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SHINGO★西成 インタビュー

SHINGO★西成 インタビュー / A-FILES オルタナティヴ ストリートカルチャー ウェブマガジン


SHINGO★西成、3年半ぶり5枚目のアルバムが完成。シーンにおいて常に異彩を放ち続ける関西の至宝が向き合う今を描く『ここから・・・いまから』。よりシンプルに伝える姿勢と突き進む道のり。ニューアルバムに込められた想い、自らが主宰を務める地域アートプロジェクト「西成WAN」の事なども含め話しを伺った。


SHINGO★西成 Interview

—– 3年半ぶりのリリースという事で、遂にって感じですね。

遂にと言ってもらえるだけアドバンテージというか、遂にとも言ってもらえなくなったらホンマ終わりだなって思ってます(笑)。

—– 『ここから・・・いまから』というタイトルや全体のリリックなどからリスタートと新たな決意のようなものを感じました。

新たな決意と今までの決意をもう一度再確認した感じですね。こうやって作品にもできたし、自分の課題とか、今後やって行かなければいけないとなんとなく思っていた事とかをより具体的に表現できたかなと思いますね。

—– 日々様々な現場で活動を行っている中で新しい作品をリリースするという事への執着は持ち続けていたんですか?

日々足らない事、不足を知るというか、失敗したり、これが必要だなって事を感じているからこそ、前のアルバムよりこういう作品があったら自分がライブでの表現がしやすいなとか、形にするべきだなって事を今回はやっていった感じですね。

—– SHINGO★西成さんが元々、表現の方法としてラップをするようになったきっかけってなんだったんですか?

元々、喋るのが得意でそこを周りが見出してくれたんですよ。西成という街は日々音楽というかメロディーが溢れているんですよ。その中で俺は楽器が出来たり、メロディーが上手く歌えたりって人間じゃなかったからこそラップという物に出会えて自分の表現方法を知ったので自然の流れだったと思うんですよね。

—– 良く言う街に音楽が溢れている感じっていうのは、子供に向けて母親が歌うような自然なもので、表現というものとはまた少し異なるような気もするんですが。

そうですね、そういうのも西成はたくさんあるんですよ。俺が住んでいるあいりん地区という所は色々な速度の人が生きていける街なんです。足の不自由なじいちゃん、ばあちゃんの間を小学生が走り回って、その間を自転車がびょーんって行って、酔っ払いのおっちゃんがおって、サラリーマンもそこを通り抜けてって。音楽も子供をあやしているおじいちゃん、おばあちゃん、お母さんの声も聴こえるし、おっちゃんの鼻歌も聴こえるし、リアルなカラオケも聴こえるし、色々な音楽がありますね。

—– もうかなり前ですが、大阪に仕事で行ったとき西成に1か月程宿泊したことがあるのですが確かにインパクトのある街でした。

そうでしょう(笑)俺、お菓子が好きなんですけど、昔、ローソンができた時にお菓子はポテトチップスのコンソメと薄塩とかっぱえびせんしかなかったですね、あと軍手と(笑)。そのめっちゃ種類少ないのを見て、我が町のコンビニすげぇな、必要なものしかないなって思いましたね。今でこそ新商品とかちょっとは置くようになりましたけど、元々はすごかったですよ。

—– 今現在、西成という街はそういった中でも日々変化していっているんですよね。

めっちゃ変化してますよ。でもやっぱり変化っていうのを嫌う街なんですよ。今は新しいものを受け入れざる負えない街の環境と状況があって、その新しいのが嫌やっていう人も「まあしゃあないかー」って感じになってきていますね。

—– その状況というのはこれまでの積み重ねがそうさせているいるんで、決して悪い事ではないですよね。

全然良い事ですよ。7,8年前は新しい事を完全否定していた時期もありましたけど、それがどんどん変わってきて、今は外国人とか観光客が道に迷っていても、それが街の一個の景色になっていってますね。だから色々な目があるから良くない事をしようとしている人もおもてに出にくくなったかなっていうのもありますしね。

—– いつの時代もよそから来た人が変える部分が大きいって言いますもんね。

それはほんとに実感してますね。

—– そんな中、あのウォールアート(※西成WAN)は無くなってしまったんですよね。

そうなんですよ。隣の公共の建物が老朽化で立て壊さなければならなくて、それを補うのにそこの場所を使うから2年か3年以内にはそうなるって聞いてはいたんですが、いきなり話が進んで年度が変わってポンって。

—– 予算が出たのかなんなのかって感じですかね。

…負けないですからね。作品は70m×7mで日本最大級のアートでした。それが無くなるのも現実。でも落ち込むヒマはない。さらに新しいアート描きます。

—– その儚さがまた良い方向に動いていけばって感じですね。

そうですね。これはもしかしたら無くなるかも知れないっていうのは事前に聞いていた事だから、それで大阪や関西で有名なグラフィティーライターとか信頼しているアーティストとかみんな言ってくれるんですけど、「グラフィティーアートっていうのはそういうものだ」って。それを前提で描いているって。だからあいつらもすげぇっすよ。

—– 西成WANのプロジェクトをやって良かった事って色々あると思うのですが、実際に感じている部分をもう少し具体的に教えてもらえますか?

