The Cavemans New Album 『DIAMOND』
PROFILE OF |The Cavemans|
The Cavemans Official Website
http://www.thecavemans.net/ The Cavemans New Album 『DIAMOND』 【Track List】 |
愛ノ方へ # Music Video
DIAMOND # Music Video
Music Review
2001年に現メンバーである”ID”を中心に”Spinna-Bill & The Cavemans”としてバンドが始動。
“FUJI ROCK FES”や”横浜レゲエ祭”などの大型フェスに出場しながらも2005年に活動休止。
その後も様々なシンガーがサポート/加入しながらも音源はMAXI SINGLE”Soul Dub Monster”とインストカバーアルバム”The Covermans”のリリースのみ。
常に妥協をせず、バンドに合ったシンガーを探し続けた結果、遂に2010年ソロシンガーだった”AKIYUKI”と出会い、現最強メンバーである新星”The Cavemans”が誕生。
何度もシンガーが入れ替る中、やっとオリジナルのアルバムレコーディングに踏み切った背景と自信に、この新ボーカル”AKIYUKI”の人を惹き付け虜にする唄力がある事をこのニュー・アルバム”DIAMOND”が証明している。
そのニュー・アルバムから全曲レビューをしました。もちろん文字でも絵でも音を伝える事は不可能。それでもこれを読んだ人が必ずその”音”に触れてくれる事を願って。そんな想いで解説をさせて頂きましたのでチェックして下さい!
#1 愛ノ方へ
出だしの”ID”によるファンキーなギターカッティングから始まるリード曲。このギターのカッティングを聞いた瞬間、鳥肌と共に既にいつもの”The Cavemans”ワールドへ踏み込んだ事を認識しつつも、新ボーカル”AKIYUKI”の第一声
『傷つけあって舐め合うのも一つのやり方さ』
という独特な歌詞感と歌い回しに、新生”The Cavemans”の躍動感と安心感を覚える。そしてこの後のアルバム展開に対する冒険心と探求心が芽生える。照れ臭くても、誰もがより愛の方へ愛の方へ進んで行きたいと、そう思っているはずだ。このアルバムはどんな愛へ向かっていくのだろうか…
#2 アンモナイトの法則
出だしの”Naoya-G”のドラムが最高に心地の良い2曲目。彼らが得意とするややレゲエで少し大陸的でアフリカンな曲調も”AKIYUKI”の歌が始まった瞬間それは既に”何調”という表現はむしろタブーなのだと悟る。
『日曜の朝は彼女はドレスを着る』
『月曜の朝はサツジンシャが捕まる』
ここの歌詞で妙にニヤついてしまった。彼の突拍子もない歌詞がグイグイと聴き手を惹きつける。僕らの日常に写る当たり前も、彼が歌うと妙にスリルでリアルでドラマチックでまるで映画の一場面を連想させる。
#3 DIAMOND
キーボードから始まるアルバムタイトル曲であるこの3曲目が個人的に一番一押しで大好き。物凄くしっとしりしたトラックに対して高音で透き通りながらも、独自の歌のリズムの崩しで曲に変化球を与える部分がきっと”ブラックミュージックを噛み砕いた本格派ポップス”という表現に結びつくのだとなんだ妙に納得。透き通った声が心地良く五感にまとまりつく。しつこい位に…そして小さなキラキラした気持ちがダイアモンドの様に輝いているように思わせてくれる不思議な曲。
#4 Julie’s spice
夏のやや夕暮れ時に野外でバーベキューをしながらビールを片手に聞きたい!なんて言ったら、物凄くありがちに聞こえるかもしれないけど、それ以上の表現は嘘っぽく聞こえるので止めておこうと思いながらも
『70億色のスパイスを効かせたカラフルな世界はおどろくほどオイシい』
なんて言葉を歌われてしまったら、そんな単純じゃなくて、なんだかもっともっとこの曲の奥の深さと大きさを感じてしまった。むしろ7つの大陸を思い浮かべながら聴きたい曲。もちろんビール片手に。
