YOJI (UP DOWN RECORDS / MILITANT ITES SOUND SYSTEM) INTERVIEW
レゲエ専門レコード店として国内外から絶大なる信頼を得るUP DOWN RECORDS店主YOJI氏。昨年秋に惜しまれつつも実店舗での営業にひとまずピリオドを打ちはしたものの揺るがない方向性を示し、昨今はローカルシーンの起爆剤となる息吹をサウンドシステムという形で注ぎ込むMILITANT ITES SOUND SYSTEMとしても活動を繰り広げている。レゲエのもつ魅力、レコードの魅力、サウンドシステムを導入してイベントを展開する魅力、あらゆる局面において分岐点とも言える今、自身がそこに魅せられるに至った秘話も含めその想いを伺う事が出来た。
YOJI (UP DOWN RECORDS / MILITANT ITES SOUND SYSTEM) インタビュー
—–まず11年程運営されていた実店舗の方が昨年惜しまれつつも閉店されたという事ですが、現状の動きとしてはどういった感じなのでしょうか?
一応10月いっぱいで店は閉めたんですけど、オンラインでのネットショップの方はずっと継続していて、ここからまた発信していくって感じで、ようやく新たな体制が整ってきたところですね。
—–取り扱っている商品に関してはレゲエ専門のレコード店という事ですが、レゲエと一重に言ってもその中でルーツレゲエとかニュールーツとか、どの辺りが強いみたいなのはあるんですか?
自分達もサウンドシステムをやっているという事もあって、サウンドシステム・カルチャーという部分に特化した商品構成をひとつのコンセプトにしていて、古い物もそうなんだけど、新しい物を結構メインというか、現状どっちかと言うとヨーロッパの現行のサウンドシステム・カルチャーに特化したレゲエ、ルーツレゲエ、ダブとかそういうもののニューリリースとかを押していますね。それでそれにまつわるそのルーツにあたるようなジャマイカ産の60年代、70年代以降~のものを扱っています。
—–近年、世界的にはレコードの需要が上がっているって話しも聞きますけど、その辺りレゲエに関してはどうなんですか?
これはどのシーンでも、クラブミュージックのシーンでも言えると思うんだけど、2000年代に入ってアナログからデジタルになってどんどんアナログというものが廃れてきて、ジャマイカでもレコード屋さんっていうのはあるけどほぼ廃れている状態で、現状ジャマイカから作られている新しいレコードっていうのはほぼないんですね。それで今の現行のレゲエミュージックをレコードっていうフォーマットで出しているのはイギリスを拠点に7割がヨーロッパですね。ヨーロッパの人達の感覚ってちょっと日本人に近い部分もあって、意外と古い物が好きだったりするんですよね。それでも実際に何で曲をかけるかっていうとやっぱりパソコンが主流だったりはするんですけど、でもやっぱりそうなりつつも、アナログ文化っていうか「俺ら元々こうだったよね」っていうルーツは絶対持っているんですよね。
—–確かに全員が全員ではないにしろ昔からよくイギリス人は例えばレコードプレイヤーが壊れた時、新しいものを買った方が安かったとしても元々使っていたものが直せるならそっちを使うって言いますよね。
そうそうそう、だから今でもそういった部分っていうのは根強くて、実際にレコードをかけている人達っていうのは少なくはなっているし、かけている人達はおじさん達になってきているけど、でもレコードっていうのはレゲエのカルチャーにおいては欠かせないものだっていう部分があるから、その文化を大事にしていて、自分達の音源はアナログでは絶対に出すっていう。
—–世界的にレコード復活って言っても、やはりエリア的には限られちゃう感じなんですね。
ジャマイカもどんどん新しい曲は相変わらず生まれているんだけど、それはほとんどデータだけであって、実際今ジャマイカで作られた音源がレコードとして出されるのは極一部で、それも結局ヨーロッパから出しているっていうのが現状ですね。
あとジャマイカ人の気質として新しいものが好きっていうのもあって、50年代とか昔にさかのぼってもアメリカの音楽をラジオで聴いたりしたものを自分達なりにアレンジして出来上がったものがスカだったりレゲエだったりするわけで、今でもそこは一緒なんですよね。だから現状ジャマイカでもレゲエはもちろん日常に密接していて好きだけど、今はアメリカで流行っているヒップホップとかR&Bは相変わらず人気があるっていう状況ですね。
—–今はレゲエ・シーン自体がヨーロッパを中心に動いている感じなんですね。
ジャマイカという国自体が1962年まではイギリスの植民地で通貨もポンドだったっていうのもあって、元々イギリスとジャマイカっていうのはスカから始まってレゲエから今に至るまでずっと並行の流れを辿っているんだけど、でもやっぱりレゲエを好きなリスナーの間でも「イギリスでレゲエ?」とか「ヨーロッパでレゲエ?」とか言う人がいまだに多くてそれほど認知はされていないですね。
—-それはなんでしょう、やっぱりボブ・マーリーのパブリックイメージが強すぎるんですかね?
