OT (TATTOOER/PAINTER) MINORITY ISSUE
彫師という前に良い意味で、アーティストとして繊細で洗練されている。アートな生活。それが彼のイメージである。ここ数年の彼の動きを見ていると、彫師としての活動と共にアーティストとしての欲が強くなってきている様に思える。展示会やLIVE PAINTなど絵を基盤とした活動が多くなり、時には地方を駆け回り、そう思った矢先に今度はオーストラリアへ一年間彫師として移住。全く予測不可能なOT氏。これもまた彼なりの人生のアートなのだ。そんなOT氏にお話を聞いてみました!
OT氏 インタビュー
2011.9.末日 at OT studio
—–まずは彫師歴を教えて貰えますか?
11年目になりますね
—–お、いつの間にか(笑)
はい、いつの間にか(笑)
—–いきさつって色々とあると思うんですけど、どういう経緯で彫師になろうと思ったんですか?
知り合いの旦那さんのお店で働いてた女の子がいて、その辺の人達と仲良くなり始めて、最初に凄く小さなTATTOOを肩に彫って貰ったんですね。それでなんか最初は結構軽いノリで自分に彫り始めて
—–自分に彫った最初のTATTOOはどこにあるんですか?
太ももの所なんですけど重ねて入れたりしてるので消えかかってってるんですけど、何にも好きじゃないですね(笑)何も感じないですし(笑)消したいとも思わないし、何も思わないです(笑)
—–(笑)そもそも、OTって絵が好きじゃない?絵を描くじゃない?勝手な僕のイメージなんですけど、彫師とはまた別でアーティスト的なイメージがあるんですよね。彫師になる前から絵は描いてたんですか?
描いてましたけど、ほんと落書きみたいな?
—–別に特に力を入れて描いてたわけじゃなくて?
そうですね。ほんと教科書に落書きするような感じで、全然上手くは無かったんですけどね
—–それって練習すれば全然上手くなるもんなんですか?
俺は練習っていう練習はほとんどしてないですけどね(笑)基礎的な事もやりましたけど、正直あまり好きではないですね
—–自分の中で彫師としての自分と額に書く絵の時の自分って。。。別物なんですか?
別物だと思いますね俺は。最近段々一緒になってきましたけどね。意識的にわけてたわけじゃないんですけど、どうしても別っていうか。絵をちゃんと額に収めて描くようになったのって結構近年なんですよ。ここ3~4年とか?
—–でも、それをやろうと思った理由は?
やっぱりTATTOOとしての絵というか、TATTOOには出来ない絵も描きたいなと思いはじめまして
—–感覚的に人の肌に描くのと紙に書くのは違うんですよね?
違いますね。あと結局TATTOOはオーダーがあったりするので、こうしてとかああしてとか。お任せももちろんありますけど、そうじゃなくて本当に自分の好きな物を描くっていうのは、やっぱり紙に描く醍醐味かなというか
—–まー自分発信って事ですよね?
TATTOOはどちらかといえばクライアントというかお客さんがいて、意見交換してそこで自分のテイストを出して、テーマを決めて描く感じじゃないですか?結局は自分の絵にはなるんですけどね
—–それで、OTが描く絵は。。。何の影響なんですか?物凄い独特な感じだけど?
何にも影響受けてないですけど(笑)強いて言えば、アニメは好きなので影響を受けてるかもしれないですね
—–アニメでもなんかもっと幻想的なアニメというか?架空世界というか?
あまり基礎をやってないっていうのがあって、在り物が苦手なのでそういう空想世界みたいになってしまうのかもしれませんね
—–なるほどね。ほらほらこの顔の絵、タイトルなんでしたっけ?(近くにある額を指す)
THE FACEですね
—–THE FACEね?これも凄い種類あって一個一個顔の種類が違うんですよね?これはどういうきっかけでやろうと思ったんですか?
なんですかね?結構花の絵を描くってありきたりじゃないですか?それでオレあまり想像力ないんで(笑)だからその想像力を掻き立てる何かをやってみようかなって思って。そこで自分のオリジナルが出せればいいかなって
—–なるほどね。表情が凄くみんな違ってていいですよね。フィリアーノ※なんかも気にいって持って帰ってたみたいですし?
