこんなカッコいいなんて思わなかった!』って言われる事もあるので素直に嬉しいし、相性は良いんでしょうね。
—–さて、そろそろお時間ですが最後に言い残したことがあれば!
とにかくいい作品が出来たので色々な街でライブをやりまくって、会場でも地道にCDを売ってがんばりたいですね!どこの街へも行ってこれからもヒップホップしまくっていくんでどうぞよろしくお願いします!
—–とにかく掻き回して欲しいですね!
もうグッチャグチャに掻き回したいです!
—–今日はありがとうございました!
ありがとうございました!
リリース情報
KMC
『KMC!KMC!KMC!』
2015 3/18 Release
前作『東京WALKING』から4年。
悩み苦しみ、諦めかけたその先の答えは『HIP HOPしようぜ!!』
KMCの希望、怒り、孤独、情熱を剥き出しの言葉は聞いた人全てを勇気づけるだろう。
01.KMC!KMC!KMC!(intro)
02.テイク・イット・バック・オールナイト (pro.by STUTS)
03.KIDS ARE ALRIGHT (pro.by STUTS)
04.KICK OUT THE JAMS (pro.by STUTS)
05.KMC&STUTS (pro.by STUTS)
06.JAPANESE KARATE NO.1 feat.VOLO&piz? from ABC (pro.by JZA)
07.希望の歌 (pro.by Fragment)
08.Singin’ The Rain (pro.by O.N.O.)
09.サイファーしようぜ!(skit)
10.KMCとWEMMERのシズオカラプソディー feat.THE WEMMER
11.KING (pro.by STUTS)
12.YO!YO!YO!TOKYO! (pro.by KO-ney)
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【術ノ穴store限定特典】
先着100名様にKMCのサイン入り
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DJ ナンバーワン野郎!(KMC)によるDJ MIX CDR付き。
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ライブ情報
2015/04/04(土) 渋谷 NOSTYLE
2015/04/05(日) 新代田 FEVER(day)
2015/04/06(月) 池袋bed
2015/04/10(金) 渋谷RUBYROOM
2015/04/11(土) 中目黒SOLFA
2015/04/18(土) 静岡EIGHT
2015/04/24(金) 下北沢CAFE KICK
2015/04/26(日) 渋谷underber(day)
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