The Bloody Beetroots~TRIBAL CIRCUS~ @ FUJI ROCK FESTIVAL ’14 LIVE REPORT
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The Bloody Beetroots~TRIBAL CIRCUS~
2014年7月26日(土) @ FUJI ROCK FESTIVAL ’14
フジロックフェスティバルお楽しみの夜遊びパーティータイムがやって参りました。翌日の1日を残した2日目の夜となると、もう疲れていようが、足に靴ずれが出来ようが出来る限り遊び歩きたいっていうのが本音。夜のフジロックの苗場食堂周りは、昼のそれと違ってガラッと雰囲気が変わります。一日中遊び周り一日最後のお疲れ様のお酒を交わす人々や、日中に体力を温存してこれから派手に遊んでやろうと目論んで飲み始める人々。フジロッカーズが醸し出す多種のバイブスが入り混じるこの深夜過ぎの時間帯のムードが何気に好きだったりします。不思議な事に、酔っ払って場を取り乱す人って今までほとんど見た事が無い。これだけ人が集まれば、少し過度のお酒を摂取し行き過ぎた行為をしてしまう人が多そうなのですが。。。良い音楽と心地の良い苗場の環境は、お酒との相性も抜群なのでしょう。完全にストレスフリーなわけですから。
さて、今年の夜のお楽しみとしてピックアップしたのがイタリア発エレクトロダンスパンクと呼ばれているソロプロジェクト”The Bloody Beetroots”。もはやエレクトロという音にジャンルの垣根も全く無いわけですが、JUSTICEやMSTRKRFTなど2000年に入り頭角を現した新しい世代新しいアプローチによるダンス・テクノユニットの代表格とも言えるでしょう。その中でも、ちょっと異色なイタリアという世界的に活動しているアーティストが少ないお国からの発信とあって、その分期待が高まります。一番注目したかったのがやはりライブセットという点。THE QEMISTSやBASEMENT JAXXなどの打ち込み系アーティストもライブセットという事もあって、あの熱く濃いイタリアの血を含んだ彼らがどう遊び慣れした苗場の夜遊びロッカーズを踊り倒せるか。。。
なんて推測は一切ご無用。会場のRED MARQUEEは既に後ろまで満員御礼。昨年の初日のこれ位の時間帯にDEATH GRIPSの暗然たる独特な世界観に狂熱した記憶がまだ新しく感じる深夜1時前、今か今かと彼らの登場を待ち望むオーディエンス。好きなアーティストを待つ際に、例えば照明一つ変わったり、ローディーが楽器のチェックでステージに来たりするだけで会場がザワザワし声を発する光景を良く目にします。それだけSHOWの始まりを固唾を飲んで待っているという事になるわけですが、この日はなんと突如『オレーオレオレオレー!オレーオレオレオレー!』とサッカーの試合で良く聴く事の出来る応援歌が大合唱された。知識不足で申し訳ないが、この大合唱が始まった理由は正直定かではない。ただ一つ言える事はフジロッカーズはThe Bloody Beetrootsを待っていた。そしていつでも興奮の絶頂に向かう準備が出来てるいるのだ。
今回のライブセットのメンバーは3名。戦隊物の様なマスクを3人被りシンセとピアノとドラムとギターという至ってシンプルなセット。とにかく1曲目の高音と低音の音の厚さと爆発力が尋常ではない。この破壊力は、打ち込みサウンドと生サウンドの融合があってこそ成立するなかなかバンドサウンドだけでは出せない彼らならではのオリジナルな特恵でもあるから、すし詰め状態となったオーディエンスは踊るというよりは、束になって跳ねたり騒いだり、待ち望んでいた彼らとThe Bloody Beetrootsのバイブスが合致した瞬間の爆発力と言って良いであろう。一般的に踊りやすいと言われているテンポ130辺りから、時折テンポ140辺りまで攻めるアグレッシブな姿勢と、奇抜に動き回るライブパフォーマンス。現代版ジュリアナを思わせるような分かりやすくて単純なシンセのサウンド。もはや元々この人たちは踊らせるとか体を動かせるとかそんな意識は一切無くて、目的は単純明快。気持ちの良い爆音を自分達の好きな様に大放出するだけ。そしてオーディセンスもまさしく同じ。細かいことなんて抜きにして、素直に一直線に向かってくる音に対して素直に反応するだけ。夜遊びを終えようとしているフジロッカーズと、これから夜遊びをしようとしている彼らの科学反応と、変態イタリア音楽野郎共が見事にシンクロした会場はとにかく物凄い熱気で溢れていた。
後ろの苗場食堂側へ回ると、ぎっしりと屋根の切れる辺りまで人が溢れていて、音だけを聴いてお酒を飲む人や、ちょうど同じ時間に苗場食堂で演奏をしていた”JOHNSONS MOTORCAR”へ行ったり来たりする人達がいたり(僕も音につられて覗きに行きましたが、物凄い盛り上がりでした)、もしかしたらこの位置がこの時間帯のベストポジションなんじゃないかなと思ったりもしていると、突如それまでの電子音から軽快なロックンロールのような曲が流れ出し驚嘆させられた。まさしくロック好きが作るハチャメチャ変態エレクトロ。一筋縄ではいかないこういう意外性が彼らの最大限の魅力なのでありましょう。
当然この深夜のお祭りイベント”TRIBAL CIRCUS”はこの後朝まで続くわけですが、やはり夜遊びの独特な雰囲気はそれを体験したものしか分からない楽しさがあり、現在風営法というグレーな法律により都市によっては夜遊び自体が禁止されている不合理なクラブシーンの風潮。住む地域によってはもしかしたら年に一回のフジロックでしか味わえない環境の人もいるかもしれない。東京に住んでるけど、まだこういう遊びをした事が無い人もいるかもしれない。開放されたこの大自然で好きなように遊べるわけですから、まだ夜遊び未体験の方、もしくは苗場での夜遊び未体験の方はこれを機会に遊んでみたらいかがでしょうか。それによって少しは世の中の”オールナイト””ダンス”に対する考え方が変わるかもしれません。朝まで遊び通して、一緒に遊んだ仲間と朝陽を見る。結構爽快なものでありますよ。
photo by kenji nishida
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