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THA BLUE HERB – 5th Album『THA BLUE HERB』リリース・インタビュー

THA BLUE HERB - 5th Album『THA BLUE HERB』リリース・インタビュー

自らの人生観を乗せてその頂を登り続けるTHA BLUE HERBの7年振り5枚目のニューアルバムは2枚組全30曲。それはこれまでの最高到達点へ向けて放たれた渾身のセルフタイトル『THA BLUE HERB』。苦しむ中で溢れ出た今作について、ラッパー: ILL-BOSSTINOに話を伺った。妥協なき道を突き進む中で、彼にとって闘うということを問いた時、実直さと今見えている景色から己への覚悟のようなものを垣間見ることができた。


ILL-BOSSTINO [THA BLUE HERB] Interview

—– 野音でのライブから1年半が経ちましたが遂にニューアルバムのリリースという事で、正直勝手な推測でもう少し時間がかかるのかなって思っていました。この期間は制作に没頭できたということですよね?

そうだね。正直もうちょっと早く出したかったくらいだよ。

—– 今作の前にはアナログでのリリースやこれまでの作品のデジタル全面解禁などの動きもありましたが、それはこの作品への布石ととらえて良いのでしょうか?

完全にそれだね。良いタイミングだからっていうのはあったけど、本筋は7月3日のこのアルバムでしかないよ。

デジタルに関してはやっぱり今若い人たちに聴いてもらうにはどうしたら良いか、今の時代の楽しみ方をしている人たちにも聴いて欲しいっていうのを考えたときにCDを店頭に並べて待ってるだけじゃどうにもならないから、そういう考えもあって俺らの方からアプローチした感じだよね。

—– 今作に関して、以前に2012年のアルバムはクオリティー的に極めたとおっしゃっていたと思うのですが、今回はそのさらに上が見えたという事でしょうか? それともまた別の山を登ってみたっていう感覚どちらですか?

もちろん上を見たよね。超えないとダメだなとも思ったし、あれからもう7年だからね。7年前の俺よりは色々なことを知っているし、7個下のガキ(当時の俺自身)には負けませんよ。

—– 何かアクションを起こすときに年齢っていうのはやっぱり気になるものですか?

年齢はひとつの目安だから、年齢について触れているリリックは今回もあるけど、それは自分の人生の中での年齢の話なだけで、変わり方とか成長とかっていう面では大事にするけど、他人との年齢の比較は全くしないね。

—– 前後があって今があるっていう事ですね。

そうだね。俺らの時代を生きてるんで。そういう意味では年齢が目安としても自分の考えの変わり方を確認するにも良いスケールになるよね。

—– 今作でセルフタイトルをつけることになったのはどのタイミングで決まった感じなんですか?

2枚組のアイディアが俺の中にあって、それが8割位まとまったタイミングかな、意識したのは。

—– このタイミングで生涯1回しか使えないと言われているセルフタイトルをつけた想いや意図などはありますか?

それは今までで一番良い作品ができると思ったからだよね。

—– 2枚組ということへのこだわりは?

一回はやってみたいってずっと思っていたよね。影響を受けたアーティストとかみんなやっているし挑戦したいとはずっと思っていたよね。

—– 今回制作に入るときその部分は最初から決めていたのですか?

最初から決めていたね。

—– 2枚組って言っても変な話10曲10曲とかでも成立したと思うのですが、30曲びっしりっていうのは自分達に課したものだったのか、それとも意欲から溢れ出た感じだったのですか?

後者だね。ここでやめたのもこれ以上収録できないからやめたんであって、ここに入らないけど作った曲はまだあったからね。74分、75分、76分でいよいよCDの規格的に保険がきかなくなるギリギリのところでスタッフにそういう風に言われて、じゃあここが止め時だなって。

—– 今回ここまで溢れ出たっていう要因はどういった部分にあると思いますか? 試練を迎えると創造性をより発揮できるメンタリティーになるものなのでしょうか?

