下北沢基地～シモキチ～ vol.1 イベントレポート

CULTURE.ART.MUSIC.LOCAL.EGO = SCENE

［2017/11/09］

本来持つ落ち着いた街の雰囲気や個性とは全く矛盾するかのように再開発が急速に進む下北沢。特に北口は古い建物やビルが取り壊され更地が目立ち始める。その取り壊され更地となるビルの1つを使用して行われたアート、音楽、カルチャーイベント「下北沢基地～シモキチ～」。名前の通り、下北沢の基地を意味するこのイベントは、下北沢で根を張ってストリートカルチャーを発信するクリエイター等により発足。そもそも、下北沢にストリートとかカルチャーとかクリエイターという言葉が似合わない。だから、敢えて文化人と呼びましょう。文化人が声を掛ければ文化人が集まるわけです。

そもそも基地という言葉が懐かしく斬新。幼い頃、近所の空き地や小さな森や林に、段ボールや工事現場から拾ってきた金具などを使って作成した秘密基地。外の世界から遮断されたその基地では、何をするのも自由。ママやパパに黙って捨て猫を飼い、おもちゃを隠し、連れて来るのは本当に仲の良いトモダチのみ。でも、なぜか一人になると少し切なく不安になって、結局家に帰り外との繋がりを再認識する。そのうち、基地は壊され、基地を覆っていた森や山も壊され、どこかで心も壊され、いつの間にか気が付いたら大人になっていた。そう、大人になった僕らに必要なのはあの頃の基地なのだ。

アートもシルクスクリーンも音楽も玩具も、そこにあったモノすべては、僕たちが基地の中で大切にしてきた、同じモノ。そして、そこに迷い込んだ新たな世代のコドモタチ。その子供たちに、僕たちが大切にしてきたモノを少しだけ、ほんの少しだけ見せてあげるのさ。

コワサレタッテ、マタツクルダケ。

クソガキはいつの日か文化人になり、壊されると分かっていても、それでも場所を探し続け作った秘密基地のように、また、新たな基地を探すのです。