街が明るくなった、不法投棄が減った。落書きがなくなったとは言わないですけど、逆にそれがあるからこそ見に来て興奮して描いたやつもおるかも知れないけど、でも少なからず子供たちや大人にも、この街でそんな事ができるんやっていう気持ちはプレゼントできたかなと思っています。だから『ここから・・・いまから』って言葉が一番適しているかなと思います。

—– さらに良くしていくために今後に向けて課題を上げるとしたらどういった事になりますか?

街を変えていくっていう事、街を作っていくっていう事は本当に難しい事だなと。街を作る前に人を作らなきゃあかんから。人を作るっていうのが街を作る事に繋がっていくから思った以上に時間が掛かりましたね。地域の人との会議にも何回も参加して、でもそこにおるだけじゃあかんから何回も発言して、そこで物議をかもすんだけど、言うべき事は言わなあかんってことを経験したりしましたね。

—– お互いが良くしようって中での話し合いなんですよね?

そうですね。

—– その中で個性がぶつかり合う事の難しさを感じているのですか?

個性がぶつかり合っていたらすごく楽しいんですけど、平行線の話題が、西成のあいりん地区のような閉鎖的な街は「やれるんやったらやって」って感じで、そこでひとつになったり、グラフィティーアートを納得してもらうのにはすごく時間が掛かりますね。

—– 「受け入れる」という事と「理解する」って事は異なる事ですもんね。

それ俺好きな言葉なんですよ。「理解する」と「受け入れる」って全然違う事でしょ?

—– そうですね。

世の中理解できんけど受け入れなあかん事って生きて行けば行くほど多くなりますやん。だからそれの典型的な部分じゃないですかね。

「そんだけ言うんやったらやってみいや」って事で何も言わないっていうのもひとつのアクションだし、良い意味で個性がぶつかり合ってやれればさらに良いものができるかもしれないですし、それ位のリスクは背負って、時間や手間とかを掛けてでもやりたいと思っているし、またもうちょい小さい所だけど新しく描く事も決まっているんでね。

—– そういった繰り返しが日常になっていけば、理解してくれる人も増えてくるだろうし、そうじゃない人も自然と受け入れるという環境や雰囲気が出来上がっていくんでしょうね。

それぞれ色々な価値観があって生き方があるから、「この兄ちゃんが言うんやったらしゃーないわー」っていう信頼。今回のアルバムの曲もそうですけど「SHINGOが言うんやったらしゃーないわー」っていうマンパワーは詰め込んだと思います。


※西成WAN
SHINGO★西成を総合プロデューサーとして、アーティストと地域が協力して街へアートを描いていくことにより、西成のイメージアップと、来訪者の増加を目的としたアートプロジェクト。略称の「WAN」は、「和」や「輪」をイメージし、街がひとつになり、日本全国に広がってほしいという願いが込められています。


—– アルバム制作に関して、前作から3年半、音楽的な部分、言葉の部分などご自身の中で何か変化した部分ってありますか?

よりシンプルに、より素直に等身大で表現する。 かっこつけたような言葉や偽善者ぽい言葉「素晴らしい」とか「綺麗」とか「可愛い」とか「美しい」とかそういう言葉もおもいきって発言していこうっていう素直な気持ちになりましたね。

—– 先ほどのぶつかり合う部分での話しでもそうだし、作品をリリースする上でも当然大事であろう「個性」というものの重要性ってどのように考えてますか?

もっと日本が世界的にオリジナリティーを出す上で、これだけ豊かでこれだけ平和で欲しいものが買えて欲しいものが食べれて、そんな国もそうないと思うんですよ。この良さをもっと伝えて行ったり磨くには個性はもっと出していってもいいかなと思いますね。そういう意味では個性はキーワードになるかな。個性=自分のアイデンティティにつながっていけばより自分の国のことも未来のことも過去からの経験を踏まえた上で表現者はより表現者らしく伝えやすくなるんちゃうかなと思いますね。

—– SHINGO★西成の個性、らしさってご自身ではどういう部分だと思いますか。

アホじゃなくてドが付くアホだって事じゃないですかね。あんな事やっても良かったんやとか、ああいう表現は恥ずかしいと思ったけど、あっ、SHINGOやってるわーとか、そういう所も見てもらえたら。逆にアルバムのこの曲は嫌いだけどこの曲はまあ良いだろうとか感じてもらえるだけでも、みんなの心に残るようなパンチラインをボディーにくらわしているつもりだし、格闘技で言ったらあんまり人の分析はしていないけど、リングに上がった時の目配り、体のキレとかで試合をして勝ちたいね。根本はシーンが良くなってお金が回って周りの仲間もすごく調子が良いっていうのがベストですけれども、たとえそうじゃなかったとしても今のこの気持ちは持ち続けて、さらに魅力ある人間になっていかないといかんなあと思いますね。

—– 今、ヒップホップのシーンの中だけ見ても個性的なアーティストもいて、ひとつ盛り上がってきているのかなと思うのですが、そういった部分どういった印象を持っていますか?