まあでも、終わってみれば山を越えたって感じだけど、越えてるときはやっぱり大変だよ。湧き出て湧き出て止まらないっていうような速度まで行ったのは1年半の制作期間のうちの最後の何か月かだけだし、あとはずっと止まっていたものを押しながら動かすわけだから、とても苦労したよね。いつもの倍の量でもあるし、終わってみれば超えていたけど苦労したことには変わりはないね。まあいつもそうだよね。

—– 今回新たに30曲制作されたということはライブの構成も結構変わってくる可能性が高いですよね?

そうだね。まだそこまでは考えてないけど、大きく変わってはくるだろうね。

—– 今の段階でキーになりそうだなって思っている楽曲とかってありますか?

それはまだ全く決めてないね。まずは歌詞を覚えるところからはじめようって感じだね。

—– リリック面では色々と風刺的な部分や、他のアーティストへのリスペクトなども感じられましたが、割と具体的な固有名詞も出てくる中でそういった他者から刺激を受けるのはどういった要因が強いと思いますか?

やっぱりその人達に負けたくないと思うから、俺ももっとよくなろうって思うんだよね。

—– 単純に勝ち負けだけではないと思うのですが、闘うということの意味をどのように捉えていますか?

今となっちゃ、闘うということの意味もどんどん変化していってるし、97年の俺達が出始めたときの闘いと、今の俺らの闘いは同じなのかって言われるとどうなんだろうなとも思うよね。

—– 闘う対象が変化していっているってことですか? それとも闘うという概念そのものが変わっていっている感じですか?

どうなんだろうね? 俺にとっては2枚組を完遂するってことも充分自分との闘いだったし、この1年間はそれが精一杯だったよ。

だから自分の中での問題という面では、他人様を傷つけるような闘いとはやっぱり違うよね。ただ、正直言葉を扱っている以上誰かは傷つけるし、自分の意見を言っている以上、他人の違う意見に対して昔のように全否定はしないけど、それでも塗り替えていくっていうことは避けられないから、そこにもきっと闘いは生じるだろうし、それによって起きる色々な軋轢からも闘いは生じるのだろうし、だからそこはもう避けられないよね。ただ、それはこっちから誰かをディスってとかではないことは確かだね。

—– 人生観を乗せていくことで生まれるTHA BLUE HERBの音楽において、年月とともに変化していく部分もあると思うのですが、死生観の部分とかにも変化って生まれてきていますか?

それは1stから聴いてもらえれば分かると思うけど、俺らは死生観ですら1stアルバムからあったよね。もちろんそこからは変化していっているんだけど、わりとそれは避けられないものとしてっていうのは変わらないし、20年間そこに近づいているわけだからより濃度も濃くなっていると思うし、そうなると結局他人様と争っていてもしょうがないなってなっていくよね。自分の内側とすべては結びついているから。

—– 今回大きな山となるアルバムが完成した訳ですが、この先まだまだ色々な山がありそうですか?

いやまだ分からないね。今はやっと登った頂上でひと休みしてる時で、この次はその曲を身にして鳴らしていくわけだから、まだある意味この山を登っている途中ではあるよ。「TOTAL」のときもそうだったし、いつだってそうだけど、アルバムを作って3年後くらいに完全にライブで楽曲が自分の血と肉になり、そこからアルバムを振り返ったとしたら、今が一番馴染んでない状態なわけだからね。これからこの楽曲と向き合って、磨いてっていう時期がくるわけだから、今はちょうど半分くらいの位置にいるのかなとも思うね。

—– この後ははまた全国へライブをしに向かっていくわけですね。

いつも通り、大きい所も小さい所もフェスも全部行くよ。

—– 最後に今作に関してのメッセージを含め一言お願いいたします。

30曲の中の一小節一小節、自分にとっては伝えたい言葉と対象があるので、今までよりもそこの範囲は広がっているし、色々な人間がそこには出てくるし、色々な悩みとか葛藤もここには詰まっている。本当に今までで一番良い作品だと思うので、楽しんで欲しいと思います。


Interviewed by KISHIMOTO

THA BLUE HERB “前口上” (トレイラー 映像)