そう、強すぎるんだけど、若い人はそのボブ・マーリーですら知らなくなってきちゃっているんですよね。いわゆるそういうドレッドとかラスタとかジャマイカには今もそういったのはいっぱいいるし当たり前なんだけど、ファッション面でもヒップホップとかR&Bに影響を受けている部分が強いしそういうのが主流になっていますよね。
—-新しく出てきているアーティストもジャマイカからよりヨーロッパからの方が多かったりするんですか?
ジャマイカもどんどん出て来てはいるんだけど、結局僕なんかはレコード単位で音楽を知るタイプだからレコードが出ないとこういうアーティストがいるって事も分からないんだよね。だからデータだけで音楽を吸収している人は「今、こういう奴がホットなんだよ」とか分かるかもしれないけど、物して形としてないと分からない部分があって、ジャマイカでもガンガン出て来てると思うんだけどそこはちょっと分からない。ヨーロッパはもうガンガン出て来ていますね。
—-お店への問い合わせとしては、そういったアーティストといわゆるジャマイカのレジェンド的なアーティストだとどっちが多いんですか?
そこはもうさっきの話になっちゃうんだけど、まだ日本のレゲエシーンの中ではヨーロッパのシーンに対し認知度も低いから、やはりジャマイカのオールディーズとされる60年代・70年代の音源を求める方は多いですね。
—-なるほど、そこの意識がちょっと変わると楽しみ方や広がりも変わってくるんでしょうね。
そう、だからお店としてというか一サウンドマンという立場から言わせてもらえればレゲエ=ジャマイカって考え方は古い。古いっていうのもおかしいんだけど、そこは揺るがない部分なんだけど、結局レゲエという音楽は良い意味で世界中に発展したってことですよね。それはすごい良いことで、日本もレゲエ大国のひとつにはなっている位、それ位色々な国、ヨーロッパは今シーンとしては一番デカいかもしれないけど、後は今は中南米のブラジル、メキシコ、コロンビアとかああいう所のシーンもルーツレゲエとかダブはすごく盛り上がっていますね。
日本だとジャマイカの影響が強いんで、レゲエ=ダンスホールレゲエっていうイメージをする人が多いんだけど、世界的にみたらレゲエっていったらやっぱりルーツレゲエなんですよね。イギリスなんかでレゲエのシーンっていうといわゆるボブ・マーリーに代表されるレゲエらしいレゲエをみんなイメージしてダンスホールレゲエなんかはいわゆるバッシュメントって言われる部類になってきて、そこはそこでもっとジャマイカのりというか黒人の若者の音楽って感じで定着してますね。
—-色々な音楽が混在している中で良い感じに溶け合ってますよね。元々日本でもスカとかロックステディなんかはパンク畑の方からうまく拡がっていった部分がありますよね。
そうそう、結局自分もそうだけど元々はパンクが好きでそこからレゲエに入っていったんで、昔からパンクバンドのシーンに、例えばTHE CLASHがレゲエを演奏していたりだとか、みんなそういうのを聴いてそこからレゲエが気になってはまちゃったみたいな流れの人達は多いですよね。結局ジャマイカだと他ジャンルとのクロスオーヴァーというより、カヴァー文化ですよね。イギリスとかアメリカっていうのは色々な音楽が常にあるから色々なものがクロスオーヴァーしてひとつの良いシーンが生まれてますよね。
それでもヨーロッパ自体90年代は盛り上がっていたんですけど、2000年代に入って盛り上がりに欠けていた部分はあったんですよね。それがここ数年、2010年前後位からかな、若い10代20代の人達が中心になってきて、そういう人達が成長してきて活気を取り戻しましたね。
—-YOJIさん自身がレゲエにどっぷりになったのはいつ位からなんですか?
