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WILKO JOHNSON @ FUJI ROCK FESTIVAL ’13 LIVE REPORT

[2013/08/29]

WILKO JOHNSON @ FUJI ROCK FESTIVAL ’13 LIVE REPORT

Profile of |FUJI ROCK FESTIVAL|


WILKO JOHNSON
2013年7月28日(日) @ FUJI ROCK FESTIVAL ’13

WILKO JOHNSON @ FUJI ROCK FESTIVAL ’13 LIVE REPORT

今年はじめジャパンツアーを目前に控えたWILKO JOHNSONのオフィシャルサイトから彼が末期の膵臓がんで今後一切の化学療法は拒否したという発表が出された。
それから日本とフランスでライブを行いイギリスでの公演がラストになると思われた。
しかし彼は今夏フジロックへの出演を果した。

1971年にDr.Feelgoodを結成以来ブリティッシュビートの伝統継承とパンクへのインスピレーションといった多大なる影響をその存在感と共に示してきたまさにレジェンド。

27日深夜、WILKO JOHNSONは入場ゲートの外にある夜中のみオープンしているCRYSTAL PALACE TENTで演奏を行った。とてつもない長蛇の列がなされた結果、入場規制がかかってしまったのだが、まずこの入場無料エリアでライブを行うということが彼の心意気なんだと思う。

そして28日、GREEN STAGE タイムテーブルにおいての彼らの演奏予定時間は、
14:00~14:50

13時50分 通常はサウンドチェックなどのスタンバイにあてられている時間となる開始予定の10分前に彼らは登場した。 オーディエンスの中にはちょっとした確認で出てきたのかなって思った人も多かったみたいだけど、13時53分 そういう事ではないとすぐに察知する。 ”All Through the Cit”でライブはスタートする。”Roxette” ”Don’t Let Your Daddy Know”といったDr.Feelgoodの名曲が続く。

ソリッドやシャープやタイトといった言葉を全て体現するような鬼気迫る演奏、観る者、聴く者を虜にするマシンガンギターと絶妙なカッティング。
途中のMCは皆無、空は晴れ上がりそこそこの炎天下の中、ほとんど休息を入れることなく演奏を続けていく。

WILKO JOHNSONと共に長年バンドを形成してきた盟友たちの存在も忘れてはならない。
中盤のドラムソロやベースソロはスリリングで見応えあるものだった。
Dylan Howe(ドラム)はオーディエンスに手拍子を要求し会場中の盛り上がりに拍車をかけ、Norman Watt-Roy(ベース)はバンドのグルーヴを完全に司っていた。
ちなみにNorman Watt-Royは今年6月に62歳にして初のソロアルバム『Faith & Grace』をリリースしている。この音楽に対するひたむきな情熱はステージから心打たれるほどに伝わって来ました。

WILKO JOHNSON @ FUJI ROCK FESTIVAL ’13 LIVE REPORT

ライブは終盤にさしかかり、さっきほとんどMCは無かったと言ったけど、少しだけ、ほんとに少しだけ言葉をくれたんだ。『ありがとう』と感謝を伝える言葉。『旅立つ時が来た、サヨナラ』という別れを告げる言葉。『また逢おう』という永遠を示す言葉を彼は僕らに残してくれた。

やがて誰しもに訪れる死を悟り、尚もステージに上がることを選んだ男の生き様というか佇まいというのは…
そしてアンコールで演奏した曲は”Bye Bye Johnny”

音楽が持つ楽しさとこういった状況がおよぼす切なさと様々な感情が入り混じる。
あんなに晴天だった空からは涙のような雨が降り出し、気が付けば僕の目からも水が流れてきていた…


彼がどこまで計算して今日のライブの時間配分をしたのか知る由もないけど、
10分前に登場し、50分間演奏をした。当然のように起こるアンコール。きっともう少し身体を休めてから出てきたかったのでないかと思うけど、そのアンコールが起こることも見透かしたように、わずか1分足らずで再びステージに戻る。
そしてアンコールに応える。終演時間はタイムテーブル通りピッタリ14時50分。
この後、出演するアーティストや運営にも一切の悪影響を与えることなく、自分を示すように多くの感謝を伝えるために1曲でも多く、1秒でも長く…
そんな想いが込められていた気がしてならない。

そして最後に彼は言ったんだ『Don’t Say Goodbye』
泣き崩れる大勢のファンがいる中で彼は笑顔でステージを後にした。
『ありがとうウィルコ!』



text by KISHIMOTO
photo by kenji nishida

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