リリース情報

THA BLUE HERB - 5th ALBUM「THA BLUE HERB」〔通常版〕

THA BLUE HERB – 5th ALBUM「THA BLUE HERB」〔通常版〕

THA BLUE HERB - 5th ALBUM「THA BLUE HERB」〔限定版〕

THA BLUE HERB – 5th ALBUM「THA BLUE HERB」〔限定版〕


THA BLUE HERB、結成20周年を経てたどり着いた、7年振り、5枚目のニューアルバム。2枚組全30曲、150分超収録、遂にセルフタイトル「THA BLUE HERB」。
結成20周年を終えたTHA BLUE HERBが次に目指すべきものとは何か?
未だ足を踏み入れていない原野とはどこにあるのか?

その問いの答えとは、ILL-BOSSTINOとO.N.Oの胸中にずっと消えずにあったもの、「俺等は2枚組のアルバムをまだ創っていない」という、ずっと残してきた宿題。それは避けては通れないものとしつつも常に先送りしてきた大きなハードルだった。

その時が遂に来た、挑むのは今しかない、今ならきっと出来るはずだ、2人は再び長い開拓の日々に没入していった。

完全自主制作、フィーチャリングなし、全30曲。これまでで最も厳しいヤマでしたが、ここに、乗り越えました。

我々も既に47歳。ヒップホップの何が好きか、自分達の音と言葉で表したいヒップホップとは何か、もうはっきり見えている。安い早い軽いのトレンドなんざ構っちゃいねえ。成功も失敗も引っくるめて、これまでの自分達の経験、そしてそれが形作る自己と向き合い、前を向くアイデアをじっくり抽出して高い価値を提示しよう。浮かれた流行に我慢ならずに軽口を呟いたりはしない。世の中の不条理に恨み言を吐き捨てて終わりにはしない。いつか来た道をなかった事に、やがて行く道に知らぬふりをしない。日々変化していく想いをその季節限りで枯れていくものにしない。未来を、目が覚めたらもう消えていくだけの夢にはしない。

我々はまだ47歳。この頂に、不動なるものを残しておく。


THA BLUE HERB
『THA BLUE HERB』
2019.07.03 Release

収録曲
[DISC 1]
01. RETURNING
02. EASTER
03. WE WANT IT TO BE REAL
04. 介錯
05. AGED BEEF
06. A TRIBE CALLED RAPPER
07. 凶兆序曲
08. THERE’S NO PLACE LIKE JAPAN TODAY
09. REQUIEM
10. GETAWAY
11. SUVARNABHUMI TRANSIT
12. HIGHER ON THE STONE
13. TWILIGHT
14. KEEP ON AND YOU DON’T STOP
15. THE BEST IS YET TO COME

[DISC 2]
01. DETERMINATION
02. TRAINING DAYS
03. 阿吽
04. HEARTBREAK TRAIN (PAPA’S BUMP)
05. UP THAT HILL (MAMA’S RUN)
06. COLD CHILLIN’
07. 一切空
08. LOYALTY
09. LIKE THE DEAD END KIDS
10. スーパーヒーロー
11. SMALL TOWN, BIG HEART
12. LOSER AND STILL CHAMPION
13. 今日無事
14. MAKE IT LAST FOR…
15. LANDING

●通常盤●
フォーマット : 2CD(初回限定デジパック仕様、歌詞カード付属)
品番 : TBHR-CD-031
税抜価格 : ¥4,500
バーコード : 4526180484097
LABEL : THA BLUE HERB RECORDINGS

●生産限定盤(インスト・ディスク付属4CD仕様)●
フォーマット : 4CD(インスト・ディスク付属、特製三方背ケース付属デジパック仕様、歌詞カード付属)
品番 : TBHR-CD-030
税抜価格 : ¥6,000
バーコード : 4526180484080
LABEL : THA BLUE HERB RECORDINGS