レゲエへの入りはやっぱりパンクからで10代の頃はスキンズとかイギリスの初期パンクが好きで、まずそういった音楽からここが拠点なんだって事でイギリスって国に興味を持ったんですよ。
—-ヴィジュアル的にもわかりやすくてインパクトありましたよね。でっかいモヒカンにドクターマーチンとか。
そうそうそう(笑)それでそういう雑誌をみたりとか情報もあまりない中でのイメージで「ああ、イギリスに行ったらこういう人達がいっぱいいるんだぁ~」って思って17歳の時に初めてイギリスに行って、その時は全然駆け出しだったんですけど一応パンクのDJをやっていたんですよ。それでパンクのレコードを日本でちょいちょい集めて買っていたんだけど、イギリスという土地に憧れも持っていたから、向こうに行けばもっとレコードもあるんだろうな、もっとそういうカルチャーに触れられるんだろうなっていう若気の至りじゃないけどそういう軽い気持ちで行ってみたものの、特にモヒカンもいないし(笑)パンクのレコードも、まあ自分がその土地に対して無知だったっていうのもあるんだけど、たいしてレコードも日本で買えるような物しかないし、これはこっち来てもなんもないなって思っていた所にたまたまレゲエ専門のレコード屋をみつけて、それでレゲエっていうのはパンクバンドの人達が「俺らはレゲエも好きで」みたいに言っているのをインタビュー記事とかで見ていたから興味はあって、それでなんも知らないんだけど、それこそボブ・マーリー位しか知らないんだけど興味はあって入ってみたら7インチがすごいいっぱいあって、当時の値段で50円とかでダンボールにいっぱいあって、もうパンクのレコードもないし、安いからこの機会にレゲエの7インチをいっぱい買ってみようって、それで何百枚も買ってきたんですよ。
—-それはもうジャケ買いというか、何を基準に選んだんですか?
それは7インチだからジャケもないわけですよ。それでレーベルも知らないし、もうタイトルだけですよね。じゃあ何を基準に選んだかと言うと、『LOVE』って書いてあるものはなんとなく良さそうだなって(笑)
—-(笑)それはパンク的な発想からするとちょっと逆にいってる感じもしますよね。
そうそう逆なんだけど(笑)、でもレゲエっていうと『ONE LOVE』とか『Peace&Love』とかそういう曲だったら良いんじゃないかなって、すごい適当な何の知識もない中でなんとなくタイトルだけでもちろん試聴もせずに安いからとりあえず買って行こうって、それで日本に帰って聴いたもののよく解らないなぁ~なんて思いつつ(笑)。そこから色々と、そこからスカフレイムス(The SKA FLAMES)とか聴くようになって。
—-そこで日本のバンドを経由したんですね。
そうしたら、友人が既にレコードを集めていたりして、そこからスカってものを知って色々とあさりだして、知識はないながら色々聴いていたらいつのまにかそっちの方にどっぷりになっていたんですよね。
それで次に19,20歳位の時にそこもまだまだ知識は追いついてないんだけど、もう一回イギリスに行ってみようって思って、それで今度はレゲエのレコード屋さんを目的にスカとかレゲエのレコードが欲しくてイギリスに行ったんですよ。その位の時って僕の大先輩にあたる日本でも数少ないレコード屋さんがジャマイカに買い付けに行ったりしていてっていうのはあったんだけど、イギリスに買い付けに行ったりとかイギリスでレゲエを掘るっていう日本人が凄く少なかった時代で、だからどこのお店に行っても「お前日本人だろ? 日本人にこういう音楽の何が解るんだよって」って凄く風当りが強くて(笑)
—-結構陰湿なんですね(笑)
そうなんですよ(笑)「こういう曲が欲しいんですけど」って聞いても「お前らにはそんなの解んねーよ」って邪見に扱われて(笑)でもそこでめげて帰る訳にもいかないから、毎日そのレコード屋に通ったんですよ。そうしたら「また来たのかお前、お前なかなか気合いあるな」みたいなのりで色々聴かせてもらって、そこから色々と今日こういうイベントがあるから一緒にいくぞみたいな。そこからですね。
—-一度開けたら色々変わりますよね。その時っていうのはまだ仕事の買い付けってわけではないですよね?
