特集:平塚 HAPPY MOUNTAIN BAR
平塚駅から徒歩1分、地域に根付き、いなたくも新進気鋭にカルチャーを継承していく『HAPPY MOUNTAIN BAR』(ハッピーマウンテンバー)。憩いと刺激を提供すBARでありながら、ミュージック、アート、フードを絡めてその存在感を浮き上がらせている好スポット。ポップな面とドープな面を併せ持ち、人と人を繋ぎ、人を音を繋ぎ、人の感性を磨く。
今回はお店に潜入し、オーナーのKYON a.k.a. BLACK NICO氏にこのお店の魅力を伺ってきた。これまで行われてきたイベントのフライヤーや店内の雰囲気と共にご覧ください。
KYON a.k.a. BLACK NICO(HAPPY MOUNTAIN BAR)インタビュー
—– こちらのお店は元々どのようにしてスタートしたのでしょうか?
ここは今年で19年なので約20年近く続いているお店になりまして、僕の前に2人オーナーがいます。その前オーナーからお店を引き継がせて頂いて、僕は3代目になります。
—– 初代のオーナーの方とも面識はあるんですか?
実は僕はお会いしたことがないんです。前オーナーの叔父にあたる方で、ここは血縁関係で続いていたお店なんですけど、色々出会いがあり僕が引き継がせていただくことになりました。
僕は地元が大磯なんですけど、前オーナーも大磯の先輩にあたる方で、それで以前から僕はここにお客さんとしても来て自分のイベントも2カ月に一回打たせてもらったり、他にもDJをさせてもらったりしていたので5年位交友がある中でそこから発展していきました。
—– 実際にお店を引き継ぐことになったきっかけや経緯を教えてください。
きっかけはやっぱり前職の影響が大きくて、僕は以前下北沢のレインボー倉庫というところで働いていたんですけど、ここは働かせていただいて本当に感謝しかありません。下北沢はひとつ大きなきっかけになっています。もともと十年以上音楽とアートのイベントを打ち続けていたことで、自分なりに自信はあったのですが、下北沢でしか得られなかった経験も多く、自分の中で全てを混ぜて昇華したもの、所謂自分なりにかっこいいと思うカルチャーでご飯を食べて行けたら最高だなっていう想いがあって、それはざっくりとしたものだったんですけど、、、やはり場所の問題はあり、お金がないなりにもずっと探していました。ただ夢で終わるのは嫌だったので物件もけっこう見に行きましたね。家庭の事情もあり職を変えることも同時進行で考えていた矢先、たまたま、ここのお店を前オーナーが手放すという話しを聞いて、それで僕が引き継がせてもらいました。その方は僕の地元の先輩なんです。
—– もし引き継ぐ人がいなければ閉店してしまうっていう流れだったんですね。
誰かいないかなっていうことでずっと探してはいたみたいなんですけど、ちょうど良いタイミングでした。
—– カルチャーという部分を大事にできれば特にBARという場所にこだわりがあったわけではないということですか?
そうですね。でも実際に飲食店というものにも興味はあって、レインボー倉庫でも簡易的ではありましたけど、BARを絡めた形でイベントなどを行っていたので、BARということに抵抗はなくて、むしろ歓迎する要素でした。
—– お店を引き継ぎ、オーナーという立場になって新たにお店として何か取り入れたことってありますか?
そこまで大きく変わった事はないですね。前オーナーがカルチャーというものに結構スポットを当ててたっていうのもありましたし、そのコンテンツがいくつかある中で僕はそれぞれを強化していったっていうイメージでいます。例えばまず内装の部分で当初からアートと絵は店内に飾ってあったんですけど、さらに自分の好みとかで僕の家にあったものとかも全部持って来てプチギャラリーのような形で、色々なアーティストを知ってもらうっていう事で展開しています。後は音楽機材のボリュームを少し上げて、より良い機材を入れていくようにしています。Micro. Sound Systemが担当してくれています。良い音で良い音楽を鳴らせるように今後もこだわっていくつもりです。あとは食事ですね。通常営業時の食事メニューも今までより増やしました。飲みながらご飯食べて、良い音を聴いて、良い絵を見て、面白い人と話しをする。そういったトータルで強めていけたら良いなって思っています。
—– 今、ざっくりとした一日の仕事の流れはどういった感じなんですか?
午前中に起きて、家のことをやってからお店でやるイベントの打ち合わせなどをメールでしたり、フライヤーを作ったり、経理的な部分もそこでやります。あとは、以前インタビュー記事をあげてもらったL…deepの動きやいくつかある自分のイベントの企画も練ったり、、、そこから出勤して、仕込みをして夜を迎えるって感じです。
—– フライヤーっていうのは自身で企画しているイベント以外も制作されているんですか?
自分のイベント以外も制作しています。
—– それはどういった経緯、流れからやることになったんですか?