元々言葉数は多いし、ラップって始める時、誰かが書いた事を歌うんじゃないから、やらされている感はない方が良いかな。自分の気持ち、湧き出た言葉とかはより良いと思うんで、今フリースタイルバトルとか話題になったりしているけど、元々ポテンシャルは高くて色々なジャンルを吸収している音楽なので、その元々ある伸びしろにみんなが気づいたってことじゃないですかね。その伸びしろをヒップホップが好きな奴だけに訴えて行くのか色々なジャンルに伝えていくのか、360度闘える奴、色々な事にチャレンジする奴、あの人ようテレビ出ているけど、本職はラッパーなんやっていう人がどんどん出てくれば良いかな。テレビの司会とかもお笑い芸人とかタレントだけじゃなくて、現ラッパーがそこら辺は喋ってどんどん引き出していくってことができても全然良い時代だと思うし、もちろんマイノリティーの奴やラップ一本だけでやっていくような奴も必要だけど、あんまり枠にとらわれないように、枠が嫌いだからヒップホップになったと思うので、急に枠にこだわってヒップホップってこうだっていうよりは今こそ色々できる奴はやれば良いんじゃないかと思いますね。

—– そんな中、SHINGO★西成さんも日々様々な活動をされていると思うのですが、今充実感や喜びを最も感じるのってどういった時ですか?

伝えたいと思ったことがより伝わった時が最近は嬉しいですね。

—– それは聴いてくれた方の反響が届いたりって事ですか?

そうですね、それも徐々に増えてきているなって実感するんで、それは良いなって思いますね。 去年でしたら西成にある子供の児童施設「こどもの里」ってところのドキュメンタリー映画「さとにきたらええやん」ができた時にサウンドトラックに使っていただいて、どんな映画でもそうだと思うんですけれども音楽って映画の良いタイミングでかかった時ってより感動するじゃないですか。その一員になれて自分がやっていた感覚が伝わったのは嬉しかったですね。

—– 今後さらに進めて行きたいと考えている事って何かありますか?

今やっていることを繋ぐというか、新しいことも取り入れながら継続するということが今は大事かなと思いますね。西成WANの事だって、一回潰れても、「なくなるんやったらもう一発行こうぜ!」って。そこにはもっと街の人に理解してもらうとかより広がればいいんだろうなと思いますけど、もう場所も決まっているんでやりますよ!

—– おそらくこれに関してはゴールはないですよね。

そうですね。それはアルバム作るのとかもそうなんですけれども、3年ちょっと皆待っていただいて、それでもまたSHINGOやれて言ってくれる人、聴きたい言ってくれる人がいる限りやりたいし、それがどんどん増えて広がるように活動もしたいし、いい音楽とかいい人と出会いたいし、また再会もしたいですね。

—– では最後にこれを見ている方にメッセージをお願い致します。

しっかり煮込んだ言葉も使って、ええもんが、よー冷えたビール、あったかい日本のもつ鍋みたいなアルバムができました。熱いものは熱いうちに、冷たいものは冷たいうちに食べてください。


Interviewed by KISHIMOTO

リリース情報

SHINGO★西成 インタビュー / A-FILES オルタナティヴ ストリートカルチャー ウェブマガジン

前作「おかげさまです。」から3年半振り、SHINGO★西成の5枚目のアルバムが完成。

SHINGO★西成
『ここから・・・いまから』
2017.05.24 Release

01. ひらきなおる [Track produced by PENTAXX.B.F]
02. 鬼ボス feat. J-REXXX [Track produced by DJ FUKU]
03. 絶句☆ニッポン feat. TAK-Z & KIRA [Track produced by grooveman Spot]
04. すんまへん [Track produced by TRAMPBEATS, Piano by 増谷紗絵香]
05. GGGG [Track produced by PENTAXX.B.F]
06. 祭り [Track produced by TRAMPBEATS]
07. 一等賞 [Track produced by maruhiproject]
08. あんた [Track produced by DJ AK, Additional direction by NAOtheLAIZA, Guitar by 田中志門]
09. KILL西成BLUES [Track produced by SPIN MASTER A-1 (Spin Scaanlous) Additional Piano by UYAMA HIROTO]
10. Fuck You, Thank You ほな、さいなら [Track produced by NAOtheLAIZA]
11. エエやん [rack produced by Michael James]
12. ここから・・・いまから [Track produced by NAOtheLAIZA, Chorus by YU-G]

●通常盤●
品番 : SHWR-0052
仕様 : CD
税抜価格 : 2,700円
バーコード : 4526180415664

●完全生産限定盤●
品番 : SHWR-0053
仕様 : CD+DVD
税抜価格 : 3,500円
バーコード : 4526180415671


MORE INFORMATION

SHINGO★西成 Official Website
http://shingonishinari.jp/

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