#5 How long hello
オルガン調の建盤とアコースティックギターのコード感が美しいバラード調なゆったりとした曲。昔、長距離バスで通ったアメリカ南部の限りなく続く広い大地を思い出した。特に単調に聞こえがちなこういうベースラインも実はベーシスト”NARITA”節で物凄く土臭くなって更に曲を美しく仕立てる。教会とか、田舎道とか、そんなイメージがなんだか妙にせつなくて懐かしい。
『世界中何処に居たって自分次第で繋がって行けるのさ』
こういう表現も出来てしまうSOULな歌詞が自然と心に入ってくる。
#6 タイムワープ
この曲のイントロを聞いた瞬間”ID”が体を上下に動かしながらライブでワウペダルを踏みギターを弾く姿が直ぐに思い浮かんだ。70年代のロックを思いっきり彼ら風に砕いた様な?すこしゆったりでファンキーかと思えば、途中の間奏辺りでのある”音効果”に、一瞬どこかへ飛ばされた。うわっ。やられた。こういう細かい仕掛けがたまらなくニクイ。
#7 なにもない
パーカッションから始まる7曲目”なにもない”。物凄く細かい事なのだが、実はこの曲のスネアの音に過剰反応してしまった。もちろんそれは物凄くいい意味でなのだけれども、パーカッションの軽快さと、スネアのボトムの音のギャップが物凄く新鮮だなと思った瞬間、Bメロの裏打ちとギターのアンサンブルの展開で妙に納得。凄くファンキー!そして否定の美学と言うべき?”AKIYUKI”の歌詞は常にポジティブとネガティブが背中合わせで、誰もが感じる日常を力強く発する。
#8 消えたヒーロー
そろそろ明るくて元気な曲が聞きたくなってきた時に飛び込んで来た8曲目”消えたヒーロー”。もちろんアルバム通しての楽器隊の完成度は物凄く高いが、この曲は特にこのバンドの演奏力の高さと飛び抜けたグルーブ感が前面に出ていて、最強のリズム隊という事を証明している。胡散臭くなりがちなラテン要素を見事に自然体に取り入れたこのセンスはお見事である。これをPOPSと呼ぶのであれば僕はPOPSが大好きという事になるであろう。こんなPOPSを僕らは待っていた。そしてヒーローは…何処へ…?
#9 思い出の色
こういう曲が出来るようになったのも、確実に天才異端児”AKIYUKI”のカリスマ性と、それを受けて今までどこか奥底で眠っていたバンドの持つ”引き出し”の一つがこじ開けられ、音のキャッチボールが始まったからだと思う。この曲はこのアルバムで大きなキーとなるのではないだろうか?思い出の色って何色だろう?って思いながら聞いていたら、あっという間に曲が終わって、気が付いたら頭からもう一度聴いていた。何度でも聴いてしまう。そんな曲。
#10 BABY I LOVE U
そしてアルバム最後の曲は”BABY I LOVE U”。もっともこのバンドが得意とする温かくて陽気でリズミカルな演奏に、誰にでもある日常の一部を切り取ったホロっとする歌詞が妙にマッチして、いい意味での”らしさ”を感じる事が出来る。これが意外と新星”The Cavemans”の王道なのでは?と最後の最後に思った。繊細で天才で鬼才”AKIYUKI”が最後に投げかけたストレートな”I LOVE U”が印象的なままアルバム”DIAMOND”の幕は閉じるのであった。
このアルバム”DIAMOND”を全曲通して聴いた時、精密にカットされた輝くダイアモンドよりも、限りなく天然な原石に近いキラキラ光るダイヤの石が思い浮かんだ。美しく見せる為に人工的に手を加えた輝きではなく、彼らの経験値や心と体に染み付いた極自然なグルーブが放つ輝き。その輝きをこのアルバムを通してどこで感じ取るかはリスナーのあなた次第。
ただ、必ずどこかであなたの日常と重なりそれがシンクロする瞬間がある事を約束しよう。
そしてそれがダイアモンドの輝きよりも、全然価値のある事だという事に気が付くはず。
POPと言い切ったロックな音楽好きが作ったこのアルバムを、たくさんのタイプのリスナーが聞いてくれる事を願っている。
Posted in ALL ENTRY, MOVIE, RECOMMEND, The Cavemans |