基本的にはどのお店でもイベンターさんにフライヤーをお願いするというのは当たり前のことだと思うのですが、HAPPY MOUNTAIN BARでは一貫して自分なりのブランディングをしていきたいと思っていて、自分がカッコイイと思うような見せ方をしていきたくて、それはお店自体もそうだし、イベントも含めてやれたらと思っています。その為にビジュアルの部分はすごく大事なのかなと思っていて、なかなかソフトが使えなかったり手書きでもなかなか難しいっていう人も多いので、そこで僕がフライヤーを作るよって手を挙げれば、イベントのカッコ良さやお店のカッコ良さっていうものが僕のイメージそのままでいけるので相互にとって良いことなのかなって思っています。だから僕が自主的に作れるときはイベンターさんと相談の上、制作しています。もちろん全てのイベントという訳ではなく、基本的にはイベンターさんの意向を尊重する中で僕にお願いしてくれた場合には喜んで協力させて頂きます。
—– 今、店内のイベントっていうのはどういったサイクルで行われているんですか?
いわゆるイベント、パーティーといったものは週末の金、土、日。特に土、日が多いですね。平日は基本的には通常営業なんですが、その延長で投げ銭でのアコースティックのライブがあったり、ラウンジミュージックデーという事でDJが入って選曲して、平日に合う心地よい空間を演出している日もあります。
—– 週末のイベントはどういう内容のものが多いんですか?
これに関しては本当に多種多様です。本当に色々なイベントがあって、アーティストの個展であったり、ブランドの展示会や、これからブランドを立ち上げて行こうとしている人のPOP UP SHOPだったり、音楽は大体どんなジャンルもあります。バンドだったらロック、ブルース、DJのイベントの時もあるし、J-POP、アニソン、ハウス、テクノ、トランス、ヒップホップ、レゲエ、アブストラクト、ジャズ、ファンク、ソウルなどのブラックミュージック全般のイベントもあります。
—– そうすると客層や雰囲気もその時のイベントに付随する部分が強いですか?
やっぱりそのイベントの感じが出ますね。お客さんもその時その時にそこを目掛けてピンポイントで来る感じです。どのイベントにでも来てくれるっていう人はまだそんなにいないんですけど、僕はどのジャンルも好きなので、そういった方がどんどん増えていってくれたら嬉しいですね。
—– じゃあ、音楽とかイベント好きな人は週末の予定をチェックして、ゆっくり飲みたいっていう人は平日にぷらっと来てくれるのがベストですね。
そうですね、平日ゆっくり飲んで、ご飯食べてもらって、僕と話しながら週末の情報や裏話などもしていきたいですね(笑)
—– BARの店員ってモテるんですよね? ちょっと強めのお酒とか出しちゃうんですか?
(笑)モテるかは分からないですけど、僕自身がテンション上がっちゃうといろんな人に強めのお酒は出しちゃいます。
—– お酒の種類は一通りそろっているんですか?
そうですね、一通りあって、今はカクテルはカジュアルなものに絞っていて、ウィスキーを強めています。
—– お酒は保管の仕方で味とかも変わってきたりするんですよね?
そうですね。良いお酒に関してはちゃんとフタをした上でフィルムを付けてストックするとかちょっとしたケアはすごく大事です。
—– お店始める時、そういうのも勉強されたんですか?
お店を引き継ぐ時に前オーナーに色々教えてもらいました。基本的には週末のイベントでドカンとお酒は出てしまう事が多いので、ボトルはバシバシ回してどんどん新しくなっていくんですけど、ちゃんとストックするものに関しては徹底しています。
—– フードの内容、こだわりは何かありますか?
こんな感じのお店なので、基本的には洋食をベースにしています。パスタ、タコライス、タコスとかイタリアンのものや創作料理も出しています。実際にはどこにでもあるようなメニューだと思うのですが、名前を一風変わった「エスコバルタコス」とか、ナポリンタンもそこら辺にあるナポリンタンと少し違うので「ネオポリタン」とか、ペペロンチーノも「ペペ・ペペロンチーノ」っていう人の名前っぽくしたり、生春巻きは「ローリングサマーマッドネス」とかちょっとふざけているって思われるかもしれないですけど、そういう名前にすることでお客さんから「これは何のメニューなの?」って聞かれたり楽しい会話が生まれるんですよね。
—– メニューの中で一番人気があるのは何になりますか?
うちの料理人が元々イタリアンのお店で働いていたので、パスタ系が断トツで美味しくて人気です。
—– パスタだとお酒はやっぱりワインが合うんですかね?
合うのはワインかも知れないんですけど、ここって不思議な街で一番人気のあるお酒ってなんだと思いますか?
—– ビールですか?
実はお茶割りなんです(笑)多分湘南はお茶割りが断トツの一番人気じゃないかなと!! わからないですけどウチでは圧倒的に多いです!! しかもキンミヤ焼酎じゃないとダメなんです。
—– お茶割りだったら料理はなんでも合いますもんね。
そうなんです! 2番目に人気のお酒はなんだと思いますか?
—– うーん、ハイボールですか?