うん、全然全然。自分の欲しいのを買いに。
—-その風当たりをくらってよく嫌いにならなかったですね(笑) それが日本の国内だったらまた違ったんでしょうね。
そうそうそう(笑)国内だったらなんだこいつムカつくなって話になってくるけど、イギリスにはそれ目的で行ってたからそんなんでおめおめ引き下がるのも違うだろうって思って。
—-ちょっと血気盛んな時というか、年齢的にもちょうど良かったのかもしれないですね。
もう怖いもの知らずの時だったから、しつこくしつこく行きましたね。イギリスだからマニアとされる人達は結局白人が多いんですよ。アーティストをやっている人は黒人が多いんだけど、レコード屋とかちょっとマニアックな人っていうのは白人が多くて、色々とその後に話を聞いたら「いやな、俺はお前のことをバカにしたけど、俺ら白人もここでこういう事をやるって事はすごい大変な事なんだ」って要は黒人からしたら白人のお前らに何が解るんだって話になってくるし大変なんだって事を聞いて、それはそうだよな~って、そういう現地の人しか解らない実情があったんですよね。
—-そのストレスのはけ口にされた訳ですね(笑)
そうそうそう(笑)そういうのもありつつ現地の人達との色々な交流を経て向こうの現状とかも知って、自分なりに知識も付いてきて、そこから結局色々な事を教わったきっかけがレコード屋さんだったから、自分もレコード屋さんをやって今度は自分がこういう音楽を人に伝えたいっていう気持ちがいつからか芽生えて25歳位の時自分でお店をやろうって思ってからは自分のためにっていうより人に伝えるって思考に変わりましたね。
—-まさに好きが昂じてですね。それでいざ仕事で行くようになると見え方が変わったりはしたのですか?
でも半分宝探しだから全然仕事って感じもしてないし、やっぱり日本にある物っていうのは極一部なんだなって思ったし、だから楽しかったですよ。仕事とか関係なく楽しくてしょうがなかったですね。レゲエって本当に歴史があるから、ジャマイカっていう小さい島でなんでこんなにいっぱいのレコードがあるんだって、もう底なしなんですよ。
—-レジェンド級の人はLPを1人で70,80枚とか出したりしてますもんね(笑)
出してるし、それこそ1日に何曲録ってるんだって位(笑)もう凄いんですよね。もう毎週何百枚のタイトルが出るっていう時代だったから、当時はまだまだ今ほど知識も薄かったし知らない曲も外国に行けばどんどん出てくるし、でもそれは今でもまだ変わっていないんですよ。だいぶ減ったは減ったけどまだこんな曲あるんだっていうのは常にあるし、結局もう底なしだから一生レゲエのレコードだけを聴き続けても聴き切る事は絶対ないんだなっていうのは解ったし、どっかで終点が見えちゃうと面白くないからそれが逆にこういう音楽を好きでいられる理由の1つでもあるんだけどね。
—-サウンドシステムを自分でやろうって思うきっかけは何かあったのですか?