※long beach 在住のHIPHOPアーティスト。OPIEの弟。
そんな事もありましたね(笑)
—–前に来日の際にゲストワークで来たOPIE※とかもまだ連絡取ってるんですか?
※long beach 在住のtattoo/artist。元long beach dub all starsのメンバー。来日の際にOT studioにてゲストワークを行った
たまにFACEBOOKでいきなりくだらない事でコメントきたりはしますね(笑)やっぱりあの人はTATTOOも凄いですけど、絵が凄いというか好きですね
—–OPIEは彫師だけど結構音楽ともリンクしてるけど、割とOTも音楽家ですよね?
まー。。はい(笑)
—–僕のこの楽譜のTATTOOも音源聞いて楽譜から起こしてくれたりして。元々音楽はどういう経緯ではじめたんですか?
音楽は元々家の環境で昔からやらされてて。。本当に中高の頃は好きじゃなくて。バンドとかもやったりはしてたんですけど、やっぱり大人になって最近は凄くやりたいなと思いだして。音楽関係の学校は行ってたんですけど、辞めてしまい。。。
—–何が弾けるんですか?
ピアノとギターとベースと管楽器を多少
—–今はバンドは?
一応ハードコアバンドやってるけど、もうオーストラリアに行っちゃうので。。。kenken君のバンド※もクビになっちゃったし(爆)
※数か月前まで一緒にスタジオに入っていましたが、オーストラリア移住の為お休み中
—–(爆)クビになってないよ!まだ在籍してますよ!(笑)オーストラリアに行っちゃうからさ!
確かに(笑)
—–でもまだメンバーですよ。帰ってきたらやって貰うつもりでいるから!アートワークも含め(笑)
あーまじっすか?いいっすね
—–特別メンバーみたいな感じで、いなきゃいないでいいみたいな(笑)
一番実力がないみたいな
—–いやいや、そんな事なないけど!
それで話変わるんですけど、この間台湾行った来ましたよね?
あー行きましたね!
—–海外ゲストワークっていうかコンベンションは初めてだったみたいですけど。その経緯ってどういう風だったんですか?
なんだかいきなり台湾の主催者からメールが来たんですよ。出ませんか?って。結局その人はどの人か分からなくて向こうでは会っていないんですけどね(笑)
—–ははは。。。良く実現しましたね?(笑)
なんか多分、市とかが絡んでるでっかいイベントみたいで、そういう連絡専門みたいな人から来たんだと思います。
—–日本からは何人位のアーティストが行ったんですか?
4~5人位ですかね?
—–でも実際台湾ってTATTOO文化はどうなんですか?
なんか一部なんですけど、特殊な人達っていうか、熱狂的な人達の間では凄いですね。クオリティーもとにかく半端なくて、チャイニーズっぽいジャパニーズみたいな絵というか。。なんていうか。。
—–神秘的でアート的な感じ?
そんな感じですけど、全然悪くないっていうかむしろ物凄くクオリティー高くて、技術的にはかなりのレベルですね。でもまだアンダーグラウンドな感じで。だからこのコンベンションも台湾中の墨好きな人達が集まったみたいな、それでもアジアで一番でかいイベントですからね
—–それで、反応はどうだった?
まー良かったですね、結構忙しかったし
—–でも海外で彫るって、台湾もそうだし、今年オーストラリアも行ってたじゃない?確か震災前の。。。?
3月5日ですね。遊びで行ってたんですけど。3月11日に震災が起きて、そのまま予定変更してオーストラリアに滞在して。それで知り合いのスタジオでちょっと彫ったりして。観光ビザで3か月丸々滞在してたんですよ。そうしたら気が付いたら結構お客さんが付いてて、ギリギリの6月の頭で帰国しましたね。
—–それでもうすぐ10月※になるけど、たった3か月でビザを取り?
※このインタビューは9月の後半に録りました
はい、ビザを取り(笑)
—–1年位行くと?
はい、そうですね
—–それって結構行き当たりもあると思うんだけど、やっぱり海外でやってみたいっていうのはあったんですか?