THA BLUE HERB – 5th ALBUM「THA BLUE HERB」RELEASE TOUR

08月23日(金)町田 CLASSIX(042-794-7194)
08月24日(土)中野 heavysick ZERO(03-5380-1413)
08月26日(月)名古屋 CLUB QUATTRO(052-264-8211)
08月27日(火)京都 MUSE(075-223-0389)
08月29日(木)広島 CLUB QUATTRO(082-542-2280)
08月31日(土)福岡 DRUM Be-1( 092-737-5300)
09月01日(日)那覇 Output(098-943-7031)
09月03日(火)大阪 CLUB QUATTRO(06-6311-8111)
09月04日(水)金沢 AZ(076-264-2008)
09月06日(金)新潟 GOLDEN PIGS RED STAGE(025-201-9981)
09月07日(土)熊谷 HEAVEN’S ROCK (VJ-1)(048-524-4100)
09月10日(火)東京 LIQUIDROOM(03-5464-0800)
09月13日(金)郡山 PEAK ACTION(024-983-4398)
09月14日(土)水戸 CLUB MURZ(029-224-7742)
09月15日(日)BAYCAMP 2019(http://baycamp.net/2019/
09月18日(水)仙台 enn 2nd(022-212-2678)
09月20日(金)山形 Sandinista(090-7320-0592)
09月22日(日)宇都宮 HEAVEN’S ROCK 2/3 (VJ-4)(028-639-0111)
09月23日(月)つくば OctBaSS(080-3443-9072)
09月28日(土)夏の魔物 2019(http://natsunomamono.com/
09月29日(日)江ノ島 OPPA-LA(0466-54-5625)
10月02日(水)札幌 KRAPS HALL(011-518-5522)
10月04日(金)北見 UNDERSTAND(http://code-0157.com


THA BLUE HERB(ザ・ブルーハーブ)

THA BLUE HERB - 5th Album『THA BLUE HERB』リリース・インタビュー


ラッパー: ILL-BOSSTINO、トラックメイカー: O.N.O、ライブDJ: DJ DYEの3人からなる一個小隊。1997年札幌で結成。以後も札幌を拠点に自ら運営するレーベルからリリースを重ねてきた。’98年に1st ALBUM「STILLING, STILL DREAMING」、2002年に2nd ALBUM「SELL OUR SOUL」、’07年に3rd ALBUM「LIFE STORY」、’12年に4th ALBUM「TOTAL」を発表。’04年には映画「HEAT」のサウンドトラックを手がけた他、シングル、メンバーそれぞれの客演及びソロ作品も多数。映像作品としては、地元北海道以外での最初のライブを収めた「演武」、結成以来8年間の道のりを凝縮した「THAT’S THE WAY HOPE GOES」、’08年秋に敢行されたツアーの模様を収録した「STRAIGHT DAYS」、そして活動第3期(’07年~’10年)におけるライブの最終完成形を求める日々を収めた「PHASE 3.9」、’13年に東北の宮古、大船渡、石巻でのライブツアーを追った「PRAYERS」を発表してきた。’15年にILL-BOSSTINOがtha BOSS名義でソロアルバム「IN THE NAME OF HIPHOP」を、’16年には前年末の東京リキッドルームでのライブを収めたDVD「ラッパーの一分」を発表した。

HIPHOPの精神性を堅持しながらも多種多様な音楽の要素を取り入れ、同時にあらゆるジャンルのアーティストと交流を持つ。巨大フェスから真夜中のクラブまで、47都道府県津々浦々に渡り繰り広げているライブでは、1MC1DJの極限に挑む音と言葉のぶつかり合いから発する情熱が、各地の音楽好きを解放している。

’17年、結成20周年を機にこれまでの足跡を辿った初のオフィシャルMIX CD「THA GREAT ADVENTURE」、シングル「愛別EP」を発表。10月には日比谷野外大音楽堂で20周年記念ライブを台風直撃の豪雨の中で敢行、集まった3,000人のオーディエンスと新たな伝説を刻んだ。そして、その模様をノーカットで収録したDVD「20YEARS, PASSION & RAIN」を発表した。

2019年、活動第5期がいよいよ幕を開ける。

THA BLUE HERB RECORDINGS
http://www.tbhr.co.jp/


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