2番目はウーロンハイです(笑)結局茶割りなんですけどね。
あと、フード関係でもう少しお話しさせて頂くと、交友関係の中で『安藤農園』っていう小田原の方で農家をやっている知人がいて、その彼は元々HAPPY MOUNTAIN BARのスタッフで今は農家をやっているんですけど、そこは柚子とか、梅とか、キウイとか色々なものを育てて農協とかに出しているんですけど、そこが出せないものとかを僕らが買い取って料理に組み込んだりしています。キウイ丼っていう、カツオとキウイを合わせたメニューを創ってみたり、ペペロンチーノにも柚子コショウを使ったり、そういった部分でのコラボも行っています。
それと僕らのお店以外にも周りには料理人の方が結構多くいるので、そういった方とも一緒に行っている企画もあります。こういったお店をやっていると他のお店の方ともすごく仲良くなっていくんですよね。そういった「美味しいなー」「感覚が合うなー」っていうお店の料理人の方たちをこのお店のキッチンに招いて不定期なんですけど、HAPPY MOUNTAIN BARとその店舗とのコラボレーションという事も行っています。その中で特に多くやっているのが実店舗は持ってないんですけど、色々なフェスなどに出店している『大磯カッピン』というケータリングのチームには不定期なんですけど、通常営業時にここのキッチンに入ってもらって「今日のフードはHAPPY MOUNTAIN BARと大磯カッピンのコラボです」といった形で打ち出しています。同じように僕の大磯の先輩がやっている『グリーンマンゴー』っていうお店ともよくコラボさせて頂いています。
—– それは普段そのお店で扱っているメニューを出されている形ですか?
基本的にはそのお店で扱っているメニューを出してもらうようにしています。お店の名前は知っているけど、なかなか遠くて行けなかったっていう人もこの機会に食べてもらったり、美味しいと思ったら次はそのお店に食べにいくきっかけになれば良いかなと思っています。
—– 平塚っていう場所はやっぱり平塚に住んでいる方が多く訪れるんですかね?
実際にお店にはどの辺りから訪れる方が多いですか?
僕がこのお店を始めてからは平塚の方たちの割合で言えば、実際半分もいないかも知れないです。でもそれに関してはすごくポジティブに捉えていて、湘南のシーサイド、熱海から鎌倉まで色々な所から万遍無く人が来てくれているってことだと思ってます。でも地元平塚の方だけで席が埋まることも多々あるのでやはり地元の方にも感謝です。
—– やっぱり東海道線沿線って感じなんですね。
そうですね。東海道沿線が圧倒的に多いです。それプラス、たまに本厚木だったり、秦野だったりっていう県央側の人も来てくれます。
—– やっぱりBARという形態もあるし、電車の流れが大事なんですね。
一個一個の駅の距離もすごく長かったりするので、なかなか自転車で来れる距離じゃなかったりもするので、電車の流れはすごく大事ですね。
—– そういう部分で地域特性が芽生えたりもしていくんでしょうね。お店としてその他にアピールポイントや今後に向けて何かありますか?
面白い場所を作っているつもりではいるので、たくさんの人に利用をして欲しいと思っています。音楽とかアートの色がだいぶ強いのですが、それ以外の部分でも、貸し切りの宴会とかも常時承っているし、料理にも自信はあるし、BGMにも自信はあるので色々利用してもらいたいです。
—– お店のキャパとしてはどれくらいになるんですか?
スタンディングで30~40人。座りで25~30人。椅子ももう少しあるんで出すこともできます。
あと、使って欲しい用途として僕個人的に強めていきたい部分として、今は夜だけの営業なんですけど、昼間はレンタルスペースとして貸し出して行こうかなっていうのも考えています。スチール撮影や、ママ会や会議など幅広い用途でバンバン使ってもらって、ここの内装だったり空気感というものをどんどん体感してもらって好きになってもらえたら良いかなと思っています。
—– Wi-Fiも使えるようになったんですよね?
Wi-Fiもバッチリ設置しました! エアコンも問題なしです! 平塚駅南口から徒歩30秒です! その他は要望があればフレシキブルに対応していけたらと思います。
〔店舗情報〕
HAPPY MOUNTAIN BAR
住所:神奈川県平塚市八重咲町1-2 B1F)Tel:0463-22-6742
FACEBOOK
https://www.facebook.com/happymountainhiratsuka/
Instagram
https://www.instagram.com/happymountainbar/
店内の模様
これまでにHAPPY MOUNTAIN BARでフライヤー制作を行い開催されたイベント(一部/順不同)
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HAPPY MOUNTAIN BARオーナーの、KYON a.k.a. BLACK NICOが中心となりオーガナイズしている神奈川・湘南発、野外パーティー『L…Deep Open Air』。これまで5年に渡り西丹沢 大滝キャンプ場を舞台に開催されてきたが、2019年はエネルギーを蓄えるべく残念ながら非開催ということが発表された。現在は2020年来るべきに備え、さらなる次元へ向け準備を行っている。
L…Deep Open Air インタビュー(2018年8月掲載)
https://a-files.jp/ldeepopenair-interview.htmlPosted in ALL ENTRY, INTERVIEW, RECOMMEND |