それもやっぱりイギリスだったんですよね。向こうにいる時に今日こういうイベントがあるからって行ったイベントがあって、それが今でも現役でやっているJah Shaka(ジャー・シャカ)だったんですけど、もう本当に立ってられない位の「なんだこれは!」って。まだ若かったから日本の普通のクラブで聴く音楽も凄げえなって思っていたけど、ちょっと次元が違うというか(笑)同じ曲、知ってる曲を聴いても聴こえ方がまるで違うし、「これがサウンドシステムなんだぁ~」って所で20歳位からずっといつか何かをとは思っていたけど実際は欲しいレコードを買うとかが優先で憧れで止まっていたんですよ。それが結局実現したのが今から3年前位なんで、まだそんな経ってはいないんですよ。サウンドシテムをやるっていうのはとにかく常にお金がかかるっていうのがネックだったから止まっていたんだけど、それででも一度そのサウンドシステムを作るってなったら自分の中の思考がレコードを集めるっていうよりサウンドシステムをやりたいって事に変わって、レコードは一回全部売っぱらって、お金を作ってサウンドシステムをやろうってなりましたね。だから10年位かけて集めてきたいわゆるレア盤とされるのとかそういうのを結構売ってお金を作って、それを全部スピーカーとかのサウンドシステムを作る費用に変えましたね。それで徐々に徐々に。今でもひとつの形にはなっているけどまだ全然完成というわけではなくて、これもまた尽きることがない事だから追い求めればキリがないですよね。
—-サウンドシステムをやるようになってセレクターとしてかける曲は変わりましたか?
変わりましたね。今はサウンドシステムでかけるって事を意識したレコードを。例えば僕らのサウンドシステムって現状相模原で自分達でやる時しか出してなくて他で自分達のセットを鳴らす事っていうのはないんだけど、普段の個人的なDJの時の選曲とサウンドシステムでやる時はちょっと変えてますね。サウンドシステムでやるときはそれに特化したものにしていますね。
—-その相模原のイベントの時はラバダブがベースとしてあるんですよね?
そうそう。
—-ラバダブって事は自分の声を乗せていく形になると思うんですけど、ラバダブ用の音源っていうのがあるわけではないですよね?
特にラバダブ用っていうのはないですね。
—-でもそこに合うのを選んでいくって感じになるんですよね? どういった基準で選曲してるんですか?
合うのを選んでいくのと、あとは鳴り。鳴りというか、これもよくみんな一口にアナログは音が良いとか言うんだけど、それは僕としては浅はかで、決して間違いではないんだけどレゲエのレコードって本当に古いものに関しては、裸でもう(笑)
—-そうですね。確かに向こうの大御所のDJとかでもバンバン音飛んでる人とかもいますね(笑)
そうそう、だから裸で本当にゴミのようにあるから、特にジャマイカでみつけるレコードなんかもうボロボロなわけですよ。結局買い付けでもなんでも状態が悪いレコードっていうのは今でもいくらでもあるし、はっきり言ってゴミのようにあるんですけど、でもそういう物は商売にならないし、そういった中でいかに状態の良いものを見つけるかっていうのが仕入れの重点的な部分になってくるわけで、キズのノイズとか古い物に関してはしょうがないと思うんですけど、ジャマイカって日本とかアメリカとかイギリスみたいに録音環境とかスタジオの環境とか機材とかもすべてきれいに整っているわけじゃないから、元々のレコード自体のそのバイナル自体の素材からもうリサイクルでやっているから音は良くないんですよね実際。音は太いんだけど良いか悪いかって言ったら断然ヒップホップとかソウルとかアメリカの音楽のレコードに比べると全然段違いに元々の音は悪い。だから一口にレコードは音が良いって事では片づけられない部分があって、だからサウンドシステムで鳴らすってなると余計考えますよね。
—-なるほど、たしかに悪ければ悪いだけその部分が際立っちゃいますよね。