やっぱりそれはありましたね
—–この時期と言うか、この震災のタイミングって、もし震災がなかったらきっと普通に帰ってきてたわけですよね?
そうですね。震災がなかったら普通に一週間位で戻ってきてましたし、オーストラリアにビザ取って戻る事もなかったですね。
—–色々な意味で震災によって人生が変わるって人も確実にいるわけじゃない?
そうですね。運命的で複雑な気持ちですね。
—–確かOTには、戻らないで大丈夫なら、無理して戻って来ない方がいいってメールした記憶あるし。それでオーストラリアのシーンっていうのもそれなりに大きいんですか?メルボルンでしたよね?
やっぱり技術的には凄いですね。国ごとにスタイルとかは違いますけど。やっぱり現代アートとかは凄いですね。TATTOOもその現代アートのカテゴリーに入れるとしたらオーストラリアのはちょっと変わってますね。綺麗というか。やっぱりアメリカから影響は受けてると思うんですけどね、それと情報交換がしっかりしてて、みんな仲良くて働きやすいっていうのはありますね。
—–多分なんだけど、英語圏の国って、例えばアメリカとかイギリスとかは、勝手なイメージだけど常に最先端で発信してるじゃない?でも、カナダとかオーストラリアってむしろ受信して影響をたくさん受けて発信してる感じがするですよね。日本もそれに近い感じがするから、結構日本人と合うんじゃないですか?
そうですね。日本人とは凄く相性が合うと思います。友好的ですし。陽気であって、でも寡黙で。
—–そのオーストラリアに1年行くんですよね。やっぱり日本人としての意識ってありますか?それともそこまでそんなに気負ってはいない?
う~~~ん
—–なんていうか、ここで日本人魂出してやるぜ!みたいなのは?
それはありますね!和彫りをやったりとかはしたいと思ってますね!
—–和彫り自体は向こうの現地の彫師さんでいるんですか?
ジャパニーズスタイルはいますけど、ちゃんと和彫りが出来る人は何人かしかいないですね。
—–それは白人で?
白人でですね。後は10月で入れ違いで日本に戻っちゃうみたいなんですけど日本人のアーティストとか…。
—–そうしたら需要が結構ありそうですよね?
僕の働くスタジオが結構老舗でウォークインショップみたいな感じで、そこでお客さん付けば、和彫りやってくれとか結構需要はありますね。今まで日本での仕事はやっぱり、自分からも仕事の営業じゃないですけど、経営的な事もやらないといけないんですけど、向こうはオーナーがちゃんといて、作業に没頭出来てっていうのがいいですね!
—–なんか向こうで仕事してて、人種差別的な事とかあった?
いやー特にないんですけど、若く見られるというか。あの見習いに彫らしてやってもいいよ、みたいな(笑)俺、その店で多分2番目位に彫師歴あるんですけどね(笑)
—–でも店では新人さんだからね(笑)
二十歳くらいに見られますね(笑)
—–日本人の髭を生やした子供みたいなおじちゃんが来たって(笑)
そういう意味でも、なんか実力見せていければ
—–おー意外と出来るじゃん!みたいなね。それは気持ちがいいかもなしれないですね
それで出来なかったらダメなんですけどね(笑)
—–腕っ節を見せるってなんか興奮するよね
やっぱり誰も知らない環境にいくわけですから、日本だと友達だったり友達の友達だったりって、日本にいたら緊張感とか刺激が少し薄れていく事もありますし、ちょっと怠けてた部分はあったかもしれないですね。
—–さて。最後になるんですけど。。。この先の3年後ってどうなってる?というかどうなっていたいとかありますか?
そうですねー、正直オーストラリアはスタート地点で世界を回って行きたいっていうのはありますね。1年いるとかはないとは思いますけど、観光で旅しながら色んな所周って彫って
—–日本を拠点にしてね?
そうですね
—–それはなんか色々な吸収が出来そうだね!まずはオーストラリア気をつけて行って来て!ってなんか改まって変ですが(笑)
はい(笑)
—–また、どこかのタイミングで心境の変化とか聞けたらいいですね!
ガンバッテキマス(笑)
—–ここカタカナでいいかな?(笑)
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