THE CHERRY COKE$ @ FUJI ROCK FESTIVAL ’13 LIVE REPORT
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THE CHERRY COKE$
2013年7月27日(土) @ FUJI ROCK FESTIVAL ’13
彼らがこのフジロックに出演したのが8年前の2005年のルーキーステージ。あの頃の彼らといえば、サイコビリーやラスティック的な要素を持ちつつも本人達も多大な影響を受けたアイリッシュ・パンクと一般的にはカテゴライズされ、お酒を片手にインディーシーンを自由気ままに掻き回す存在であった。演奏も荒くライブによっては波があり(Vo KAT$UO 談)ながらも、今まで国内のバンドではあまり見られなかった多彩な楽器とストレートなリズムで踊って跳ねて騒げるPUNKバンドとして地道に活動をし知名度をあげていったのである。8年前にこのフジロックに出演してから数々の音源をリリースし最新アルバム『COLOURS』を今年6月に発売後の満を持してのフジロック2度目の登場。
2日目のWHITE STAGEの一発目と言えば昨年はFRONTIER BACKYARDその前の年はSHONEN KNIFE、2010年には怒髪天という過去のラインナップを見ても日本のロックシーンを支える骨のある歴史あるバンドばかり。そんな名誉ある大舞台に堂々と登場したメンバー。MCでも言っていたが彼らが大尊敬をしていて多大な影響を受けたTHE POGUESも立ったこの思い入れの深い同じWHITE STAGEでボーカルのKAT$UOは気合い十分、全身白に身を纏い帽子は船帽のキャプテンスタイル。緑色のモシャモシャ頭のギターMASAYAはいつも通りクールだし、東北ライブハウス大作戦のTシャツと前掛けを装着しいつものライブハウスと同じ様に日本酒片手に現われたベースのHIROMITSU。日本船に乗ったPUNK ROCK PIRATESである彼らのフジロックという航海が今はじまったわけです。さてさてたくさんの楽曲を持つ彼らのこの晴れ舞台の一曲目は??
”POLKA”
彼らと出会ったのがもうかなり前の話。そしてこの曲はその初期の頃にライブでは必ずやっていた昔の曲。きっとこの曲も8年前のルーキーステージでやっていたんだと思う。思い出深いこの曲を一曲目に持ってきた彼らの心意気がなんだかとても嬉しかった。あの頃とは比べ物にならない位のステージの熱とオーディエンスの数と、どんな気持ちでステージの上からあの景色とあの景色を重ね合わせていたのだろうか。そして更に昔の曲アルバム”SAIL THE PINT”から彼らの結成の年が曲名の”1999”と続く。一緒に手を叩いてステップを踏んで飛び跳ねて。この苗場の山奥のステージとその場にいたみんなが大きな一艘の船となっての大航海。彼らだったら山でも空でもどこでも大航海しちゃうんです。
フジロックの舞台に立つバンドにはそれぞれ歩んで来たストーリーがあって、もちろんこのTHE CHERRY COKE$にしたってそれぞれのストーリーがあるわけで。地道に全国をツアーで駆け巡りライブ活動を続け、結成14年目にして憧れのこのステージに立っている彼らの表情や動きを見ながら思いにふけってると、4曲目にはサッカー漫画『GIANT KILLING』の主題歌にもなった「My story ~まだ見ぬ明日へ~」。
”明日を待ちきれなくて もがいたあの夜 人知れず流した 涙に夢は宿る”
この状況にぴったり過ぎる歌詞に涙腺も緩んだ人も多かったのではないだろうか。日本詩ってやっぱりいいなと少し繊細な気持ちになっていると骨太でテンポがやや速めの”LUMBER JACK RIOT”でフィールドはモッシュピットでぐちゃぐちゃに。そして
畳みかけるようにこれまたまさかの旧曲”BLUE WORKER”。この選曲はある意味予想外で裏切られました!軽々な2ビートに明るいややカントリー調のこの曲で踊らない人はいないでしょう。砂ほこりが起こる位思い思いに皆楽しそうに踊ってましたね。
『後ろの方でなんとなく足を止めて観てくれる皆とか、前の方には全国のライブハウスで見る汚い顔が(会場大爆笑)いっぱいいて、今日こうやってフジロックのステージに立たせて貰って、みんなの力無しでは立つ事が出来なかったと思います。本当にありがとう!』
KAT$UOらしい彼なりの最大の愛とリスペクトを持ち合わせた冗談交じりのMC。いつもライブハウスで見かける馴染みの仲間とお客さんと、初見であろうフジロッカーズとのミックスされた光景。これぞライブハウスで鍛え上げられて外に飛び出して来たバンドの最大の武器でありそのバンドにしか見る事の出来ない光景なのである。
そして最新アルバム『COLOURS』から”DRUNKEN PIRATS~終りなき夜の果て~”。最近の彼らのオリジナリティーとも言えるメタリックなリフに絡み付くアコーディオンや縦笛が劇的でなんだか懐かしい気持ちにさせられ、最後の”KISS IN THE GREEN~Drunken lovers nite~”では手を叩きながらもう泣きながら笑って踊ってましたね。
個人的な感情もありましたので、終始色々な思い出が頭の中を回想しながら見ていましたが、音は確実に進化しパンクロック精神は今もまだしっかりと持ち続け活動している彼らはもうとっくにアイリッシュパンクという肩書を完全に打ち破っていてTHE CHERRY COKE$という一つのオリジナルなバンドとして新たなストーリーを刻み始めているんです。こういうフジロックという大きな舞台に彼らの様なバンドが出演する事で、普段こういうフェスに来ないライブハウスのお客さんがたくさん来てくれた事を嬉しく思うし、そしてもちろん普段ライブハウスに行かない、もしくは離れてしまってるフジロッカーズが今後ライブハウスに足を運ぶ事を心から願います。
photo by kenji nishida
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