そうだから、なおさらサウンドシステムでやる時は選曲というよりも選盤、これは使える、使えないっていう。逆にどんどん使えない物が増えてきちゃって、これはかけたいんだけど音がな~っていうのがいっぱいあるし、そこはもう拘りというかスタイルでもあるんですよね。こういう拘りの大事さっていうのも僕はイギリス人に教わったというか、ジャマイカ人っていうのは逆になんでもいいじゃんって感じなんだけど(笑)ノイズっていうのはこれも音楽だからっていうメチャクチャな言い分を言う人達だから、それも分かるんだけど、でもきれいな音にこしたことはないからって思いますよね。僕は日本人だし僕はノイズ嫌いだからっていう。それで実際今となっては日本ほどマニアの多い国もないっていうか、ジャマイカとかにレコードを買いにく人とかも増えたし、レゲエのレコードに関しては日本が世界で一番質の良い物があるんじゃないかって位、量はないけど厳選された状態が良い物は一番揃っているかな。
—-日本は売り物としての水準というか基本的な意識は高いですもんね。売る方も買う方も。
そうですよね。やっぱ日本でもみんなはじめはノイズってものもこれは味だから良いよねって言うんだけど、だんだんみんな変わっていくんですよ。やっぱりノイズはないにこしたことはないって。そうするとどんどんハードルは高くなっていきますよね。
結局結論というか今の現状思うのはやっぱりレゲエって音楽は、これはレコード屋だからレコードにしろとかそういう事じゃなくて、自分もレコードは好きなんだけどそこまで完全にレコード主義ではないんですよ。昔だったらレコードしかなかったけど今の時代は色々なフォーマットがあるから何でやろうが全然良いと思うんだけど、どのフォーマットにしてもやっぱり音質というものに拘りを持つことは特にやる側は大事だと思いますね。
—-一般的なスタンダードのスピーカーのレベルが上がってパソコンにしろスマホにしろ手頃なところでそこそこ聴けちゃうっていうのが追究を止めてしまっているのかもしれないですね。
本当にその通りで、かけられればなんでも良いっていう。それってお客さんの立場であったらそれで良いと思うんですけど、やっぱりステージにDJブースに立って人に曲を聴かせる人間っていうのは最低そういう部分の拘りっていうのは絶対持たなきゃいけないし、それで仮にもイベントとかはお金を取っているわけですから本当にプロとかアマとかそういう世界じゃないけど、一般のお客さんといわゆるサウンドマンと言われるセレクターとかDJとかとの差が無くなってきちゃっている部分はありますよね。ただ音源をいっぱい持っているってだけで。そういう面がシーンの衰退の原因のひとつだとも思うしさらに言うと、さっきは完全にレコード主義ではないと言ったけどレゲエに関してはできることならレコードでやった方が僕は良いと思いますね。なぜならレゲエってやっぱりジャマイカっていうカリブの本当に小さい島国の音楽で、昔に比べたらレゲエをフィーチャーする雑誌とかメディアとか露出も増えたと思うけど、それでも情報量としては他のジャンルに比べて相当少ないと思うんですよ。それでもその情報ってものを何で感じる事ができるかっていうと全てそのレコードからだと思うんです。
レコードって溝が刻まれてそこから音がでるわけじゃないですか、その溝に歴史が全部詰まっている、要はレコードに針を落としてレコードで聴く事でその時の録音の風景とかその時の時代の背景とかを感じられる。そこが一番シンプルだしその感覚がないとやっぱりレゲエってものは理解できないと思うんですよね。だからレゲエを知るにはレコードを聴く。聴けとまでは言わないけど…。
いつからか自分なりに思ったのはアナログがどうとかデジタルがどうとか一般的に話題とされる中で音が良いとかそういう部分じゃなくて、レコードの溝から感じられる空気感ってものは絶対あるんですよ。そういう部分の大事さっていうのは特にDJとかセレクターの人には解っていて欲しいなって思いますね。そこに全て刻まれているというか、レゲエとかサードワールドの音楽というものにはそこでしか感じられないものっていうのが絶対あるんで。
—-最後にイベントの事をもう少し伺っても宜しいでしょうか?
一応、MILITANT ITES SOUND SYSTEM(ミリタント・アイツ・サウンドステム)っていう名前で年4回。
そのサウンドシステムで音を鳴らしてっていうシンプルなコンセプトでそのサウンド名がイベントのタイトルという事でそれが全てですね。それで2016年の一発目は2月11日にイギリスのブリストルという街からDUBKASM(ダブカズム)というDJ STRYDAとDIGISTEPの2人組がジャパンツアーを東京、京都、福岡、札幌、それに相模原で行うという事で、その相模原をうちらがサポートする形になります。
—-DUBKASMは今回が初来日になるんですか?
そうです!DUBKASMの活動自体は90年代からやっていて、もちろんヨーロッパでのレゲエ、ダブ、もっとざっくり言っちゃうとベースミュージックのシーンにおいては知らぬものはいない位の有名な人達で特にSTRYDAに関しては、いわゆるラジオDJとしても有名なんです。彼がやっているサファラーズチョイスっていうラジオ番組は地元のブリストルのラジオ局で前までは毎週月曜日にやっていて、今は月1回になったんだけど、ヨーロッパではSTRYDAがラジオで紹介した曲がそのレコード市場に反映されて売り上げが変わるくらい影響力がある番組で世界中にリスナーが多くいる存在ですね。もう一人のDIGISTEPはDUBKASMの楽曲制作に主に携わっていて、ステージではサックスプレイヤーとして、STRYDAがかける楽曲に乗るっていうデジタルミュージックと生楽器の融合が彼らのスタイルですね。今回初来日ですが、当然現地と同じスタイルでやってくれます。 地元ブリストルしかり、ヨーロッパの名だたるフェスにも常に出ている2人なのでヨーロッパはもちろんアメリカやら南米やらそれこそジャマイカでもそうだし世界中で活躍しているアーティストを観られる貴重な機会だと思うので是非。まあ相模原はひいきにして欲しいんだけど(笑)全国自分がいける現場に是非足を運んでほしいなと思います。
DUBKASM Japan Tour 2016 MILITANT ITES SOUND SYSTEM
2016.02.11 Thursday(National Holiday)
AT. CLUB R-RAINBOW SAGAMIHARA.
5pm-11pm
AVD: 3000(w/1D) DOOR: 3500(w/1D)
■DUBKASM from Bristol UK
STRYDA・DIGISTEP
■DJ INZA
■feat. MINAMOTO
■INTER-NATIONAL SOUND
“The Mighty Influential Warriors”
■MILITANT ITES S.S.
■feat. to be… Yuuri Bamboo and the full crew
■VJ : Big!
■FOOD : Sangita
■SHOP/LIVEPRINT : RASTAFARiddim
Sound Supported by Sushi Audio Workshop
INFO : CLUB R-RAINBOW
神奈川県相模原市中央区相模原2-3-13 マリオンビルB1 (JR相模原駅から徒歩5分程度)
Tel: 042-707-9066
DUBKASM Japan Tour 2016
東京公演 – 2016/02/05 (金) Star Lounge (渋谷)京都公演 – 2016/02/06 (土) Club Metro
福岡公演 – 2016/02/07 (日) The Dark Room
相模原公演 – 2016/02/11 (木) CLUB R-RAINBOW SAGAMIHARA
札幌公演 – 2016/02/13(土) PIT
UP DOWN RECORDS – Recommend DISC
Dubkasm – Victory (12″)
このタイミングなのでやはりこれですね!
近年、世界中でサウンドシステム・アンセムとしてプレイされているのがこのVictoryだ!是非聴いてみてほしい!
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